「体調不良」と一口に言っても、その原因は様々です。日常生活で感じている不調にはさまざまなものがあると思います。
例えば頭痛やだるさ、集中力の低下など、人によって症状はさまざまですよね。
これらの不調が、気象の変化や生活習慣と深く関わっている可能性があるということはご存知でしょうか。
気象病、スマホ病、ストレートネック…加齢とともに年々増えていく悩みですが、実はこれらの症状が互いに関連しているということが判明しています。
現代社会におけるこれらの問題の深刻さについて探っていきたいと思います。
気象病とは?
気象病という言葉を聞いたことがありますか?
「雨が降ると関節が痛む」「寒くなると手の指の関節がこわばってくる」という話を聞いたことがあると思います。
そういった天候が原因で身体の不調を引き起こす病気のことを気象病といいます。ここでは気象病について、詳しく見ていきます。
気象病とは何か?
気象病とは、気圧、温度、湿度などの気象の変化によって起こる、さまざまな体調不良を総称したものです。
正式な病名ではなく、頭痛、めまい、倦怠感、関節痛、気分の落ち込みなど、人によって症状は様々です。
おこりやすい年齢でみてみると、高齢者が比較的おこりやすくなるようです。
気象病の原因
気象病が起きる原因としては、気象の変化に身体がうまく適応することができず、自律神経のバランスが崩れ、さまざまな身体の不調が引き起こされます。
気象の変化には気圧の変化が伴います。耳には気圧の変化を感じるセンサーがあり、このセンサーが敏感な人は、少し気圧が変化しただけでも脳に過剰に伝わってしまい、頭痛やめまいを引き起こすことがあります。
また、気圧の変化により血管が萎縮したり、拡張することで、血液の流れが悪くなり、頭痛や肩こりにつながっていくことがあります。
ほかにも、関節痛、倦怠感、不眠などが気圧の変化によって引き起こされることもあります。
気象病になりやすい人
気象病はなりやすい人と、なりにくい人がいます。なりにくい人は気圧や気温の変化がおこっても気象病の症状が出るということは少ないです。
反対に気象病になりやすい人というのは、ちょっとした気圧や気温の変化でも気象病の症状が出てしまいます。
気象病になりやすい人の特徴として、自律神経が乱れやすい人、女性、慢性疾患患者があげられます。
自律神経は人体の様々な機能を自動的にコントロールしています。気圧や気温の変化は、この自律神経に大きな影響を与えます。
気圧や気温の変化という外的要因に加えて、ストレスや、睡眠不足という内的要因によって自律神経が乱れると、気圧や気温の変化に敏感に反応し、気象病を発症しやすくなります。
女性は、女性ホルモンの分泌量の変動が自律神経のバランスに影響を与えていると考えられています。月経前や更年期は女性ホルモンの分泌量が変化する時で、この時に気象病になりやすい傾向にあります。
気象病にかかりやすい慢性疾患とは、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛などがあります。これらの疾患の特徴としては、気圧の変化によって、関節内の圧力が変化したり、寒さが原因で筋肉が緊張したりすることが原因であると考えられています。
また、加齢に伴い、自律神経のバランスが崩れやすくなったり、身体の各機能が低下する傾向にあり、気象の変化に対して敏感に反応してしまうこともあります。
スマホ病とストレートネック
現代社会では多くの人が使用しているスマートフォン。携帯電話としてだけでなく、Web閲覧、アプリ使用等、非常に便利ですが、長時間使用することにより、様々なリスクがあります。
そのうちのひとつである、スマホ病についてみていきましょう。
スマホ病とは何か?
スマホ病とは、スマートフォンを長時間使い続けることが原因で引き起こされる、身体の不調のことをいいます。
スマートフォンを長時間使用することで引き起こされる、現代人ならではの病気といえます。
精疲労や肩こり、姿勢が悪くなることが原因でおこる腰痛などが代表的なスマホ病です。
た、スマートフォンの使用だけでなく、長時間同じ姿勢で読書していても同様のことがおこるといえます。
ストレートネックとは何か?
ストレートネックとは、本来はS字カーブを描いている首の頸椎が、まっすぐになってしまった状態のことをいいます。
ストレートネックになってしまうと、頭痛、肩こり、めまいや集中力の低下がおきてしまうといわれています。
ストレートネックを放置してしまうと、症状が悪化し、日常生活に支障をきたすおそれがあります。
頸椎の神経が圧迫されることにより、手足のしびれや痛み、ひどい場合は呼吸困難にもなりえます。
スマホ病とストレートネックの関係性
スマートフォンを長時間使用したり、長時間同じ姿勢で読書することによって、首を前に突き出すような姿勢になってしまいます。
この姿勢が続くと、首の筋肉が緊張し、頸椎のS字カーブが損なわれ、まっすぐに伸びたような形になってしまいます。このまっすぐに伸びてしまった状態をストレートネックといいます。
スマートフォンを長時間使う人におこりやすい症状であるといえます。長時間同じ姿勢を取り続ける事務職の方はストレートネックになる可能性がほかの職業の方よりも高い傾向にあります。
気象病、スマホ病、ストレートネックの共通点
スマホ病とストレートネックは長時間同じ姿勢を取り続けることがひとつの原因です。
この章では、気象病、スマホ病、ストレートネックの共通点について解説していきます。
それぞれの病気の原因は別のものですが、ある共通点があります。
自律神経の乱れ
自律神経の乱れは、気温や気圧の変化によっても引き起こされます。
長時間スマートフォンを使用することが原因で眼精疲労や、睡眠不足が引き起こされ、自律神経が乱れてしまい、倦怠感、頭痛、めまいなどの症状が出てきます。
また、ストレートネックは長時間同じ姿勢が続くことによって、首や肩の筋肉が緊張状態を続け血流が悪化し、自律神経のが乱れ、同様の症状が出てきます。
これらの要因が重なりあうと、普段は体調を崩さない人であっても、体調を崩しやすくなってしまいます。
特に高齢の方の場合は加齢により体調の変化がおきやすいため、注意が必要です。
血行不良
気温の変化によって血管が収縮を続けることにより、血行が悪くなり、頭痛を引き起こすこともあります。
季節の変わり目や一日の気温の寒暖差がある場合は、より引き起こしやすくなります。
特に高齢になると、血管が硬くなり弾力性を失うため、頭痛やめまいが出やすくなります。
スマートフォンを使用する際に長時間同じ姿勢をとりつづけることで、血行を悪くするリスクがあります。
ストレートネックになってしまうと、首や肩の筋肉が緊張し、血行を阻害してしまいます。
また、高齢になると血管の老化、筋肉量の減少、運動量の減少により、血液の流れが悪くなり、血行不良がおこりやすくなります。
日常的に運動の習慣がある方は良いのですが、日常的に運動の習慣がない高齢者は注意が必要です。
症状を改善するために
スマホ病、ストレートネックを放置しておくと症状が悪化してしまい、さらなる病気を引き起こしてしまうおそれがあります。
そうなる前に、早期に対応する必要があります。
生活習慣の見直し
スマホ病は長時間同じ姿勢でスマートフォンの操作を続けることが原因で引き起こされます。
また、スマートフォンだけでなく、長時間同じ姿勢を続けるパソコン操作や事務作業、読書などでも引き起こされる可能性があります。
そのため、定期的に首回りのストレッチ運動を日常生活の中に取り入れることが、血行促進につながっていきます。
また、夜遅くまでのスマートフォンを使っていると自律神経が乱れてしまう恐れがあります。
夜遅くになったらなるべくスマートフォンを使わない方が、自律神経を休めることにつながります。
就寝が近くなったらスマートフォンの操作は控えましょう。
やむを得ずスマートフォンを使う場合は、ブルーライトカット眼鏡を使用したり、スマートフォンの照度を下げるなどして、眼にかかる負担が少なくなるようにしましょう。
医師へ相談
気象病、スマホ病、ストレートネックはそのまま放置しておくと、さらに悪化し、自律神経失調症、眼疾患、肩や首の慢性的な痛みを引き起こす恐れがあります。
日常生活に支障が出てしまったり、症状が頻繁に出るようになってしまったら、すぐに医師へ相談をしてください。
医師の診察を受けることで、原因の特定や正しい治療、生活習慣改善のアドバイスをうけることができます。
早期に対応することが重症化を防ぐ一番の近道です。
まとめ
気象病、スマホ病、ストレートネックがおこる原因は日常生活の中でのちょっとした習慣に原因があるものもあります。
これらの症状を改善するためには、生活習慣の見直しや医師への相談が大切です。
健康的な生活を送るために、自分自身の身体と向き合い、異変を感じたら手遅れになる前に病院を受診しましょう。