今の日本は65歳が定年ですが、人生100年と言われている現在100歳まで生きれる年月は35年もあり、若いときに欲しかった自由の時間を持て余してしまっています。
高齢者となると体力に不安が出てきたり、遠出が難しくなったり、寝たきりとなるとなかなか楽しみが見つけられないことも。
そこで、この時間をどう楽しく過ごすのか、中高年にとって「趣味」を持つことにどんなものがあるのかご紹介します。
高齢者が趣味を持つことでメリットがたくさん!
体力や意欲が落ちていってしまう高齢者は、外出が減って自宅に引きこもってしまったり、他者と交流が減ってしまい、1日過ごすことに生きがいをなくすことにつながります。
高齢者も趣味を持って毎日を楽しみ、自分らしく生き生きと生活を送ることで、心身ともに健康増進に効果的です。
他にも、体を動かすことで体力の維持、手先や頭を使うことで脳への刺激となり、認知症の予防、友人や家族とのコミュニケーションのきっかけとなり、社会的なつながりが出来ることで、活気に満ちた日々を過ごすことでQOLの向上にもつながります。
高齢者に適している趣味とは?
40〜79歳を対象にした調査によると、生きがいの有無で7年後の生存率が10%も異なることが分かりました。
また、生きがいが「ある人」は「ない人」と比べ長生きするだけでなく、将来介護が必要になる確率が40%も低いことも分かっています。
75歳以上の人の外出が心身にどのような影響を与えるのかを5年間にわたって調査をした結果、身体機能を維持している男性は79.7%、女性は68.8%が「毎日外出する」もしくは「週4〜5日外出する」と回答がありました。
逆に、身体機能が低下した高齢者は「毎日外出する」もしくは「週4〜5日外出する」と答えたのは男性38.1%、女性57.1%という結果が出ました。
この結果から、外出する機会が多い高齢者ほど身体機能を維持していることがカギだと判明。
高齢者が元気に健康的な生活を送るためには「生きがい」と「外出」がポイントとなり、「屋外での趣味」を見つけることが健康維持への近道になると言えます。
高齢者の趣味のポイントとは?
趣味といっても、自宅でできる編み物や絵を趣味とすると、前述のポイントである「外出」する目的がなくなってしまいますが、あえて教室に通ったり庭や公園などを利用することで、介護予防につながります。
ここでは、外出を伴う趣味を見つけるためのポイントを4つ押さえておきましょう!
本人が興味を持てるか
まず、高齢者本人が興味を一番持ちやすいのは、若い頃に持っていた趣味を始めることです。
一度興味が沸いていたギターや絵の具セット、習字道具が家の中で眠っていませんか。
若い頃は仕事や家事など、時間に追われ気付いたらやめていたことを、また始めてみましょう。
また新しい趣味に挑戦し仲間が増えたり、家族や友人と共通の趣味を持つことで、会話も増えます。
自身の体力に合った趣味であるか
2つめは、始めた趣味に対応できる体力があるかということ。
例えば、ダンスを始めたいと思った時、行えるだけの体力がないと続けることが難しいため、自身の体力や身体機能に合ったものを選ぶことが大切です。
家族の支援なしでできるか
3つめは、家族の介助や送迎がないとできないような趣味も、本人が続けたいと思っていても家族の都合に影響を受けてしまいます。
1人で行える趣味かどうかも選ぶ時のポイントとなります。
経済的な負担に問題ないか
趣味を始めるには月額でかかる費用から道具代、交通費など費用がかかりますが、経済的に負担になってしまうと本末転倒となってしまいます。
例えば、旅行が趣味という方は宿泊代、交通費などが掛かるため、頻繁には行けませんので、趣味としてはおすすめしません。
せっかく始める趣味ですから、長く続けられるよう経済的に負担のないものを選びましょう。
高齢者におすすめの趣味
趣味を探すポイントを理解したら、次は始めるための趣味を探してみましょう。
屋外で行うものや家のなかで出来るもの、教室に習いに行くものなどさまざま。
興味が持て、無理なく続けられそうなものから始められるおすすめの趣味をご紹介します。
屋外でできる趣味
屋外でできる趣味は、移動したり他人との交流が多いものがあるので、身体的にも精神的にもやりがいがあるものが多いです。
激しい動きをするものだとケガをしやすいものもありますので、自身の体力などと相談しながら選びましょう。
・ガーデニング・園芸
家庭菜園や花を育てることは、心身ともに健康的な趣味といえます。
長く仕事をしていた方が、定年退職後に庭いじりのため畑を始める方も少なくありません。
ガーデニングは、毎日外に出る必要があり日光を浴びることで、ストレスを和らげる効果のあるセラトニンが分泌されるため、認知症予防にもなります。
植物を育てるための方法を考えたり、成長過程を観察したり、育てた野菜を食べたり、花を写真撮影や部屋の中で飾ったりと多くの楽しみ方があります。
・ボランティア
自身の楽しみだけでなく、他の方に何かしてあげることがやりがいに繋げたいという方にはボランティアがおすすめです。
60歳を過ぎてから始める方も多く、地域の方との交流ができるボランティアには、さまざまな種類がありますので、ご自身に合った活動を探すことができます。
近隣の清掃や介護施設でのお手伝い、未就学児の見守りなど子どもから同年代まで、多くの方との交流があります。
・ウォーキング
ランニングと違い、激しい運動が苦手な方や費用を抑えたい方、少しの空いた時間に始めたい方にはおすすめのウォーキング。
歩きながら景色を見ながら、友人を誘って話しをしながらなど、ご自分のペースで行えますし、歩数計を持って歩けば、目に見える成果として実感ができます。
・登山・ハイキング
登山は勾配の激しいものではなく、ハイキングのようなものがおすすめです。
ゴールまで登り切った達成感はなんとも言えず、思い出としても残ります。
長い距離や斜面を歩く必要があるので、ケガや体力に注意しなければなりませんので、始めたいと思っている方は、事前にかかりつけ医に相談しましょう。
屋内で行える趣味
あまり体が動かせず激しい運動が苦手な方にとって、屋内で行える趣味は体力があまりなくてもできます。
初期投資が高いものから低価格のものまで幅広く、頭のトレーニングに使うことも多いので、認知症予防にもなります。
・カメラ
カメラはどんな場所でも撮影することができたり、写真を他の人と共有したり、コンテストに応募することができるので、幅広い楽しみ方があります。
撮影にハマったら、いろんな場所へ外出するようにもなり健康的な趣味といえます。
デメリットとしては、カメラ本体やレンズなどの高額のものが多いため、始めようと考えている方は、初期投資は慎重に。
・映画鑑賞
映画鑑賞は、映画館だけでなく動画サイトやレンタルショップを利用するなど、さまざまな方法があります。
映画館で鑑賞する場合ですと、シニア料金があり通常の料金よりも少し安く見ることができたり、映画館まで外出することで適度な運動にもなります。
他にも、動画配信サービスは月額制ですが、値段は高くありませんので懐かしい作品やもう一度見たいという時におすすめです。
・手芸
低予算で材料が揃えられる手芸の中でも、編み棒と毛糸があればすぐにでも始められるので、初めての方でも長続きしやすい趣味ですので、おすすめです。
また、作った分だけ作品が増えるので、頑張った成果が分かりやすいのもメリットです。
ただ、始めると外に出る機会が減ってしまうので、スキマ時間に気分転換に散歩をしたり、編み物を初めてする方は、手芸教室に通うと仲間つくりにもなります。
・読書
一度読み始めると2〜3時間程度は没頭し、場所を問わずどこでも本を読むことができるため、移動が難しい方でもできる趣味としておすすめです。
図書館を利用すれば予算も掛からずに始められます。
ですが、運動や会話が減ってしまうため、気分転換に場所を変えたり、読んだ本の感想を家族や友人に話したりするといいでしょう。
・麻雀
男性だけの趣味かと思われますが、意外と女性でも麻雀にハマる人も多いです。
麻雀は、あがりの手を考えながら牌を引いたりするので、脳と手の動きがセットになっています。
習い事
何かを学ぶのに年齢は関係ありません。
若い頃にやっておけばよかったと後悔していたり、以前から気になっていたものなど、新しい分野を勉強することで、脳の活性化となります。
また、軽く身体を動かすのも健康維持につながります。
・英会話
家の近くの英会話教室に通う、オンラインスクールで学ぶなど、ご自身の生活スタイルに合わせて学ぶことができます。
英会話教室での費用は、1レッスン数百円程度からありますので、予算に合ったプランから始めましょう。
・料理教室
料理は女性向きと思っている男性は少なくありません。
脳が活性化すると言われていて、立っている時間が増え、ちょっとした運動にもなります。
近年では定年退職後の男性が増え、簡単なレシピからパンやお菓子など凝ったものまで作り、出来上がった料理を食べることも楽しみのひとつです。
レパートリーが増えたら、家族に料理を振る舞ってみるのもいいですね。
・パソコン教室
インターネット社会である現在、情報収集やお買い物はすべてパソコンから可能。
パソコンが上達すれば、家族とのやり取りにも利用できます。
さまざまな場所でパソコン教室が開催されていますが、詐欺などのリスクもあるので注意が必要なので始める前に確認しておきましょう。
まとめ
高齢者の方でも楽しめる趣味をご紹介しました。
「今から若い人たちと一緒に新しいことをするなんて」や「もうこんな年だからできない」と思っていませんか。
ようやく自分の時間ができた今、老後を趣味を作って楽しむか何もせずに過ごすのかによって、心身のバランスや健康維持に大きく差がつきます。
何かひとつ始めることから、生きがいを感じられる趣味が見つかるといいですね。