西東京市に事務所を構えている『地域介護相談センター近所のよしみ』は、介護や福祉の専門家の集まりです。
その集まった専門家が有料老人ホームを紹介しているのですが、フリーのソーシャルワーカーといっても過言ではない働きをするスタッフもなかにはおります。
むしろ、日本のソーシャルワーカー以上の働きをしています。
今回は、そんな有料老人ホームの紹介にとどまらない『地域介護相談センター近所のよしみ』が支援した、ひとりのお客様におこなった支援内容について記載します。
身寄りなし。横浜市にお住まいのAさん
横浜市に住んでいるAさんという男性におこなった支援です。
Aさんとの出会いは、神奈川県のとある病院からの相談でした。
Aさんは身寄りがありませんでした。
ひとり暮らしをしていましたが、もともとの病気のせいで体の自由が少しずつ奪われていき体を動かすことが困難になっていく病気でした。
病院に入院する前は、ケアマネージャーや訪問介護などの支援や、近隣の友人などの力を借りながら生活ができていました。
しかし、段々と年を重ねていくと、歩行するのも困難になってしまい、階段やちょっとした段差でも転ぶようになってしまいました。
ある日、訪問介護に訪れたスタッフが自宅で倒れているAさんを発見し、救急車を呼び緊急入院となりました。
荷物類などは近隣の友人や病院のソーシャルワーカーの支援により、なんとかそろえることができたそうです。
治療を進めていき、状態も落ち着いてきたので退院をするかどうか検討に入りましたが、Aさんとしては、自宅に帰りたい意向はあるものの、現状を考慮すると病院としては自宅でのひとり暮らしは難しいという判断でした。
そこで病院側は、老人ホームへの入居検討をAさんに勧めました。しかし、Aさんは自宅に帰りたいという意向が強いため、老人ホームへの入居は拒否したそうです。
そうして日々を重ねているなかで、病院のソーシャルワーカーから『地域介護相談センター近所のよしみ』に連絡があり、Aさんについての相談を受けました。
『地域介護相談センター近所のよしみ』の横浜エリアを担当している職員がAさんに会いに病院に行きました。
どうしても自宅に帰りたい。一体なぜ?
Aさんにお会いし、本人の意向を直接確認したところ「どうしても家に1度でいいから帰りたい」という気持ちが強いということが確認できました。
Aさんが「トイレに行きたい」というので病室を離れました。その際職員は、本人の体の状態を確認しました。この動作でどの程度動けるかたなのかを見極めているのです。
そうしてAさんがトイレのために病室を離れている間に、認知症の診断がおりているか病院のソーシャルワーカーに確認すると、認知症の診断はおりていないことが分かりました。
しかし、体の自由がなかなか思うようにきかない状態とのことでした。
実際、本人にお会いしたときもベット上に横になっている状態で、どの程度体が動かないのか不明でしたので状態確認をおこないました。
病院側としても、老人ホームに入居して欲しいので早めに退院を促したいが、自宅に帰りたいという気持ちが強いかたで、なかなか老人ホームに行くことを了承してもらえず困っているとの事でした。
Aさんは入院できる期間が決まっており、病院側が日程を延ばしたくても延ばせない状況がありました。
また、『地域介護相談センター近所のよしみ』に連絡する前に、すでに別の老人ホーム紹介会社4社に依頼をしましたがことごとく断られてしまい、病院としても困っているということでした。
ご家族関係について、家族や親せきがいないのか聞きましたが、Aさんは「いない」と言っているとのことでした。
老人ホームに入居するにしても、身元保証人は必須事項ですから、職員はどうしたものかと思いながらも、老人ホームの受け入れ先をひとまず探すことにしました。
職員は既に、この時点からAさんが入居した後のことも検討を始めました。
Aさんがトイレから帰ってくると、気になっていたことを聞きました。
「どうしてそんなに家に帰りたいんですか?何か家にあるんですか?」
とお伺いすると、
「自宅がどうなっているか心配だし、なにより、(飼っている)猫が気になる。自宅で世話をしていたんだけど、ちゃんと生きているか心配。友人が見てくれていると思うけど心配だ。家にお金も置きっぱなしになっている。」
との話をしてくださいました。
「代わりに確認してきましょうか。」とお伺いするが、頑なで気持ちの変化は難しそうだなと思いました。そこで、この気持ちの矛を納めない限りは先に進まないと判断しました。
その日はあいさつと、本人が老人ホームにそもそも行く気がないことを確認し、状態などをソーシャルワーカーに確認して、職員は帰りました。
Aさんが本当に認知症ではないのか確認するために、病院に依頼をかけて、MMSEと長谷川式という認知症のテストもおこなっていただき、本人が認知症でないということを再確認したうえで、何を話すか準備をしました。
老人ホームを検討することに。そのきっかっけとは?
後日、再度Aさんとお会いしました。
そして、結論から言ってしまえば、老人ホームを検討してもらえることになりました。
さて、どうしてAさんが老人ホームを検討してくれたかわかりますか?
ここが、プロの紹介会社である『地域介護相談センター近所のよしみ』と、何もできなかった紹介会社4社との違いです。
もちろん、無理やり強引に老人ホームをプッシュしたわけではありませんし、2時間3時間かけて説得したわけでもありません。営業をかけたわけでもありません。
職員がおこなったことは、Aさんの話をよく聞き、受容してAさんの願いを叶えてあげることでした。そこから気持ちをほぐしていき、信頼関係を獲得したのです。
具体的に何をしたかというと、簡単です。
『自宅に帰れるように手配をした。』それだけです。その約束をし、調整を行いました。
ただし、一週間自宅で生活ができるように『衣・食』を整えながら調整するのは大変なことです。
おそらく、これまでの紹介会社は、老人ホームを紹介するだけだったのでしょう。
本人の意向を聞かずに、とにかく老人ホームに入居するよう説得し「入居する」と言ってくれるかたもおりますが、そんな方々ばかりではありません。
プッシュ営業されても、営業ですから、断られてしまったのでしょう。
それに、「家に帰りたい」とAさんが言っても、実際に家に帰すのは面倒だと思ったのかもしれません。あるいは、自分の仕事ではないと考えたのでしょう。
当社は、そこが違います。
Aさんに寄り添い、Aさんの話を聞いてあげることで、やっと良い方法が導き出せたのです。
一方的に話術という力でねじ伏せることは良い支援とは思いません。
ですから、遠回りだろうが、Aさんが前を向いて人生を進められるようにと願いを込めて、自宅に帰れるように支援をしたのです。
施設入居だけではないサポート
その後職員は、Aさんから「友人と今後に関して話をしたいので付いてきてほしい。」と言われたので、同席をしました。
話の内容はこうでした。
- 知人が協力してくれていたことは、自宅の管理、ペットの世話、金銭管理とのこと。
- 知人は今後も継続して支援をしていくつもりではあるが、金銭管理は辞退したいと考えている。
- 入院継続をしていくのも限界があるため、施設入所先の選定と、今後の為に任意後見の相談をしたいので友人にそれまで手伝ってほしい。
こうした話し合いを終え、Aさんなりに自宅で1週間生活をしたのち、一度病院に戻り、老人ホームの話を聞いてもらえるようになりました。
そこからは、スムーズに話を聞いていただくことができ、最終的には1つの老人ホームに決めて、無事に入居することができました。
Aさんは、自宅に帰り自分の気持ちを整理して、友人と今後に関しての話や「ありがとう」という今までの感謝の気持ちを伝えたかったのではないかなと思います。
病院に入院しているときでは、菓子折り1つ買えないですし、お金を包むことも難しいですよね。そうした内容を人には言いづらいのも理解できます。
その後も職員は、Aさんが老人ホームに入居した後も顔を出すようにし、後見契約や遺言書を書きたいなどの意向があったため、その手続きを支援しました。
ここまですることで、この先Aさんが亡くなったあとに誰も困らず、本人も友人などに迷惑をかけることなく、身寄りがいなくても安心して最後の時を迎えられるように整えたのです。
こうしてAさんへの支援を終了しました。
ありがたいことに、いまでもAさんから直接連絡がきて、近況を教えてくださいます。
職員も時間を見つけては、たまにAさんに会いに行ってたわいない話をしています。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
最後は、走り書きのようになってしまいましたが、私たち『地域介護相談センター近所のよしみ』では、老人ホームに入居した後もしっかりと支援をするように努めています。
また、知識や経験は当然の必須項目ですから、当社に入社した職員は入社後、約1~2か月後にテストを実施し、プロの老人ホームの紹介会社と名乗るための研修も欠かしていません。
こうした知識や経験のほかに大事にしていることは、『傾聴、受容』です。
相手の話をよく聞き、相手を受け入れて相手と信頼関係ができたところで話を進めるということを重要視しています。
ですから、慎重な入居検討者のかたや家族のかたや、ご不安が強い傾向の入居検討者のかたや家族のかたですと、『地域介護相談センター近所のよしみ』が相談を受けるときには2時間という時間があっという間に経ってしまいます。
それくらい、私たちは『傾聴、受容』を大事にしています。
老人ホーム探しで、プロの紹介会社に依頼したい家族のかたや、身寄りがいないかたで一緒に老人ホームを探してほしいかたは、『地域介護相談センター近所のよしみ』に相談ください。私たちが誠心誠意、プロの対応をいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
※この記事・作品(漫画・物語)は相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。尚、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。