引継ぎをおこなわない施設に注意!

引継ぎをおこなわない施設に注意!

引継ぎをしない施設に注意

先日、病院の相談員から連絡があり、
「老人ホームを探してほしいお客様がいる」とのことで、老人ホームの選定をし、提案をしたことがありました。
その一件での出来事を事例形式で記載します。

みなさまの老人ホーム探しの参考になればと思います。

有料老人ホームを提案する前の準備

病院の相談員を通じて、お客様と日程を合わせて、病院で話し合いをすることになりました。
私は事前に、入居予定者のかたの情報を相談員から聞き、お客様に合った老人ホームの選定をし、準備をしました。

病院でご家族に提案

有料老人ホームに求める希望の確認

入居予定者のかたは神奈川県大和市にお住いの男性でした。お会いしたお客様は、その男性の娘さまでした。※ここから先では、男性をAさんと記載します。

Aさんは、ご自宅でなんとかひとりで生活してきましたが、腰椎圧迫骨折にて入院し、認知症も軽度の診断があり、ちょうど娘さまも老人ホームへの入居を検討している最中でした。

娘さまと話をし、いままでのひとり暮らしのご様子や、その当時のことなどを聞きました。
入院時に治療をし、リハビリを行い、自宅でひとり暮らしをしていた頃よりは足腰は衰えましたが、短い距離であれば歩けることがわかりました。

トイレや食事も声をかける必要はありますが、ご自分で食事を召し上がることもできたため、お身体的にはそこまで悪くないと確認し、Aさんがひとり暮らしをしていた時の様子と、入院後の現在の様子の違いを確認しました。

次に、娘さまの希望とAさんの希望を丁寧にお伺いしました。

  • 自宅から近い施設が良い
  • 孫の面倒をみるので、あまり遠いと困る
  • リハビリができる施設が良い
  • 孫にもお金がかかるだろうから、あまりお金をかけてあげれない

などの希望を確認することができました。

どうやら娘さまの子どもに赤ちゃんが生まれたばかりで、娘さまも自分の娘の子育てで大変であることがわかりました。嬉しい反面、自分のお父さんがいまこの状況でバタバタしている様子が伝わりました。

一方、Aさんの希望としても、

  • ひとり暮らしができるようになりたいが無理だろうな
  • 娘に迷惑をかけないようにしたい

このような希望を確認しました。穏やかな印象で、いままで頑張ってこられたんだなと印象を持ちました。

Aさんと、娘さまの住んでいる場所は事前に聞いていたため、私はそれぞれの住んでいる地域にある老人ホームのパンフレットを持参していきました。おおよそ、20か所くらいはありました。その中から話を聞きながら、どの施設が良いか精査していき最後は4施設に絞られました。
Aさんと、娘さまはリハビリや運動が活発な施設がご希望ということでしたから、選定はそこまで難しくありませんでした。

予算オーバー!なぜ高い?

しかし、希望に合う施設は、予算を超えているということです。通常、老人ホームでは、みなさまが描いているようなリハビリや運動などの活発なことはしていません。看護師も24時間365日いるのだろうと思っているかたもおりますが、老人ホームでは、リハビリを毎日、個別で、1時間以上かけておこなうことはしません。

生活リハビリ』という言葉を使う施設が多いのではないでしょうか?“生活リハビリ”という単語は知っていますか?

生活リハビリとは、人間が1日の生活でおこなう動作のことです。

たとえば、

  • トイレに行ってズボンを上げ下げする動作
  • 日中に着ている洋服からパジャマに着替える動作
  • 入浴の際に洋服を脱いだり、髪の毛を洗ったりする動作
  • 食事のたびに食堂まで自分の部屋から歩く動作
  • 食堂で食べる動作

こうしたことを介護業界では、『日常生活動作』と呼んでおります。このような動作をリハビリの一環としてとらえ、自立した生活を支援し、日常の生活の中でリハビリをしているという考え方です。
ですから、介護スタッフが、入居したかたの介護をなんでもするのではなく、事故がないように見守りや必要なポイントのところで適切な介護を行うことが重要になります。

こうした生活リハビリは大抵の施設で謳っていますが、実際にはできていない施設もあります。このような生活リハビリ以外の専門的なリハビリは、老人ホームでは行っていません。
ですから、行っている施設はその老人ホームの特徴となります。そのため、リハビリを行っている有料老人ホームは料金が高くなる傾向があります。

同じように、老人ホームには、看護師が24時間365日いません。基本は、日中は看護師がいるけど夜間は不在という施設がほとんどです。ですから、看護師が24時間365日施設に常駐しているということは、その施設の特徴となります。
そのため、看護師が24時間365日常駐している有料老人ホームは料金が高くなる傾向があるということです。

私は、提案内容を変えました。

有料老人ホームとは別の施設の提案

次に提案した施設は『介護老人保健施設』に入居してみてはどうかと提案をしました。

介護老人保健施設とは、『老健』と呼ばれています。要介護高齢者(要介護1以上)の自宅復帰を目指すため、作業療法士や理学療法士等によるリハビリや、食事・入浴などにおける必要なための介護サービスを提供します。

医師をはじめとする看護、介護、リハビリにおける専門スタッフが、入居者が自宅に帰ってひとり暮らしができるようにと目標を立てて支援をする施設のことです。有料老人ホームとは別の機能をもった施設です。

在宅復帰をメインにしている施設ですから、入居期間は原則として3~6ヶ月の期間限定になっていますが、現状は入居期間以上を老健で過ごしたり、老健から一度、在宅に帰宅し、もう一度、老健に入居するなどのかたもいらっしゃいます。余談ですが、私たちは、いろいろな老健に入居したり退去したりを繰り返す状況を『老健まわり』ということがあります。

このように、老健は終の棲家にはなりませんが、少しでも長くリハビリをしたいという希望と、料金が有料老人ホームより安価なことが決め手となり、介護老人保健施設に入居することが決まりました。

介護老人保健施設を探すのは、娘さまと病院とが連携して探すことで、私はお役御免になりましたが、プロとして良い提案だったかと自負しています。もちろん、老健のデメリットもしっかりと伝えたうえで、Aさんと娘さまは決断いたしました。

感謝の連絡

その後も、娘さまから私のもとへ電話で相談がくるので、そのたびに相談にのりました。そして、娘さまが探してきた老健に入居したとの連絡があり、相談ができて良かったとお礼と感謝の言葉を頂戴しました。

その際に、いままでの支援内容やここまでに至った内容などを施設に引継ぎをした方が、Aさんにとっても娘さまにとっても良いことですから、介護老人保健施設に連絡して引継ぎをしておくことを伝えました。
もちろん、娘さまからは「そこまでしていただき申し訳ないです。ありがとうございます。」と感謝の言葉がございました。

不安な引継ぎ

後日、介護老人保健施設に連絡をしましたが、なんと施設側から、「本人は入所したばかりで、こちらも忙しくて本人・家族ともまだ話をしていないため情報提供は必要ない。」という返答でした。そうです。引継ぎをおこなうことを拒否されたのです。

さらに、Aさんがすでに入居しているにも関わらず、Aさんともご家族とも今後の支援内容などの話をなにもしていないというのです。通常、こういったことはあり得ません。

一度、電話を切りましたが、私の気持ちは唖然としていました。

情報も整理できておらず、引継ぎもできない施設に不安を感じて、娘さまに話をしました。最終的には、引継ぎを行うことができました。しかし、Aさんや娘さまと、ろくに話をしていないのにAさんの入居を「OK」してしまう施設がまだ世の中にはあるのだと不安であることを説明し、通常の入居の仕組みをお伝えすると驚いていらっしゃいました。

介護業界に精通していなければ、何が普通の入居の仕組みか説明されないとわからないと思うので、説明をしっかりするべきだったのではとAさんが入居した介護老人保健施設には疑念を抱きました。

安心できる引継ぎを

引継ぎは、私たちの介護業界でなくても大事なことです。考えてみてください。もし会社を辞めるときに、自分がおこなってきた業務を新しく入社するメンバーや引き継ぐメンバーに伝えないと、その会社が困ることになります。

引継ぎをしないで会社を立ち去った場合はどうなるでしょうか。新しく入社した社員は業務が把握できない。あるいは、業務を把握するのに手間取るでしょう。
引継ぎを怠ると様々な不利益があります。それがきっかけで、仕事に慣れるまでに時間がかかったり、心労に負担が大きくかかるのではないでしょうか?

今回の事例に照らし合わせれば、Aさんの思いや娘さまの思いや希望などをかたちにするために、周辺環境なども考えて介護老人保健施設に入居することを決めました。そして数ある施設の中から、ある特定の介護老人保健施設に入居を決めたのです。

ほかにも、Aさんの状態もありますし、娘さまのおかれている家庭環境などを引継ぎしないと、Aさんと娘さまは私に話をしてくだった話と同じことを施設側にまた話すことになってしまいます。
引継ぎをしていれば、そんな非効率なことをする必要性がないですし、Aさんや娘さまの思いを形にできるような支援を施設で計画することができるのではないでしょうか。

さいごに

みなさまも、もし、老人ホームに入居する際は、しっかりと引継ぎをしてくれる紹介会社を選ぶことも大事ですが、受け入れる施設側がしっかり引継ぎが出来る施設を選ぶように注意をしてください。

ひとりの命を預かるのが施設の役割でもあると私は思います。ですから、私たちが老人ホームを紹介する場合は、お客様が入居する前からご本人様のことを考え、受け入れ準備をきちんとしてくれる施設を紹介しております。

どの紹介会社を頼ったらいいかわからない。介護の相談を誰にしたらいいかわからないという不安な気持ちを持っているかたがいらっしゃいましたら、お気軽に『近所のよしみ』までご連絡ください。

私たちは「不安だ」「困った」を解決することに誇りを持っている会社です。

※この記事では、退院後、施設に移動したかたの事例をもとに、記事を記載いたします。そのかたの体験をもとに記載しておりますが、プライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。

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