眠れない・寝付きが悪いなど高齢者に不眠が多いのはなぜ?原因や改善方法を解説

眠れない・寝付きが悪いなど高齢者に不眠が多いのはなぜ?原因や改善方法を解説

「夜眠れない」「何回も目が覚める」など高齢者に多くみられる不眠は、加齢・病気・生活習慣の乱れなどが原因と言われています。

不眠が続くと心と体に悪影響を及ぼしたり、日常生活に支障が出てしまうといったことが起こり、認知症の進行につながる恐れもあります。

なぜ、高齢者に不眠が起きてしまうのか、その原因と快適な睡眠をするための改善方法をご紹介します。

高齢者になりやすい不眠とは?

そもそも不眠とは、睡眠の質が悪い、睡眠時間も不十分、満足な睡眠を取ることが難しい状態のことです。

年齢を重ねると、体内時計が変化してしまうことで、体温調節やホルモン分泌・血圧など、生体機能リズムが前倒しになってしまうことで、早寝早起きの傾向が見られます。

そのため、夜中に何度も目が覚めたり、自分が望む時間より早く目が覚めたりといった不眠の症状が現れます。

高齢者が不眠になりやすくなるもう一つの理由は、「レム睡眠=浅い眠り」「ノンレム睡眠=深い眠り」の二種類があります。

健康な成人の場合、睡眠の前半は熟睡し、後半はレム睡眠が多くなるため、加齢に伴って徐々に睡眠が浅くなってしまいます。

また、大脳を休める働きをする「ノンレム睡眠」は、睡眠が浅い・深い状態と分けられます。

高齢者の場合、深い状態のノンレム睡眠が減少し、浅い状態のノンレム睡眠が増加する傾向があるため、眠りが浅くなり尿意などで目を覚ましやすくなります。

眠れなくなる原因は?

なぜ、高齢者はなかなか眠れなくなってしまうのか。

高齢者の不眠の原因は、主に7つありますので、具体的にどんなことがあるのか詳しく解説します。

日中の活動量の低下

多くの高齢者が眠れない原因は、日中の活動量の低下が原因です。

日中体力を消耗した分、睡眠によって回復しますが、加齢とともに身体機能が低下したり仕事がないことで、動かない時間が増え、日中の活動量が低下してしまいます。

日中エネルギーを消費しなければ、体が睡眠を欲しないので、熟睡できなかったり寝付きが悪くなり、質の良い睡眠がとれず脳の活動量も低下してしまいます。

体全体の司令塔である脳の活動量が低下してしまうと、体の活動量も低下するため、夜眠れなくなってしまう要因になります。

生活習慣病等の疾患

糖尿病や高血圧などといった生活習慣病が、不眠に影響する場合があります。

高血圧は、交感神経が活発な状態で、体のさまざまな機能が活発に働いているため、熟睡しにくくなります。

糖尿病は、腎臓や膀胱の働きが悪くなることで、頻尿や多尿を引き起こすため、夜中に何度もトイレに行こうと起きてしまったり、高血糖が続くと、喉が乾き何度も水分を欲しトイレの回数が増えてしまうことで、睡眠の妨げになってしまいます。

また、糖尿病神経障害を発症していると、痺れや痛みから眠れなくなる可能性もあります。

他にも、高血圧や脂質異常症の治療薬の副作用によって、睡眠障害が起こることもあります。

認知症

認知症によって、生活のリズムが崩れやすく、眠りはさらに浅くなってしまい、日中の活動量が減ることで社会活動もなくなり、必要な睡眠量が低下につながります。

また、認知症の特徴として、体内時計の調整がうまくいかなくなってしまうことで、昼夜逆転生活になりやすく、夜眠れなく日中に強い睡眠に襲われてしまいます。

重度の認知症の場合、入眠後1時間足らずで覚醒してしまい、夜に十分な睡眠がとれていないと、認知症が進行する恐れもあるため、日中の活動量を増やすことが大切です。

体温の低下

人の体温は日内変動がみられ、朝目覚めてから体温は上昇しはじめ、日中の活動に備え、就寝後には再び体温が下がりはじめ、身体や脳を休ませる働きがあります。

高齢者の場合、体温を下げるために必要な力や時間も少なくなり、睡眠時間が短くなってしまうといわれます。

心理的ストレス

不眠症の原因として、心理的ストレスがあります。

高齢者にとっての心理的ストレスとは、退職や配偶者との死別、独居などによることが原因です。

また、社会的つながりが減ってしまうことで、ストレスを蓄積しやすい状態となり、不眠につながることもあります。

他にも、神経質な方や真面目な性格の方は、眠りにこだわりや思うように眠れないことが、強いストレスとなってしまい、さらに覚醒してしまいます。

メラトニン分泌量の減少

メラトニンとは、脳でつくられるホルモンのことで、日のリズムを刻む体内時計です。

体内時計はおよそ25時間と決まっていて、朝起きて、夜眠るというサイクルができています。

加齢によってメラトニンの分泌量が減ってしまうことで、体内時計が前倒しになり、睡眠のリズムが乱れてしまい、不眠を引き起こします。

眠れない焦燥感

眠れないことで、イライラしたり焦りや不安を感じたりと焦燥感を覚え、神経が高ぶり余計に眠れなくなることは少なくありません。

無理に眠ろうとすると眠れない悪循環に陥ってしまうため、眠気を感じたら寝床につくといいですよ。

不眠には4つのタイプがある

不眠のタイプは大きく4つあり、いくつか併用しているケースもあります。

では、それぞれのタイプの特徴について解説します。

入眠障害

入眠障害は、布団に入ってから寝付くまで時間がかかるタイプで、日本人の半数以上がこのタイプに該当するといわれます。

布団に入ってから寝付くまで、30分〜1時間掛かるうえに、この状態が1ヶ月以上続くと入眠障害と診断される可能性があります。

原因は、悩み事や不安なことなど、精神的に問題がある場合に多いです。

熟眠障害

熟眠障害とは、たくさん寝ていても眠りが浅く、ぐっすり寝たという熟睡感がない状態のことで、疾患が原因の場合もあります。

多くは睡眠中に症状が出る病気で、睡眠障害に多い疾患は、睡眠中に無呼吸・低呼吸があらわれる睡眠時無呼吸症候群や睡眠中に脚がピクピク動く四肢運動障害です。

熟睡障害は自覚症状がないケースが多いため、他の不眠症状を併発している場合もあります。

中途覚醒

睡眠中に何度も目が覚めてしまい、寝付きが悪くなる状態のことを中途覚醒と言います。

世代別でも多く見られる中途覚醒ですが、中高年や高齢者にもっとも多くみられます。

原因は、夜間の頻尿や体の痛みをはじめ、高血圧や睡眠時無呼吸症候群などの可能性もあります。

早期覚醒

自分が望む時間より2時間以上早く、目が覚めてしまう早期覚醒タイプは、中途覚醒と同じくらい、中高年や高齢者に多くみられます。

加齢に伴って体内時計が早まってしまうことが原因です。

また、早期覚醒によってうつ病を発症するケースも少なくありませんので、注意しましょう。

高齢者の不眠を改善する方法とは?

高齢者の不眠を改善する方法として、7つあります。

  • 日中の活動量増加
  • アルコール・カフェイン摂取と喫煙を控える
  • 朝日を浴びる
  • テレビ・スマホ・PCは寝る1時間前まで
  • 夕方以降は激しい運動をしない
  • 睡眠にメリハリをつける
  • 就寝環境を整える

上記にあげている内容は、生活習慣を整えることにつながります。

では、具体的にどのようなことをすれば良いのかを解説します。

日中の活動量増加

高齢者の不眠の原因にもっとも多いのが、日中の活動量の低下です。

高齢者が日中の活動量を増やす方法として、散歩や体操など軽い運動があります。

アルコール・カフェイン摂取と喫煙を控える

アルコールやカフェイン、喫煙は睡眠の妨げとなるので、控えましょう。

アルコールは、利尿作用があるため、夜間トイレに起きる回数が増えてしまうため、熟睡できない原因となります。

また、カフェインやタバコに含まれるニコチンにも、強い覚醒物質が入っていますので、質の良い睡眠の妨げになります。

朝日を浴びる

朝、カーテンを開け朝日を浴びると良いと聞きますが、朝日は体内時計に作用して生活リズムを整える力があります。

「窓のない部屋で一日中過ごす」「カーテンを締め切っている」といった環境は、不眠の原因にもなります。

朝、起きたらカーテンを開け朝日を浴びる習慣をつけましょう。

テレビ・スマホ・PCは寝る1時間前まで

40歳〜50歳代で親御さんの介護をされている方も少なくありません。

テレビやスマホの画面からブルーライトを発しているため、脳を刺激・覚醒させる作用があるので、夜眠れないからと長時間見ていると睡眠の妨げになってしまいます。

夕方以降は激しい運動をしない

意外にも激しい運動は不眠の原因とされています。

「疲れすぎて眠れない」と聞きますが、激しい運動を行うと興奮状態が続いてしまうと、覚醒状態となってしまい、目が冴えてしまいますので、夕方以降の運動は控えましょう。

睡眠にメリハリをつける

夜眠れなく朝まで起きていると、日中眠くなってしまい、昼寝をしてしまう方も少なくありません。

ですが、昼寝を続けると夜間眠れなくなる、といったサイクルができてしまいます。

どうしても日中眠い時は、30分以内の睡眠が良いですよ。

就寝環境を整える

寝る前は、心身がリラックスできる工夫や入眠しやすい環境を整えることも大切です。

音楽鑑賞や読書など自分のリラックス方法や、暗めの照明でゆったり過ごすなどがおすすめです。

また、体が沈み込むほど柔らかかったり、骨を圧迫するほどの硬さのある布団など、体に合わず、負担が掛かりやすいものではなく、適度に硬い寝具を選びましょう。

就寝環境を整えても改善されない場合は、無理をせずかかりつけ医に相談しましょう。

まとめ

今回は、高齢者の不眠の原因や改善方法について解説しました。

高齢者は、中途覚醒や早期覚醒が見られやすく、さまざまな疾患やストレス、生活の変化が原因で、深刻な睡眠障害につながるケースもあります。

朝、起きたらまずはカーテンを開け、朝日をしっかり浴びて、快眠につながる生活習慣を取り入れ、質の良い睡眠をとるためには、心身をリラックスさせるための環境を整えることも大切です。

まずは、自分で取り組めることからはじめてみましょう。

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