2024年自宅で亡くなる一人暮らしの高齢者は、6万8000人にのぼると報告されています。
この現実を目の当たりにして、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、おひとりさまが老後を安心して過ごすための具体的な対策と、困った時に頼れる相談窓口について詳しく解説していきます。
この記事を読んで、地域の相談窓口を調べるきっかけになればと思います。
おひとりさまが気を付けること
おひとりさまが気をつけなければならないことは、以下の2点です。
- 周囲に一人暮らしだということを認識してもらうこと
- 健康管理をしっかり行うこと
地域から孤立しないこと
一人暮らしの良い所は、他人に縛られずに自由に生活できることだと思います。
一人暮らしを満喫することは良いですが、他の人と関わる機会を作ることも大切です。
令和6年版 高齢者白書(概要)によると、一人暮らしの高齢者が、人と話す頻度が「毎日」38.9%、「2~3日に1回」29.2%で、一人暮らし以外の高齢者は、「毎日」80.9%、「2~3日に1回」9.1%となっています。
この結果からみても、自分から他の人に関わろうとしないと、おひとりさまが他の人と話す機会はほとんどないということが分かります。
体が動かなくなった時、助けを呼ぶことができなくなった時、周囲の人が見つけてくれるまで待つことになります。
そんな時、地域の方と少しでも交流があると、異変に気づいてくれる人が現れるでしょう。
地域から孤立しないためには
- 町内会への参加し回覧板を回してもらう
- 散歩を日課し挨拶をしよう
町内会に参加し回覧板をまわしてもらう
町内会費を払うのが面倒くさいと思うかもしれませんが、町内会費は地域で差はありますが、年間「1001円〜1万円」が平均となっているようです。
筆者の地域では、月400円で年間3600円となっています。
回覧板が回ってこないと、どうしたのかなと気になりますし、そのままにしてあると、気になって声をかけるきっかけになるでしょう。
散歩を日課にし挨拶をしよう
散歩を日課にすることで、日々の健康増進にもなり、散歩仲間もできるかもしれません。
筆者は犬を飼っているため、犬の散歩を通して犬友ができました。
散歩の時間がずれたりして、合わないことが続き、久しぶりにあったときに、最近どうしてたか心配してたと、声をかけていただいた経験があります。
意外と皆さん見られているんだなと感じました。
健康管理をしっかり行うこと
フレイル予防
フレイルは、日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty(虚弱)」の日本語訳です。 健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことです。
フレイルは、適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があります。
結論からお伝えすると、
しっかり食べて、運動を継続できる体作りをすること
「健康日本21」によると、6000歩を目標に歩くことが大切なようです。
食事はバランスよくと言いますが、おひとりさまは面倒くさいと思うかもしれません。
お弁当にサラダを追加するなど、一工夫すると良いでしょう。
口臭・体臭に気を付けよう
他の人と交流を持とうとする時、気を付けなければならないことがあります。それは【臭い】です。他人が不快にならないように心がけることで、地域との交流をスムーズに継続することができるでしょう。
口臭
歯磨きは毎日していますか?
一人暮らしでだれにも合わないからいいかと思われるかもしれませんが、歯磨きはとても大切です。口腔内の清潔を保つことで、口臭予防、肺炎予防につながり、自分自身の健康も維持できます。定期的な歯科検診もおすすめです。
体臭
お風呂は週に何回入っていますか?
入浴の効果として、汗や皮脂の汚れを洗い落とし、細菌や雑菌の繁殖を防いで体臭予防をします。また、体を温めることで新陳代謝や血液循環の促進を促し、免疫力を高めたり、筋肉や関節の痛みを和らげることができます。
地域包括支援センターに相談しよう
地域包括支援センターとはなんでしょうか?ここでは、地域包括支援センターについてまとめてみました。
地域包括支援センターとはなんだろう
地域包括支援センターとは、地域に暮らす高齢者の健康を守り、安心できる暮らしができるように必要な援助および相談を受け付ける施設です。相談できることは、介護予防や介護をはじめとした「福祉・保健」ですが、日常的な困りごとの相談も可能です。
設置主体は市町村。ただ直営のものは少なく、多くは市町村から委託を受けた社会福祉法人や医療法人などの法人が管理・運営をしています。
どういった時に相談にいけばいいの?
暮らしの中で困った些細なことでも大丈夫です。例えば、
などなど多岐にわたります。
また、介護保険の申請も行ってくれます。
などあれば、介護保険の申請を行い、介護認定を受けることができれば、様々なサービスを受けることができます。
社会的孤立を防ぐためにできること
社会的孤立を防ぐためにできることとして、以下にまとめました。
- 体の衰えを感じてきたら、介護保険について地域包括支援センターに相談してみよう
- まだまだ体が元気ならば、シルバー人材センターへの登録
体の衰えを感じてきたら、介護保険について地域包括支援センターに相談してみよう
体の衰えや認知症かなと思ったら、介護保険について地域包括支援センターに相談してみるとよいでしょう。
介護保険サービスを利用すると、訪問介護、訪問看護、デイサービスの利用、福祉用具レンタルなどのサービスを、必要に応じたサービスを受けることができます。
訪問看護師の経験から、特に夏の時期は、一人暮らしの高齢者の家はとても暑く、熱中症になっていることが多いです。
本人は熱中症になっていることに気づいていないことが多く、訪問した時に倒れているのを発見し救急搬送したり、エアコンをつけて飲み物を提供したりした経験があります。
このように、高齢者は自身の体調不良に気づかないことも多く、定期的に誰かが訪問する環境を作ることも大切ではないでしょうか。
また、介護保険を利用すると、担会のケアマネジャーがケアプランを作成するため、定期的に自宅訪問してくれます。困ったことがないか、相談に乗ってもらえますよ。
上記でもお伝えしましたが、おひとりさまは、人と話す機会は、おひとりさま以外の人と比べると、半分以下という結果があります。介護サービスを利用することで、他者との交流のきっかけになります。
まだまだ体が元気ならば、シルバー人材センターへの登録
現役時代のような体力はないけど、没頭できる趣味もない、そんな方はシルバー人材センターへの登録はいかがでしょう。地域貢献もできますし、賃金も発生します。仕事内容も多岐にわたります。
65~69歳の就業率は52%、70~74歳の就業率は34%になるようです。(引用:令和6年版 高齢社会白書)
おひとりさまへの民間のサポート
行政サービスだけではなく、民間のサポートも利用するのもよいでしょう。
宅食サービス
宅食サービスでは、バランスの良い食事を提供してくれます。使用頻度も個人の自由に決めることができるので、生活リズムに合わせられます。
筆者が知っている宅食会社は、利用者へのお弁当は手渡しが基本です。顔を合わせ、ちょっとした会話をすることで、相談事などできるかもしれません。
宅食サービスを利用されていた方のしゃべり方がおかしいと感じ、行政への相談につながった事例もあります。
警備会社との契約
頼れる身内もいない、外との関わりも持ちたくない方も多いでしょう。そんな方は、警備会社との契約もおすすめです。
アルソック、セコムなど様々な会社があります。
まとめ
いかがでしょうか。おひとりさまが老後を安心して過ごせる具体的な対策と、相談窓口についてまとめてみました。
おひとりさまが現在一人暮らしができているのは、体がある程度健康で、たいていのことが一人でできているからです。
しかし、今までできていたことができなくなったら、その時に考えても遅いことが多いです。
だからこそ、体が動くうちに、健康な体作りの維持、早めの相談が大切です。
この記事を読んで、動くきっかけになればと思います。