高齢者の水虫とは?初期症状や自宅で簡単にできるチェック方法をベテラン看護師が解説

高齢者の水虫とは?初期症状や自宅で簡単にできるチェック方法をベテラン看護師が解説

うちのお父さん、爪が白くなったり皮膚が剥けたりしているけど、もしかして水虫かな?水虫の特徴や原因があったら知りたい。

このようなお悩みはありませんか?

どんどん皮膚がめくれたり、爪が変形したりするのを見るのは不安ですよね。また、水虫は人にうつるので、感染が拡大する前に正しい対処が必要です。

そこで、本記事では以下のことを解説しています。

  • 水虫の原因や症状
  • 水虫チェックリスト
  • 水虫になったら注意すること
  • 水虫に関するよくある質問
看護師歴8年の私が、高齢者の水虫について分かりやすく解説します。
看護師さん
看護師さん

本記事を読むと、高齢者の水虫に関する正しい知識と対処法がわかります。

自宅で簡単にできる「水虫チェックリスト」と合わせて家庭内での感染防止ためにも、ぜひ参考にしてくださいね。

もしかして、うちのお父さん水虫なんじゃないかしら…

と気になっている方は、チェックしてみてください。それでは本題に入ります。

そもそも水虫とは?

水虫とは、人の皮膚にカビ(真菌)が増殖することで起こる病気です。医療用語では「白癬(はくせん)」といいます。

水虫は手や足の皮膚に発生することが多いです。

高齢者によくみられる水虫の種類はこちらになります。

  • 趾間型:足の指の間に発生。皮がむけて汁が出てくることも。
  • 小水疱型:2〜3mmの小さな水ぶくれができる。
  • 角質増殖型:角質が厚くなって表面がザラザラする。足の裏や踵にできやすい。
  • 爪水虫:手や足の爪にできる。爪が変形したりボロボロになったりする。
「水虫」という名前ではありますが、患部に虫がいるわけではありません。
看護師さん
看護師さん

水虫の原因

高齢者が水虫に感染する主な原因はこちらの2つです。

  • 高温多湿な環境
  • 他人からの感染

水虫はカビなので、高温多湿な環境を好みます。

  • 手袋や靴下を長時間着用している
  • 毎日のように革靴をはいている
  • 汗をかきやすい

このような方は水虫になりやすいです。

押入れの布団が湿気でカビるのと同じようなイメージです。
看護師さん
看護師さん

他人から感染する場合は、体から落ちた皮膚や爪の破片が接触してうつります。例えば、温泉やプールにある足拭きマットは水虫がうつる原因のひとつです。

水虫の症状

水虫の症状は、発生する部位によって異なります。

足の指の間

  • 白くふやけてジクジクしている。
  • 痒みがある。
  • 中指と薬指の間にできやすい。

足の裏(足のふち〜土踏まず)

  • 小さな水ぶくれがある。
  • 水ぶくれが割れると皮が剥けてくる。
  • かゆみを伴うこともある。

足の裏(踵)

  • 皮膚が分厚くなる。
  • 表面が乾燥してザラザラする。
  • ひび割れ、皮剥けがある。
  • 痒みはあまりない。

手足の爪

  • 爪が黄白色に濁っている。
  • 爪がポロポロ崩れる。
  • 爪が変形している。
水虫の症状と似た別の病気の可能性もあるのでご注意ください。
看護師さん
看護師さん

水虫の治療法

水虫の治療法は主にこちらの2つです。

  • 飲み薬
  • 塗り薬

基本的には塗り薬が処方されるでしょう。

塗り薬には、クリームタイプ、ハケで爪に液を塗るタイプ、スプレータイプなどがあります。
看護師さん
看護師さん

ですが、重症化している場合や、塗り薬の効果が弱い場合は、飲み薬が処方されるかもしれません。

外側から薬を塗って改善しないのであれば、飲み薬で体の内側からアプローチする必要があるからです。医師の指示に従い、正しく薬を使用しましょう。

水虫かわかる!簡単チェックリスト

お家で簡単にできる水虫のチェックリストを紹介します。ぜひチェックしてみてください。

  • 足の指の間に痒みがある
  • 足の指の間に皮向け・ジクつきがある
  • 足の裏に2〜3mmの水ぶくれがある
  • 足の裏がザラザラしている
  • 足の裏の皮膚が分厚くひび割れている
  • 手足の爪が変形している
  • 手足の爪が黄白色に濁っている
  • 同居者に水虫の人がいる
  • ブーツや革靴をよく履く
  • 汗をかきやすい
  • 温泉・サウナ・プールによく行く

いかがでしょうか。

当てはまる項目が複数あり、1週間以上続いている場合は皮膚科でみてもらうとよいでしょう。

当てはまる項目が1つだとしても、程度が強いのであれば受診してみるのがおすすめです。

水虫かも?と思ったら気をつけること5つ

もし水虫かもしれないと思ったら、次の5つに気をつけましょう。

  • 患部を清潔にする
  • 通気性をよくする
  • 肌に直接触れるものを家族と共用しない
  • 爪を深く切りすぎない
  • 皮膚科でみてもらう

患部を清潔にする

毎日入浴(シャワーでもOK)して患部をきれいに保ちましょう。

水虫菌は、ちょっと付着したくらいでは感染しません。もし付着していても、洗ってきれいにすれば感染を防げるのです。

触れただけで感染するのであれば、もっと多くの人が水虫になっているはずですからね。
看護師さん
看護師さん

足を洗うのは入浴する時くらいなので、指の間まで忘れず洗いましょう。

通気性をよくする

患部の通気性をよくすると、水虫菌の増殖を予防できます。

水虫はカビなので、湿った場所が大好きです。通気性を確保すれば湿度が下がり、水虫菌が繁殖しにくい環境を作れます。

  • 自室で過ごすときは靴下を脱ぐ
  • ブーツを脱いだら乾燥させる
  • 入浴後は足の指の間までしっかりふく
普段の生活では上記を心がけてみてください。
看護師さん
看護師さん

肌に直接触れるものを家族と共用しない

直接肌に触れるものを家族と共用するのは避けましょう。家族に水虫がうつる可能性があります。

例えば、以下は個人で専用のものを使いましょう。

  • バスマット
  • スリッパ
  • バスタオル
  • 爪切り

使用した後はきれいに洗い、よく乾燥させるとより効果的です。

絨毯も水虫がうつる原因になりえますが、専用の絨毯を敷くわけにはいかないので、こまめに掃除機をかけてくださいね。
看護師さん
看護師さん

爪を深く切りすぎない

爪に水虫があると、巻き爪になっていたり、分厚い爪になっていることも少なくありません。

「どうせ切るなら・・」と短くしたくなる方もいらっしゃるでしょう。ですが、短くしすぎると水虫の症状が悪化する恐れがあり危険です。

水虫があるご高齢の方の爪切りをさせていただくと、爪がポロポロ崩れてくることがよくあります。
看護師さん
看護師さん

皮膚にくっついている部分の爪まで一緒に切ってしまうこともあるので注意が必要です。

また角を落とすように切ると、巻き爪が悪化してしまいます。

角はヤスリで削る程度にして、爪が四角い形になるようにカットしましょう。

皮膚科でみてもらう

水虫くらい、病院に行かなくても大丈夫だよね?

と思っている方も多いのではないでしょうか。

実は、水虫が重症化すると歩けなくなる可能性があります。

足の皮がむけて傷口から細菌が感染した結果、炎症を起こして歩けないほどの痛みや腫れが出るのです。

たかが水虫と思って放置せず、気になったら必ず皮膚科でみてもらいましょう。

高齢者の水虫についてよくある質問

ここからは、高齢者の水虫についてよくある質問にお答えしていきます。

看護師をしていると、ご家族の方が気にして質問してくださることも多いです。
看護師さん
看護師さん

今まで多くの高齢患者様を担当してきた経験をもとに、お答えいたします。

水虫はどれくらいで治る?

看護師さん
看護師さん
1年〜1年半が目安です。

爪が完全に新しく生え変わるまでに約1年かかります。きちんと薬を塗っていれば、生え変わる頃には生え変わるでしょう。

ただ、持病の有無や程度によって個人差がありますので絶対ではありません。

お湯をかければ水虫菌を殺せるって本当?

看護師さん
看護師さん
殺菌できますが、ヤケドしてしまう危険があります。

お湯をかければ水虫が治ると聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

確かに、60度以上のお湯を1秒以上かけると水虫菌を殺せると言われています。

ですが、ヤケドする危険があるのでおすすめしません。絶対にやめましょう。

水虫は市販薬でも治る?

看護師さん
看護師さん
軽度であれば治るかもしれませんが、悪化する場合もあります。

市販の薬で治る可能性もありますが、そもそも本当に水虫なのか分かりません。もし水虫じゃないのに水虫の薬を使った場合、症状がひどくなることもあります。

色々理由はあるかもしれませんが、できるだけ皮膚科で診察を受けましょう。病院で薬を出してもらった方が、ドラッグストアで市販薬を買うより安く済みますよ。

まとめ:高齢者の水虫は皮膚科でみてもらおう!

本記事では、高齢者の水虫について解説してきました。

水虫であるかを簡単に見分けられるチェックリストはこちらです。

  • 足の指の間に痒みがある
  • 足の指の間に皮向け・ジクつきがある
  • 足の裏に2〜3mmの水ぶくれがある
  • 足の裏がザラザラしている
  • 足の裏の皮膚が分厚くひび割れている
  • 手足の爪が変形している
  • 手足の爪が黄白色に濁っている
  • 同居者に水虫の人がいる
  • ブーツや革靴をよく履く
  • 汗をかきやすい
  • 温泉・サウナ・プールによく行く

心当たりがある方は、早めに皮膚科に行きましょう。

「水虫くらい大丈夫でしょ」と思っていたら、1年後には歩けなくなっているかも…。

処方された薬を正しく使えば1年〜1年半で治るケースが多いです。

恥ずかしがらずに皮膚科で相談し、水虫の不安から解放されましょう。

介護の基礎知識カテゴリの最新記事