老化は60歳を境に急激に進む!老化と健康、疾病リスク対策を作業療法士20年のベテランが解説

老化は60歳を境に急激に進む!老化と健康、疾病リスク対策を作業療法士20年のベテランが解説

最近、「しっかり寝たのに疲れが取れない」「日に日に筋力が衰えてきた」「何もやる気が起きない」と感じることがある方は多いのではないでしょうか。

に60歳前後になると、そのように感じる傾向が大きくなるようです。

なぜ60歳という年齢を境に老化が急激に進むのか?疾病リスクを軽減し、老化を遅らせ、いつまでも健康的にいられるための対策を作業療法士20年のベテランが解説いたします。

60歳を境に老化が進む2つの理由

最近、スタンフォード大学のマイケル・スナイダー教授の研究で発表されました。様々な年代の人から体の様々な細胞を採取し観察したところ、60歳の年齢を境に、体内の機能不全につながる生体分子の変化や遺伝子の急激な変化が見られました。

老化が進む原因は、生体分子の変化や遺伝子の変化だけはありません。社会生活においても、60歳にさしかかると定年前ということもあり、会社内の役割が変わる頃です。

家庭内でも子どもの自立や結婚など家族関係も変化がある頃でもあります。生活環境に大きな変化があり、変化に対応するためのストレスがかかります。そのストレスにより老化が進むと考えられています。

60歳になると、どんな疾病リスクが増えていくのか?

具体的にどんな疾病にかかりやすくなるか説明していきましょう。

内科的病気が増えてくる

60歳を越えてくると、健康診断やかかりつけ医の先生から糖尿病や高血圧、不整脈の診断を受ける人が多いのではないでしょうか。

体内の細胞や遺伝子などに変化が起きているからです。特に60歳前後で、糖に対する代謝が特にできなくなります。他の要因もありますが、糖尿病になりやすいのです。

糖尿病」と「脳疾患・心臓疾患」は密接な関係があると考えられています。

糖尿病は、血管を固くしたり詰まりやすくなります。糖尿病になると、血が流れにくくなるため、不整脈や心筋梗塞、脳梗塞へとつながります。糖尿病の診断がなくとも、糖への代謝が悪くなることで、血管への影響は大きくなるので、炭水化物の食べ過ぎには注意しましょう。

他にも、よく聞く話では、「膀胱炎にかかりやすくなり泌尿器科に行く回数が増えた」とか、「膀胱炎から腎盂腎炎にかかり、入院することになった」「帯状疱疹にかかった」「肺炎になった」と免疫力が低下することで発症する病気もあります。

帯状疱疹や肺炎は、外界からの菌だけでなく、体内に元々ある菌が免疫力が低下することにより、発症することも多いです。

体のさびが増えてくる

「体のさび」という言葉は聞いたことがありますでしょうか?体のさびとは、まさに活性酸素のことです。

酸素を吸って体で燃焼していくときに、活性酸素が生み出されます。一見、活性酸素と聞くと体によさそうな感じがしますが、そうではありません。

活性酸素は、細胞を傷つけて老化を加速させていく怖いものです。もっと怖いのは、活性酸素が増えても自覚症状がありません。

本来、人には活性酸素に対抗するために「抗酸化防御機構」が備わっています。その機能が衰えていき、活性酸素の方が多くなるのです。酸化ストレスとは、活性酸素が増えすぎて抗酸化防御機構を上回る状態のことをいいます。

酸化ストレスが増えると、細胞を傷つけ、がんなどのリスクが高まります

皮膚細胞も損傷されるため、皮膚のシミ・しわ・たるみが出てきてしまいます。見た目年齢でも、老化が進んでいる印象になるのです。

アルツハイマー型認知症が増えてくる

近年の研究によると、アルツハイマー型認知症の原因がわかりつつあります。

認知症を発症した人の脳を見ると、脳内にアミロイドβ(ベータ)という脳のゴミが異常に蓄積していたそうです。

脳のゴミが蓄積され始めるのは40歳からで認知症発症までに20年かかると言われています。それゆえに、60歳以降に認知症の発症のリスクが高まります。

認知症ともの忘れは、大きく異なる点があります。もの忘れは、「ある事」を忘れたということを自覚できるのですが、認知症になると「ある事」を忘れるというより、「ある事」が自分の中で無かったかのように存在しなくなってしまうのです。

朝ご飯を食べたという事実があるのに、「まだ食べてない」といったことを言う現象は認知症を疑います。

認知症は本人自身が気づくことは難しいかもしれません。認知症になると、周りの人と会話をしていて「何かおかしいことをいっているのかしら?」と違和感を感じることがあるようです。心当たりのある方は、周囲の方に相談してみるといいですね。

筋力が下がり、痛みや転倒リスクが増えてくる

筋肉量のピークは20代で、徐々に筋肉量が減少していきます。60歳では、20代の時よりも75%しか筋肉量がありません。「最近、筋肉がなくなっちゃった」と聞かれるのもこの時期です。

さらに重ねて聞こえてくるのは、腰や膝の痛みの訴えです。筋力は関節を動かしたりするのに大きな役割を果たしていました。しかし、筋力が低下してくると、骨や関節に負担が直接かかり、痛みが出てきてしまうのです。

この筋力低下と痛みにより、ますます体を動かさなくなり、さらなる筋力低下の悪循環に陥ることで老化が進んでいきます。

老化を遅らせ、若々しい年齢に保つには、どんなことをしたらいいのか

60歳になると、さまざまな疾病リスクが上がっていくのが、おわかりいただけたと思います。

体内の生体分子の変化、遺伝子の変化は、誰にでも起こり得るものです。しかし、老化を遅らせ、若々しい年齢を保つ方法はいくつかあります。その方法をご紹介していきましょう。

酸化ストレスをなるべくおさえる

食べ物

酸化した食べ物は取らないようにし、抗酸化作用の高いポリフェノールを含んだ食べ物を食べることが効果的です。

酸化した食べ物とは、動物性脂肪の多いものや食品添加物が多いものなど、体に悪そうなイメージのものがほとんどです。注意が必要なのは、体にいい油です。例えば、魚油があげられます。魚油は脳細胞にいいDHAが配合されており、体にいいのは間違いないのですが、空気にさらすと油が酸化してしまうので、なるべく調理したらすぐ食べる、空気に触れさせない工夫が必要です。

では、食べたほうがいい抗酸化作用の高いポリフェノールを含んだ食べ物をご紹介します。

  • 緑:ブロッコリー、緑茶
  • 黄:かぼちゃ、ショウガ
  • 白:カリフラワー、大豆
  • 赤:パプリカ、紅茶
  • 紫:ぶどう、ブルーベリー、なす
  • 茶:しいたけ、高カカオチョコレート
  • 黒:黒ゴマ、コーヒー

普段、料理を自分でする人でも、これだけの色の濃い食べ物を用意して食べるのはとても大変です。

今は、冷凍食品がとても進化しており、野菜の下ごしらえ済みの冷凍食品やお弁当の冷凍食品もあります。冷凍食品を上手に活用すると栄養素がたっぷりの食事ができます。

料理が苦手な人にとっては、栄養士がメニューを監修したお弁当を配達してくれるサービスもあります。お弁当配達サービスは、申し込めば誰でも届けてくれることがほとんどなので、時々取り入れることも一つの方法です。

ストレス解消

現代社会において、ストレスなく生活できる人はまれでしょう。自分なりのストレス解消法を見つけておくことが肝心です。

趣味がある人は継続していくことは、ストレス解消にもなりますし、自分の人生にもハリが出て気持ちが若くいられますね。

もし趣味がない人でも、近頃では、近所の町内会やカルチャースクール、公民館や地区センターなど、地域の市区町村、民間で様々な60歳以降向けのイベントが企画されています。

私の知り合いでも、子育てを終えて時間に余裕ができた人が「はじめて味噌を手作りしてみた」とか、「コーラスのサークルに行ってきた」とさまざまなイベントに参加している人がいますよ♪
職員さん
職員さん

それでも趣味が見つけにくい人は、バスツアーはいかがでしょうか?今までしたことのない経験を体験できますし、バスツアーでの出会いが、その後にも友達関係になったという話もよくあります。

質の良い睡眠をとる

年を重ねてくると「夜中にトイレで何度も起きてしまう」「早く起きてしまう」「眠れない」などのお悩みがよく聞かれます。

質の良い睡眠をとるには、寝る前に食事を食べない、寝酒をしない、寝る1時間前には光刺激の強いものを見ないなどのちょっとしたことで、質の良い睡眠をとることができます。

以下の記事に睡眠についての解説をしているので、ぜひご覧ください。

もし、どのような方法を試してみても睡眠の改善が見られない場合は、最終手段はかかりつけ医の先生に相談してみましょう。

お薬に頼りがちになるのは体に悪影響ですが、先生とよく相談し、薬の上手な付き合い方も大事です。しっかり寝られることで、次の日を元気はつらつと生活できることでしょう。

運動をする

運動をすることで、血管の流れが良くなり、先ほど述べた脳のゴミが排出されやすくなります。

運動をするにも、何をしていいというわけではありません。おすすめできないのは、激しいスポーツです。激しいスポーツは、無呼吸の状態が長時間続くことで、活性酸素が増えるのでおすすめしません。

おすすめしたいのは、ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動や筋トレが効果的です。

有酸素運動では、人とお話ししながらできるぐらいの運動負荷が大事です。ウォーキングであれば20分~1時間程度行うと筋肉量の減少と筋力低下の予防が可能です。

認知症予防の観点でいえば、「ウォーキング」+「頭の体操」です。「頭の体操」と言っても難しいことではありません。野菜の名前をいろいろ思い浮かべたり、駅やバス停の名前を思い浮かべながら歩くのも「頭の体操」です。これをすることで、認知症予防への効果が高まります。

詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

筋トレは主に下半身の筋トレをおすすめします。下半身は筋肉が大きく、効率的に鍛えることができるだけでなく、転倒予防にもなります。

特にどこも痛みがなければ、手すりにつかまってのスクワットが特におすすめです。もし関節の痛みがある場合は、座ったままで足踏み運動やひざ伸ばし、つま先やかかとの上げ下げだけでも、十分に筋トレ効果が得られます。

少ない回数でも、毎日できることが筋トレが長く続く秘訣です。まずは10回×3セットから始めてみて、その疲労度合いで自分の筋力がどの程度あるかわかることでしょう。

「運動のしかたがわからない」、「一人では運動ができない」「家では運動する気にならない」という人は、近所のフィットネスジムを使うことはいいでしょう。

もし、フィットネスジムがなくとも、近所の町内会や公民館、自治体、地域の介護施設などでも、定期的に運動イベントが開催されていることが多いので、問い合わせてみるといいでしょう。

人との交流を増やす

60歳という年齢は人間関係が大きく変わりやすくなり、人との交流が減りがちです。人との交流が減ることは、家での引きこもりの原因となります。

家の中の移動だけでは活動量・筋力の低下していきます。外界からの刺激が少なくなるため、認知症に対するリスクが高まり、ますます老化が進んでしまいます。

人と会うためには、自分の身なりを整えて、集合場所に行き、人と話すという一連の行為が生まれます。

この過程の中で、人と会うにはどういう服装がふさわしいのかを考え、集合場所へ移動するのに歩く、人と何を話そうかと考える過程が、脳の機能を十分に使うことができるのです。仲のいい友人と話すことは、ストレス解消にも効果的です。

先ほどでもあげたように、運動を兼ねて地域の運動イベントに参加すると、人との交流も増え、運動もできる一石二鳥です。

まとめ

老化は、年齢を重ねると誰にでも起きてくる現象です。

細胞の変化は止めることはできません。しかし、生活習慣と意識を変えるだけでも老化を遅らせる方法はあります。

体にいいものをよく食べ、よく寝られるように、適度な運動を行い、人と会ってよく話すことが疾病リスクを減らし、元気はつらつとした生活を送ることができることでしょう。

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