高齢者に多い尿失禁の対策を解説!種類や原因・認知症との関係

高齢者に多い尿失禁の対策を解説!種類や原因・認知症との関係

尿失禁は排尿障害は、QOL(生活の質)を低下させる問題で、高齢者がもっとも多い悩みの一つです。

排尿問題は40代からみられ、くしゃみをしたときなど自分の意思とは関係なく、尿漏れをすることが増えてきます。

特に女性は、尿漏れによる臭いで、悩まれている方も少なくありません。

また、尿失禁は認知症の影響もあると言われています。

今回は、尿漏れの種類や原因、対策と認知症との関係についても解説していきます。

尿漏れの種類について

尿漏れは、頻尿や尿の出にくさなど排尿にまつわるさまざまな症状には、「蓄尿障害」と「排出障害」の2種類があり、高齢者はこの2つが同時に生じる場合が多いです。

まずは、それぞれの障害について解説していきます。

蓄尿障害

蓄尿障害とは、「膀胱に尿がためられず漏れてしまう」障害のことです。

原因は、膀胱排尿筋の過活動や膀胱出口の抵抗が弱くなり、尿道閉鎮圧の低下によって、尿失禁や頻尿になってしまいます。

この蓄尿障害による失禁には、4種類あります。

腹圧性失禁

腹圧性失禁とは、くしゃみや咳、運動、重い荷物を持ち上げた際にかかる腹圧の上昇によって起こることです。

尿道の抵抗が低下しているため、尿道閉鎮圧を超えてしまっています。

原因としては、前立腺手術などによって尿道括約筋が障害を起こしていたり、便秘を起こしていたり、肥満などによって恥骨や尾骨、坐骨の間にある骨盤底筋群が緩んでしまったり、尿道括約筋の低下です。

切迫性尿失禁

急激に尿意を強く感じ、我慢できなくなってしまったり、蓄尿時に膀胱が勝手に、収縮することです。

頻尿を伴うことも多く、膀胱の機能をコントロールしている脳・神経に何らかの問題があるとも言われています。

主な原因は、過活動膀胱や脳出血障害・脊髄障害後遺症によって膀胱炎や尿路感染です。

また、男性は前立腺肥大、女性は膀胱や子宮などの臓器が本来あるべき位置より下がってしまうことも、原因の一つです。

溢流性(いつりゅうせい)尿失禁

溢流性尿失禁は、膀胱の問題や前立腺肥大などが原因で、尿意があるもののうまく尿を排出できず、溢れるように少しずつ漏れ出してしまう状態のことをいいます。

前立腺肥大や直腸がん・子宮がんの術後によって、膀胱周囲の神経機能が低下した状態の人に起こりやすいです。

放置すると尿が出ない「尿閉」となってしまうため治療が必要となり、場合によっては、尿道口から膀胱に向かって管を挿入して尿を出す「導尿」という処置が必要になることもあります。

機能性尿失禁

膀胱以外の問題で、体の動きの問題や認知症によって起こるのが、機能性尿失禁です。

脳血管障害や整形外科疾患などによってADLの低下や知能精神障害が原因と言われています。

具体的には、足を痛めていてトイレに間に合わなかったり、認知症によってトイレの場所が分からなくなってしまったり、尿意を感じても周りの人に上手く伝えることができなかったりとあります。

特に、認知症の方は環境の変化で尿失禁を起こすため、主に旅行先や施設の入所などが挙げられます。

排出障害(尿をすべて出し切れずに漏れる)

排出障害には、大きく2つの症状があります。

1つは残尿感と排尿後尿尿をすべて出し切れずに漏れてしまうこと、もう1つは排尿後尿滴下(排尿直後に勝手に尿が出てくる)があります。
中でも前立腺肥大症は、高齢男性の尿排出障害でもっとも頻度の高い原因の疾患です。

この排出障害による失禁には、2つあります。

膀胱収縮障害

膀胱収縮障害は、膀胱がきちんと収縮しないため、尿の排出がうまくできないことです。

糖尿病性末梢神経障害や椎間板ヘルニア、腰部脊椎間狭窄症、骨盤内臓器手術歴の影響によって発症します。

尿路通過障害

その名の通り、尿道が何らかの原因で狭くなることで、尿がうまく排出できないことです。

前立腺肥大や前立腺がん、膀胱頸部硬化症などの疾患が原因ですが、尿路通過通過障害の中で前立腺肥大がもっとも多い疾患にみられます。

尿失禁のケアと予防について

デリケートな問題のため、尿失禁した際のケアや予防をすることで、日常生活を快適に過ごすことができます。

では、どのように行えばいいのか紹介します。

専用のパッドやおむつを使う

尿失禁用のパッドは、ドラッグストアに行くと何種類も並んでいます。

ちょっとの量を吸収する小さいサイズから、大容量を吸収する大きいサイズのものとさまざまありますので、吸収する量に合わせて使用しましょう。

普段からパッドを装着することに抵抗のある方は、外出時や睡眠時などトイレへ行くのが難しい場合に使用すると安心して過ごせます。

また、外出前・睡眠前に多量の水分を摂取すると、尿漏れのリスクが高まりますので、控えるといいですよ。

ただ、尿漏れを気にしすぎて必要な水分摂取をしなくなると、脱水状態となりますので、こまめに少しずつ摂りましょう。

医師に相談

多くの高齢者が抱える問題であり、相談することに抵抗がある方も少なくありません。

ですが、既往歴によるものもあるため、一度かかりつけ医に相談することをおすすめします。

骨盤底筋を鍛える

女性の多くにみられる骨盤底筋の衰えによって、腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁を改善するには、骨盤底筋群を鍛えるトレーニングをすることです。

骨盤底筋群とは、骨盤内の臓器を支えたり、排泄をコントロールする働きを担っている大切な筋肉です。

やり方は、男性は肛門・女性は膣を閉めるイメージで、深呼吸をしながら骨盤底筋群を強く閉め、5秒間維持します。

空いた時間に、足腰を痛めていても負担が掛からず、簡単にできるのでおすすめです。

認知症の方はパッド交換を嫌がる?

認知症の方が尿失禁をして、パッドを交換しようとすると嫌がられてしまうこともあります。

なぜ、認知症の方はパッド交換を嫌がるのか原因と対策を解説します。

パッド交換を嫌がる原因は?

認知症の方がパッと交換を嫌がる原因は、2つあります。

1つは、パッド交換の必要性を理解できないことです。

認知症の方にとって、パッド交換の必要性に対して理解ができてなく、パッド自体何か分かっていない場合もあります。

パッド交換の理解がないと、認知症の方にとって身体を触られる、ズボンを脱がされる行為が非常にストレスを感じることとなります。

もう1つは、パッド交換の必要性を理解できていても、介護者との相性が悪いと、認知症の方を不快にさせてしまうことになります。

認知症の方がパッド交換を嫌がる時は、嫌な気持ちを意思表示しているので、まずは、どちらが原因かを知ることが重要です。

認知症の方がパッド交換を嫌がった時の対策は?

認知症の方が、パッド交換を嫌がったときの対策について解説します。

タイミングを変える

いきなりパッド交換を始めるのではなく、認知症の方にとっていいタイミングで行うことも1つです。

不定期にパッド交換を促すより、トイレ時にさりげなく交換することで、何度もトイレへ誘導する必要がなくなります。

また、認知症の方の気分が良い時に行えば、パッド交換がスムーズにできるので、好きな話題の会話中に行うと良いですよ。

自分で交換してもらう

介護者との相性が悪い場合、ご自身で交換してもらうことでスムーズにパッド交換をすることができます。

ご自身がパッドの交換する事が難しい時は、介護者がパッド交換の必要性をわかりやすく説明することで、認知症の方も理解を得られ、スムーズにパッド交換を行わせてもらえます。

認知症の方が尿失禁をした時の注意点は?

認知症の方が尿失禁した場合、注意をしなければいけないことがあります。

トイレの失敗は誰もがショックを受けることで、自尊心を傷つけることにもなりますので、以下の注意点を参考に、排泄介助を行いましょう。

怒らない

認知症の方の尿失禁は、家族は今までできていた事が、できなくなっていることを目の当たりにするため辛い思いをしますが、1番辛いのは認知症である本人です。

尿失禁をした際、大声で怒ったり、責め立ててしまうと余計認知症の方を傷つけてしまうことになり、認知症を進行させてしまう恐れもあります。

失敗してしまっても怒らず、優しく冷静に対応する事が大切です。

自立を促す

尿失禁をしたからといって、すぐにパッドを装着してしまうことで、日常生活では欠かせない、トイレ動作ができなくなり、介護者の負担が増すことになります。

認知症の方がトイレへ行けるのであれば、トイレへ行くことを促しましょう。

認知症の方ご自身が行えることはやっていただき、動作が止まるような時は声かけなどのサポートをするといいですよ。

日常生活において、介護者が認知症の方のADLを下げないようサポートをしましょう。

ケアマネージャーに相談する

認知症の方の排泄ケアは、家族にとっては非常に負担が大きく誰かに相談したくても、恥ずかしさやためらいがあり、悩まれている方も多いので、まずは介護の専門家であるケアマネージャーに相談してみましょう。

他にも、デイサービスやショートステイなどの施設を積極的に利用することで、認知症の方の尿失禁の対応のことで相談することもでき、介護者のレスパイトにもなります。

まとめ

今回は、高齢者の尿失禁の原因や対策、認知症の方の尿失禁についてご紹介しました。

尿失禁は、高齢者によくみられる症状であるため、日常生活に大きな影響を与えてしまい、自尊心を大きく傷つけ、1人の人間として尊厳ある生活を困難にしてしまいます。

また、尿失禁を気にすることによって、水分を摂ることを控えてしまう場合もありますので、脱水症状や熱中症の危険になりかねません。

尿漏れの原因には、疾患や環境によるものがあり、日常生活への工夫によって症状を軽減したり、予防する事が可能です。

デリケートなことなので周囲に話しづらいことですが、少しでも、尿もれで悩まれているなら、まずは医師に相談してみましょう。

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