結婚、持ち家が当たり前の時代はとうの昔、今では独身で持ち家を持たない人が増えています。
しかし、今は良くても、持ち家がない独身者には、どうしても老後の不安がつきまといます。
特に金銭面での悩みは尽きません。
そこで、本記事では持ち家がない独身者が老後いくら必要なのか解説し、今からできる老後の対策を解説します。
本記事を読んで、頭の中にあるモヤモヤとした嫌な気持ちを少しでも解消してください。
独身者で持ち家がない場合、老後にいくら必要か?
総務省の調査によると、65歳以上の単身無職世帯の実収入(毎月の平均収入)は13万4,915円、毎月の平均生活費は15万5,495円なので、約2万580円の赤字です。
平均寿命までの約20年~30年の老後生活を送ると想定し、さきほどの赤字2万580円を計上すると、最低でも500~600万円以上の貯蓄が必要です。
しかも、これは健康な状態が続く前提シミュレーションです。
当然、健康状態が悪ければ医療費や介護費用もかかるので、さらに多くの資金が必要になります。
老後に安心して生活するためには、現役時代から将来の資金計画をしっかりと立てることと、要介護状態にならないための健康意識の向上が重要です。
介護が必要になればさらにお金はかかる
老後に介護が必要になると、多くの費用が発生します。
介護サービスの利用、介護用品の購入、あるいは介護施設への入所など、介護が必要になった場合の追加コストは莫大です。
介護保険がカバーする部分もありますが、それでも自己負担分が残り、特に長期間介護が必要になった場合はその費用は増加する一方です。
独身であれば、これらのコストを単独で賄わなければなりません。
介護が必要になってくる年齢
65歳以上からは前期高齢者として、介護保険サービスの適用者になります。
40歳~64歳でも条件が合えば利用可能
しかし、65歳~74歳の前期高齢者で介護保険サービスを利用している人は少数派です。
それよりも、75歳以上の後期高齢者になると介護サービスを使う人は大幅に増加します。
後期高齢者の3人に1人が介護認定を受けている
年齢区分 | 要支援 | 要介護 |
---|---|---|
65~74歳 | 234,000人(1.4%) | 493,000人(2.9%) |
75歳以上 | 1,613,000人(8.8%) | 4,219,000人(23.1%) |
内閣府が公表しているデータによると65~74歳で要支援、要介護の認定を受けた人の割合は要支援1.4%、要介護2.9%です。
これが75歳以上になると要支援8.8%、要介護23.1%となっており、75歳以上の3人に1人が要介護認定を受けていることになります。
しかも、健康な人はわざわざ介護認定は受けないので、認定を受けている人は何かしら生活に支障が出ている状態なことが多いです。
介護が必要になれば費用はさらにかかる
当たり前ですが介護が必要になれば費用はもっとかかります。
介護保険でサービスを使った費用は所得に応じて1〜3割になりますが、電動ベッドを借りたり、デイサービスに通うことになると月の支払いが3万円以上になる場合は少なくありません。
さらに、要介護認定を受けている多くの方は健康に問題を抱えているパターンが多いので、介護費用とは別に医療費もかかってきます。
独身男女別:老後資金のシミュレーション
男性なのか女性なのかでも、費用がいくらかかるか変わってきます。
なぜならば、男性と女性では平均年収も平均寿命も異なるからです。
国税庁や厚生労働省の調査によると男女間の年収の差は約243万円で、男性の方が約1.8倍高く、平均寿命は女性は87.32年男性は81.25年で女性の方が長いのが証明されています。
ここでは、男女別でどのように老後資金が変わってくるのか詳しく解説します。
独身男性の老後資金
ひとくくりに独身男性と言っても、健康状態や生活状況によっても老後に必要な資金は大きく変わります。
男性の場合、平均寿命が女性よりも短い傾向にあるため、必要な老後資金は女性と比較しても少なくなる可能性があります。
しかし、急な健康問題や介護が必要になるリスクは、返って男性の方が高いです。
というのも、健康意識は女性の方が高く、男性は病気の症状が現れるまで健康について意識しない傾向があるからです。
参照記事:明治安田生命「健康」に関するアンケート
したがって、独身男性の老後資金は、健康保持や趣味活動などにかかる費用を考えると、総額1,000万円以上は必要でしょう。
口の中の不衛生には用心
男性が早い段階から健康を損なうパターンは、口腔内の不衛生が原因の場合も多いです。
なぜならば、歯の状態が悪くなれば食事制限により栄養状態が悪くなったり「歯周病菌」や「虫歯菌」が引き起こす「慢性炎症」がアルツハイマー型認知症の原因になることもあるからです。参照記事:NHK健康ch
下記の記事で、口腔ケアについて詳しく解説しているので、参考にしてください。
独身女性の老後資金
独身女性は男性よりもさらに老後資金を用意する必要があります。
なぜならば、女性の平均寿命は男性より長いため、働けなくなったあとの老後もそのぶん長くなります。
さらに、独身女性は将来的に受け取れる年金額が男性より少ない場合が多いため、年金だけでは赤字になる可能性も高いです。
以上を踏まえると、独身女性の老後資金は、男性よりも多くかかることを覚悟しておきましょう。
今からできる持ち家がない独身者の老後対策
持ち家があり、家族がいる場合は家賃がかからない、家族に介護を手伝ってもらえるなどできますが、持ち家がない老後の独身者はより多く費用がかかっていまいます。
そこでここでは、持ち家がない独身者でもできる老後対策を解説します。
年金や介護保険料を忘れず払う
国民年金や厚生年金は、老後の基本的な収入源です。
そのため、独身者であっても将来の年金収入を確保するために、保険料はしっかりと納付しておきましょう。
また、とてもレアなパターンですが、生活状況が苦しくて介護保険料を滞納してしまう方もいます。
介護保険料を滞納すると、介護サービス費用の一部が自己負担になったり、悪質な場合は、財産を差し押さえられて滞納保険料に充当される可能性もあります。
当たり前のことですが、公的な支払いをしっかりと行うことは老後の安心にもつながります。
iDeCo・つみたてNISAで積み立てる
老後資金の準備には、iDeCo(個人型確定拠出年金)や、つみたてNISA(少額投資非課税制度)などの積立投資も有効です。
iDeCoもつみたてNISAも、長期視点で資産形成ができるので、老後の資金対策として注目されています。
しかも、両制度ともに税制の優遇があり、iDeCoは将来の年金になりますし、つみたてNISAは投資利益が非課税です。
老後資金の確保のためには、国が優遇するこの両制度をしっかり活用するのがおすすめです。
介護が必要にならないように生活を送る
単純なことですが、介護状態になるリスクを減らすには、日頃から健康を意識し、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心掛けることが重要です。
趣味や社会活動に積極的に参加し、心身ともに活動的な生活を送れば、寿命だけではなく健康寿命まで向上します。
健康な生活習慣の獲得は、老後の資金計画においても非常に重要です。
下記の記事を参考に、ぜひ自分の健康寿命を伸ばす工夫をしてみてください。
まとめ:持ち家がない独身者でも対策次第で老後は安心
老後資金の準備は、独身者にとっても非常に重要です。
総務省の調査からも分かるように、老後には想定以上の資金が必要になるため、早期からの計画的な準備が求められます。
公的費用の納付、iDeCoやつみたてNISAを活用した投資、そして健康的な生活習慣の維持など、具体的な対策を講じることで、安心して老後を迎える準備を整えましょう。
自分にとって必要な老後資金の額を見積もること、現役時代からコツコツと準備を進めていくことが大切です。
老後の安心のためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。
また、すでに65歳以上の前期高齢者であり、健康や生活に不安を抱えている方は地域包括支援センターに相談するといいでしょう。
地域包括支援センターは、その地域に住む65歳以上の方であれば、どなたでも利用できます。
たとえば「足腰が悪くなり生活が大変になってきた」「独り身なので何かあったときが不安」など、さまざまな悩みを受け付けています。
下記の記事では、地域包括支援センターについて詳しくまとめてありますので、参考にしてください。