老人ホームを見学した際に、どこまでが本当でどこまでが嘘かわかりますか?
私でも判断できないことがあります。
ですので、老人ホームを探すプロではない一般の方からすると「施設から言われたことをそのまま信じるしかない。」ということになるでしょう。
ただし、せめて『嘘』なのか『営業トーク』なのかの判断が出来たらいいなと思うことはありませんか?
老人ホームに入居する前に施設見学に行きますよね。
その施設見学時に言われた施設からの話が、そもそも『嘘』なのか『営業トーク』なのかどうかと、
インターネットや施設のパンフレットに記載してある内容が『嘘』なのか『営業トーク』なのかについてお教えします。
この記事にたどり着いたかたは、きっと読んで良かったと思うことでしょう。
はじめに
老人ホームを探すときは、急におとずれることもあれば、
「そろそろ考えなくてはいけないかしら」と徐々に検討を始める場合もあり、経緯としては2種類にわかれます。
たとえば、
- 自宅で骨折をし、救急車で運ばれて入院してしまった。
医師からは自宅での一人暮らしは難しいと言われた。 - 自宅で一人暮らしをしている父親から電話がかかってきて、
「隣の家の人に財布をとられたみたい。」というような『物とられ』という認知症状と思われる発言が増えてきた。 - 自宅での母親の介護に限界を感じはじめた。
などさまざまな理由で施設探しの第一歩が始まります。
インターネットやケアマネージャー、病院の相談員から話を聞き、
- どんな施設が近くにあるのか。どのような施設が良いのか。
- そもそも老人ホームとはどんなところなのか。
などの施設の理解を深めるために、まずは知識をつけることでしょう。
ここに至るまでにも大変な思いをしたり、労力がかかって心身ともに疲れることでしょう。それもそのはずです。
有料老人ホームといわれる種類の施設は、介護保険法のなかで介護保険法を順守したかたちで運営をしているのです。
ほかにも、建築基準法や市区町村の条例などもありますから、それらを理解していないと老人ホームの理解を深めることは難しいのです。
理解できないということは、
施設に見学に行った際に施設のスタッフから説明を受けても何が嘘で何が本当かなんてわかるはずがないのです。
たとえば、かけ算を知らない人にかけ算の問題を計算させても、そもそもかけ算の計算の仕方がわからないのですから、答えを導けるはずがないのです。
回答するにしても、答えは当てずっぽで書くしかないですよね。
これでは、実際に答えがあっているか間違っているのか自分では判断できませんよね。
ですから、答えが合っているかを確認するために第三者に確認をとったり、第三者が作成した解答冊子(答えだけが記載したある冊子)を確認しなければ一人では正解か不正解か判断できませんよね。
これと同じことなのです。
かけ算の解き方を知らない=老人ホームのことを知らない
と同じことなのです。
ただし、かけ算と違うところは、かけ算を理解するために必要なボリュームと、老人ホームを理解するために必要なボリュームが全く異なります。
理解するというのはなかなか骨の折れることですから、理解できなくても致し方ないと私は思います。
逆を言えば、紹介会社も利用せずに施設や介護業界を理解できたとしたら、
『嘘』なのか『営業トーク』なのかを見抜くことが可能になるということです。
ですが、実際には施設や介護業界の知識を身につけることは一朝一夕ではできません。
それだけ老人ホーム探しというのは難しいのです。
そのために第三者機関の一役を担う、プロの老人ホーム探しをおこなう紹介会社という会社がある訳です。
見学時によくある営業トーク
家族が施設に見学に来た際に、施設の職員が説明時にたいてい言うであろうフレーズを例に出しながら、『嘘』や『営業トーク』についてご説明します。
有料老人ホームの研修は営業トークか見抜く
「ほかの施設は知りませんが、弊社では毎月職員研修をしているので安心できる施設です。」
有料老人ホームに見学に行くとよく聞く話です。
職員の研修体制は、親が入居するにあたり気になるポイントではないでしょうか。
研修を何もしていない施設と、研修をしっかりとしている施設では家族としての安心度は断然違うと思います。
ただし、この研修ですが有料老人ホームで実施することはそもそも義務です。
毎月行わなくてもいいのですが、ほとんどの施設では毎月何かしらの研修をおこなっているのが現状です。研修内容も、研修を1年で何回実施するかも決められています。
有料老人ホームを開設するにあたり、行政との打ち合わせを事前に行わないといけません。
この点がしっかりと計画されているかは、問われる項目になります。
有料老人ホームを開設する前に研修計画がない場合は、ほとんどの場合は有料老人ホームを開設することの許可がおりません。
こちらに関しては、有料老人ホームを運営するにあたり、行政が発行している指針などを参照すると記載があります。
- 有料老人ホーム設置運営指導指針
- 有料老人ホーム設置指導要綱
- 有料老人ホーム設置運営事務取扱要綱
と記載されていることが多いです。
こちらの資料は、有料老人ホームを開設するにあたり、どのように申請をして開設や運営をしなければならないか、職員の配置や建物の基準等を記載してある取扱説明書みたいなものです。
ですから、20ページ以上あることがほとんどです。
東京都においては、
東京都福祉保健局のホームページ(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/shisetu/yuuryou/shishin.html)
に掲載されています。
現時点(2022年3月17日現在)で上記のURLから指針を確認したところでは、33ページありました。
横浜市では、
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【有料老人ホームに関する要綱、指針】
○横浜市有料老人ホーム設置運営指導要綱
市内に有料老人ホームの設置をされる場合は、本指導要綱に基づき、事前協議や届出等の手続きをお願いします。
○横浜市有料老人ホーム設置運営指導指針
横浜市が有料老人ホームの設置予定者及び設置者に対して、施設設備や管理運営について必要な指導を行う際の基準として定めています。
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引用:横浜市 有料老人ホームに関する届出様式、指導要綱、指導指針について
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/fukushi-kaigo/kaigo/shinsei/kyotaku/yuryou.html
というように2つに分かれており、このような行政も多いので市区町村ごとで2つの資料を確認する必要があるのか1つの資料のみを確認すればいいのかを確認する必要があります。
こうした資料を読み解いておくと、施設の見学時に施設のスタッフが話をした内容が、『嘘』なのか『営業トーク』なのかを簡単に見抜くことができます。
ちなみに、毎年おこなわなければならない研修のことを介護業界では
『法定研修』あるいは『必要研修』
といいます。
逆に、月2回以上の法定研修を行っている施設があるとしましょう。
そして、月2回ともテーマが違う内容で研修を行っている場合は厳密には言い難いですが、法定研修とは別に自主的に施設側でおこなっている研修という可能性が高いです。
ですから、職員の向上に努めている可能性が高い施設ということになります。
老人ホームを見学時に、施設のスタッフが誇らしく
「毎月、施設で職員の研修をおこなっています!」と話をされることがありましたら、当たり前のことを当たり前におこなっていると認識し、
「すごい!」と思わずに『営業トーク』として捉えるようにしましょう。
しっかりとした施設であれば当たり前のことは誇らず、きっと「法定研修はきちんとおこなっています。」などと普通に答えてくれるはずです。営業力にまどわされないように注意しましょう。
サービス付き高齢者向け住宅の違反を見抜く
「私たちのサービス付き高齢者向け住宅では、訪問介護やケアマネージャーは弊社が提携している事業所しか利用できません。」
サービス付き高齢者向け住宅が増えた影響で、一度は耳にしたことがあると思います。
サービス付き高齢者向け住宅は、老人ホームではありません。
そのため、介護を主として提供する施設ではありません。
どういった施設かというと、
『状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅』
のことをいいます。
ですから、介護が必要になったら、退去しないといけないというサービス付き高齢者向け住宅もあれば、よくある話としては、施設と契約すると同時にその施設が提携している訪問介護の事業所や自社の訪問介護事業所を抱き合わせで囲い込み、提携先や自社の訪問介護事業者との契約をおこなうように依頼してくる施設があります。
依頼してくる時点でも私はグレーだと思いますが、斡旋するようなことはしてはいけないとされています。場合によっては『違反』となります。
出典:厚生労働省 社会保障審議会(介護給付費分科会)第102回(H26.6.11) 資料2
高齢者向け住まいについて
上記のように、厚生労働省の資料にも、記載がありますから斡旋はできないのだと確認しておきましょう。このようなサービス付き高齢者住宅は、施設を見学に訪れた家族の無知を利用して『嘘』をついてきますから騙されないように注意しましょう。
老人ホーム探しで騙されない方法
こうした勉強をして、知識をつけると簡単には騙されないようになり『嘘』や『営業トーク』を見抜けるようにはなりますが、
- 実際に急いで老人ホームを探すとき
- いまから勉強なんてしたくない
- 難しいことはわからない
などでお困りのかたもいらっしゃると思います。
家族としても、
- 仕事をしながら老人ホームを探すかた
- 子育てや孫の面倒をみながら親の老人ホームを探さないといけないかた
もいらっしゃると思います。
自分のことや子どものことをしながら、なかなか知識を付けることは難しいことです。そんな時は、老人ホーム探しのプロである紹介会社を頼ってください。
しかし、老人ホームの紹介会社ではどこでもいいというわけではないです。
- 必ず介護現場を1年以上は経験している
- 介護や福祉の国家資格である社会福祉士や介護福祉士や国家資格ではないですが介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格を有した紹介会社
最低でもこの2点を持ち合わせた紹介会社へ依頼してください。
なぜならば、老人ホームを探すときには、知識は必要不可欠と記載してきた通り知識を有したスタッフということになりますから、上記の2点を有していれば、専門性を備えたプロの紹介会社である可能性が高くなります。
また、誰でも簡単に参入できてしまう業界ですので、
- 自宅売却も対応できるように不動産屋がはじめた紹介会社
- 葬儀の受注や遺産整理の受注を対応できるようにはじめた紹介会社
もあると聞きます。
そうした紹介会社がすべてダメだと言っているわけではなく、
相談した先が専門性を備えたプロの紹介会社のスタッフの方が、
無資格で介護の経験もしたことない人と比べれば、専門性を有している可能性が高いと個人的には思いますので、『専門性を備えたプロの紹介会社』に依頼することをおすすめします。
選択を間違えなければ、一緒に見学時に紹介会社のスタッフが付いてきてくれて、施設のスタッフの『嘘』や『営業トーク』を第三者の立場に立って、見抜いて家族に助言をしてくれます。
父親母親の一生の最後を左右する施設の選択を間違えないようにしましょう。
さいごに
いかがでしたか。
老人ホームを探すというのは、ただなんとなく探すだけなら簡単ですが、父親母親に合うベストな老人ホームを選ぼうとすると本当に本当に苦労します。
知識がないのであれば、ほぼ確実に運まかせで施設を選ぶということになります。
パチンコやカジノや宝くじのように運で選んでも良いと思っていれば、それで良いのですが、「後悔したくない!」というかたは、『近所のよしみ』までご連絡してください。
紹介会社のプロとして、後悔しないようにサポートをさせていただきます。