本人は気づかない口臭や尿臭、高齢者のニオイ対策をベテラン介護士が解説

本人は気づかない口臭や尿臭、高齢者のニオイ対策をベテラン介護士が解説

家族の介護をしている時、お部屋のニオイが気になることはありませんか?

外から訪問された方は、なおさら敏感に感じることでしょう。

孫は、おじいちゃんの部屋は臭いから嫌だ!っていうのよ。さすがに本人にはいえないわ…
おばあさん
おばあさん

本人は気づかない口臭や尿臭。周りの人は「仕方ない…」とあきらめているのならとても残念です。

ニオイには様々な種類があり、それらが混ざりあっています。

職員さん
職員さん
ニオイの原因を知り、対策することで、かなり軽減できますよ。

高齢者の尊厳にも配慮しつつ、快適な環境を整えることも介護者の大切な役割です。

お互いにストレスにならない環境を作りたいですね。

この記事では

  • 高齢者のニオイの原因とは?
  • ニオイの対策について
  • 認知症による尿臭トラブル

について解説します。

家族介護のニオイでお悩みのあなたへ必見!の内容となっています。

ぜひ、最後までお読みいただき、お役立てくださると光栄です。

本人が気づかない高齢者のニオイの原因は3つ

まずは、ニオイの原因について解説します。

原因は、主に次の3つです。

  • 体臭
  • 口臭
  • 排泄臭

体臭の原因ついて

誰にでも「体臭」というものは存在します。

それは、皮膚の表面から常に発生している「皮膚ガス」によるものです。

しかし、年齢を重ねることで、「脂肪酸」や「過酸化脂質」という物質の分泌が増えるため体臭が発生しやすくなります。

よしみくん
よしみくん
これが一般的に加齢臭と呼ばれているニオイです。

特に発生しやすい部分は、頭、首(うなじ)、脇の下、胸、背中です。

毎日、入浴することで軽減はできますが、被介護者にとっては難しいのが現状でしょう。

そのため、汗や皮脂などに雑菌が繁殖して体臭が強くなってしまいます。

その他に糖尿病が原因で、体内から発生している体臭もあります。

その場合は、糖の代謝異常により、ケトン体という物質が増え、甘酸っぱいニオイがします。

また、腸内環境が乱れている人は、体内でうまくアンモニアが分解されず、アンモニア臭がすることもあります。

このように病気が原因で体臭が発生している場合もありますので、気になる方はかかりつけ医に相談することをお勧めします。

口臭の原因は主に2つ

唾液の分泌量の減少と、病気によるものです。

高齢になると唾液の分泌量が少なくなり、口腔内が乾燥しがちになります。

このことが雑菌の繁殖しやすい環境を作ってしまいます。

特に身体能力の低下により、かむ力や飲み込む力が弱くなった高齢者は、食べ物のかすが、口の中や歯のすき間に残りがちです。

よしみくん
よしみくん
食べかすを、雑菌がたんぱく質に分解するときに発生するニオイが口臭です。

また、人によっては虫歯や歯周病といった病気が口臭の原因となることもあります。

さらに、胃潰瘍、慢性気管支炎、糖尿病などの病気が潜んでいる場合もあり、早めに歯科医を受診して治療することをお勧めします。

受診にでかけるのが難しい要介護者の方は、訪問診療を利用する方法もありますので、担当のケアマネージャーさんや、かかりつけの歯医者さんに相談してください。

口の中を清潔に保つことは、健康管理の第一歩と言っても過言ではないでしょう。

排泄臭について

介護を続ける上で一番悩ましいのが、尿臭や便臭による排泄臭です。

おむつのニオイや、衣服やシーツに付いた尿臭。

お部屋にポータブルトイレを設置している場合のニオイも気になりますね。

速やかに交換、除去することが先決です。

介護者のストレスも軽減しつつ、被介護者のお気持ちにも配慮した対応が求められます。

本人が気づかないニオイの対策について

次に自宅で取り組みたい、ニオイの対策についてみていきましょう。

体臭の対策

体臭は、毎日入浴することで軽減できますが、難しいのが現状であることは前にも述べました。

まず、最初にできることは、こまめな着替えと、寝具の交換です。

着替えの時に体を軽くホットタオルで拭くだけでも気持ちのいいものです。

汗をかきやすい首、脇の下、胸、背中を中心にふいてあげましょう。

寝具の交換は、毎日が負担であれば、シーツの上部にバスタオルを敷き、枕カバーをフェイスタオルで包むなどして、タオルを取り換えます。

オムツからの尿漏れが心配な方は、ベッドに防水シーツを敷きましょう。

また、頭皮は特に皮脂の汚れで、かゆみが出やすいところです。

入浴できない日は、ベッド上でドライシャンプーを使い、さっと洗うという方法もありますよ。

ドライシャンプーは、ドラッグストア等で購入できます。

お部屋にいい香りも広がり、癒しのひとときとなるでしょう。

口臭の対策

口臭予防に、食後の口腔ケアは欠かせません

ご自分で行うのが難しい方は、介護者がお手伝いしましょう。

麻痺がある方は、麻痺側に食べかすがたまりやすいので、注意してください。

うがいが難しく、水を飲みこんでしまいがちな方には、飲み込んでも安全なジェルタイプの歯磨きも市販されています。

なかには義歯を使用している方もいらっしゃるでしょう。

義歯のお手入れには、傷をつけにくい専用の義歯ブラシが最適です。

毎食後取り外して、水を流しながらブラシで、ていねいに洗浄し装着します。

就寝時は取り外し、義歯洗浄剤で消毒すると効果的です。

口臭は食物のかすのニオイの他に、舌苔による汚れが要因も考えられます。

舌専用ブラシやガーゼ、スポンジブラシ等で優しく磨いてあげましょう。

磨き過ぎは舌を痛めてしまいますので、気を付けてくださいね。

排泄臭の対策

汚れたオムツ

汚れたオムツはすみやかに新聞紙で包み、ビニールに入れ口をかたく縛ります。

新聞紙には消臭効果があるため、活用しましょう。

それでも気になる方は、市販の消臭用ビニールもニオイを抑える効果があります。

保管中のニオイを軽減するには、温度の低い場所での保管が最適です。

さらにオムツを捨てたゴミ箱に、消臭スプレーをワンプッシュすると消臭効果を高めます。

ポータブルトイレや尿器

クエン酸は、尿を中和する働きがあります。

そのため、尿器やポータブルトイレは、クエン酸で洗浄すると効果的です。

薬局や百円ショップで、手軽に手に入るのもうれしいですね。

スプレータイプのプラスチックの容器に水200mlに小さじ1杯のクエン酸を混ぜた液を作ります。

排泄物はトイレに流し、速やかにクエン酸を吹きかけ、洗浄します。

ポータブルトイレのバケツは洗浄後、できるなら天日で乾かすとニオイが軽減できます。

その他のニオイ対策

その他にどのようなニオイ対策があるのでしょうか。

食生活を見直す

口臭や体臭は、被介護者の食生活を見直すことで改善される場合もあります。

排泄物のニオイがきつくなるものには、次のような食品があります。

チーズ、ニンニク、アスパラガス、卵、炭水化物、肉、香辛料、ネギ、肉

しかし、好きなものを我慢し、極端に減らす必要はありません。

バランスの良い食生活を心がけてください。

定期的に換気する

窓を開けての換気は基本ですね。

窓を2箇所開けて風の通り道を作り、1時間に5分間の換気2回が目安です。

換気には、次のようなメリットがあります。

  • 花粉、ダニ、ホコリ、ハウスダスト、カビ、ニオイを外に出す
  • 二酸化炭素の濃度を下げ、酸素を取り入れる

消臭剤や消臭スプレーの活用

消臭剤や消臭スプレーは、さまざまな種類のものが市販されています。

効果や香りを確認して、上手に活用しましょう。

なかには、介護に特化した商品も販売されています。

空気清浄機や除菌消臭器の活用

最近では、空気清浄機を活用されているご家庭も増えてきました。

空気清浄機には、ニオイを除去するようなものもあり、効果は期待できるかもしれません。

また、新型コロナウイルスの影響で、除菌に関する意識も高まり、除菌消臭器というのもあります。

しかしながら、二酸化炭素の濃度を下げる機能は付いておらず、やはり換気は必要と言えます。

しっかりと効果を確認して、かしこく併用するのも一つの選択肢ですね。

身近なものでひと工夫

飲み終わったお茶の出がらしや、コーヒーのかすは、消臭グッズとして効果を発揮します。

もともとお茶の葉やコーヒーには、周囲のニオイを吸ってくれる効果があります。

やり方は簡単!お茶の出がらしやコーヒーかすを電子レンジで水分を飛ばし、小さな容器に入れてお部屋の片隅に置くだけ。

再利用できて環境にもやさしい、一石二鳥ですね。

部屋にしみついたニオイ対策

意外と見落としがちなのが、カーテンやクッションといった布製品にしみついたニオイです。

できる範囲で、定期的にお洗濯すると効果的です。

壁や床、家具類などつるつるした表面にもニオイは付着します。

これらは、アルコールを使った拭き掃除がお勧めです。

認知症(病気)で起こったニオイトラブルを紹介

ケース:羞恥心から汚れた衣服を隠す

職員さん
職員さん
私の祖母は、ある時、汚れた衣類を自室のタンスの中にしまうようになりました。当然、異臭を放ち、清潔な衣類にもニオイが染みついて区別がつきません。

羞恥心はあるものの、汚れた衣類をどうしたらよいか分からなかったのでしょう。

今思えばこれは、認知症の初期症状だったのです。

キレイ好きな祖母だっただけに家族はショックでした。

このような時は本人を𠮟りつけたりせず、そっと対処してあげましょう。

𠮟りつけたり、注意することは、本人のプライドを傷つけるだけではなく、病気の進行も早めてしまう恐れがあるからです。

ケース:汚れた衣類に自分で着替えて

それからもうひとつ、介護施設での出来事を紹介します。

あるご入居者が、ご家族の付き添いで、病院受診に行かれた時の話です。

帰って来られた時に息子様から「今日、母は尿臭がしたんですけど、ちゃんと着替えてるんですかね?」と聞かれました。

今日、母は尿臭がしたんですけど、ちゃんと着替えてるんですかね?

私は「汚染したときは着替えています」と答えました。

入浴日の週2回と、汚染したときはきちんと着替えています
職員さん
職員さん

その方はご自分で着替えができる方ですが、同じく認知症があり、汚れた衣類を自分で着替え、タンスにしまわれることがあるのです。

このことは、スタッフも周知しているため、タンスの中の衣類やタオルは最小限にして、時々チェックしています。

その日はスタッフも尿臭には気付かなかったため、ご家族に謝罪しました。

このように病気が原因で、本人が気づかない尿臭は、周りの人がサポートしてあげることが大切です。

まとめ

ここまで、本人が気づかない口臭や尿臭について原因や対策を解説してきました。

  • ニオイの原因には、体臭、口臭、排泄臭の3つがある
  • 体臭の対策:入浴、清拭、こまめな着替え
  • 口臭の対策:高齢者の状態に合った口腔ケア、歯科受診
  • 排泄臭の対策:速やかなごみ処理と消臭対策。尿を中和するクエン酸などの活用
  • 食生活の見直し
  • 換気や電気機器、消臭グッズの活用など
  • 認知症による尿臭トラブルは、周りのサポートが大切

介護とニオイの関係は、切ってもきれない関係です。

あなたのできそうなことから、ひとつでも取り入れてみましょう。

介護者が頑張りすぎると、疲れ切って「介護うつ」などを引き起こしてしまう危険性があります。

無理をして、介護者の方が病気になり入院してしまう、というというケースも決して珍しくありません。

介護はいつまで続くかわからないという不安もあります。

時には、離れて暮らす家族や地域の方々、介護やお掃除のプロの協力も得るのもいいでしょう。

この記事が、介護をするあなたの手助けとなれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

介護施設選びは『地域介護相談センター 近所のよしみ』におまかせ!

CTA-IMAGE

老人ホームのことを色々調べても、施設を比較検討してみても、おひとりで決めるのは難しいことです。
私達がおすすめするのは施設探しのプロに相談することです。

『地域介護相談センター 近所のよしみ』であれば、福祉・介護の国家資格取得者が全ての案件を監修し、3年以上介護施設で働いていたスタッフが9割以上も在籍しているから、信頼と実績のおけるプロフェッショナル集団です。ベストな老人ホームを提案してくれます!

介護の基礎知識カテゴリの最新記事