骨粗しょう症とは?自宅で簡単にできる予防法と治療法を柔道整復師教員が解説

骨粗しょう症とは?自宅で簡単にできる予防法と治療法を柔道整復師教員が解説

高齢者が転倒し骨折。そんな記事を見たり聞いたりすることもあるのではないでしょうか。

そんな記事の中に必ずと言ってもいいくらいに出てくる「骨粗しょう症」という病気。
聞いたことはあるけど、実際どんな病気かはよくわからないという方が多いと思います。

今回は介護施設や整形外科などで勤務歴があり、現在は柔道整復師の養成校で教員を務める筆者が、骨粗しょう症という病気の説明や、高齢者に多い骨折、予防法、治療法などを紹介していきます。

骨粗しょう症とはどんな病気?

骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは骨の密度(骨の強さ)が減って、骨折をしやすくなる病気を指します。

簡単に言うと骨の中がスカスカになり、軽い力でも骨が折れやすくなってしまう状態です。

日本には1000万人以上の患者さんがいると言われ、超高齢化社会に伴いその数はさらに増え続けており、特に高齢の女性に多い病気と言われています。

私が過去に働いていた職場の患者様、利用者様にも悩まされている方が数多くみられ、元同僚の看護師さんや介護職員さんも転倒のリスクには細心の注意を払ってお仕事をされていました。

骨折をすると寝たきりや認知症につながる可能性がありますが、骨粗しょう症は生活習慣や食事である程度予防ができる病気です。

骨の新陳代謝とは?

まずは骨について説明します。
骨はカルシウムなどから作られていることはご存じの方も多いと思いますが、実はリモデリングという作用で常に新陳代謝を繰り返し、元気な骨の状態を保っています。

リモデリングというのは、破骨細胞という古い骨細胞を壊す細胞と新しい骨細胞を作る骨芽細胞の2つがバランスよく働き、丈夫な骨の状態をキープしていることを指します。

骨粗しょう症の原因とは?

病気などが原因で起こる場合もありますが、一般的には大きく2つです。

  • 閉経による女性ホルモン量の低下
  • 運動量の低下による骨の弱体化

上記の原因により起こることが多いです。

閉経による女性ホルモン量の低下

女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨の新陳代謝の際に骨からカルシウムが溶け出す破骨細胞の働きを抑える作用があります。

閉経を迎えて女性ホルモンの分泌が低下するとエストロゲンの分泌が減少するため、破骨細胞の働きが以前より強くなる結果、骨密度が低くなり骨粗しょう症になるリスクが高まってしまいます。

運動量の低下による骨の弱体化

骨にはウォルフの法則というものがあります。

簡単に説明すると「骨に負荷がかかるほど骨が強くなり、負荷が弱いと骨が弱くなる」という法則です。

宇宙飛行士が地球に戻ってくると骨が弱くなっている話を聞いたことがないでしょうか?これもウォルフの法則によるもので、重力という負荷がかからないため骨が弱くなってしまったのです。

高齢になると運動量が減ってしまう方が多いので、結果的に骨にかかる負荷が弱くなり、骨粗しょう症のリスクが高まってしまいます。

骨粗しょう症の診断は?

X線を使った検査やレントゲン検査、血液検査や尿検査で行います。

特に閉経後の女性は定期的に整形外科などで検査してもらうことをおすすめしています。

高齢者に多い骨折とは?

高齢者に多い骨折は4種類あると言われています。

  • 大腿骨頸部骨折
  • コーレス骨折
  • 上腕骨外科頚骨折
  • 胸腰椎椎体圧迫骨折

非常に重要なので柔道整復師の国家試験にもよく出題される部分です。

どの骨折も転倒が原因で発生することが多いので、転倒しないように注意が必要です。

大腿骨頸部骨折とは?

大腿骨(ふとももの骨)の上の方にある細くなっている部分が折れてしまった状態で、横に転倒し腰のあたりをぶつけた際に起こることが多いです。

手術が必要で入院することになってしまった場合、ベッドの上で横になっている時間が長くなってしまうため、他の部分も衰えてしまい寝たきりなどのリスクも高まってしまいます。

コーレス骨折とは?

橈骨遠位端部骨折とも呼ばれ、橈骨(前腕の親指側の骨)の手首あたりが折れてしまった状態で、手のひらをついて転倒した際に起こることが多いです。

固定していても立ち歩いたりはできるので、大腿骨の骨折より寝たきりなどになるリスクは低いです。

上腕骨外科頚骨折とは?

上腕骨(二の腕の骨)の肩の近くが折れてしまう骨折で、肩をついて転倒した際に起こることが多いです。

コーレス骨折より固定範囲は広くなりますが同様に立ち歩いたりはできるので、大腿骨の骨折より寝たきりなどになるリスクは低いです。

胸腰椎椎体圧迫骨折とは?

脊椎(背骨)の腰から少し上あたりが折れてしまった状態で、転倒した際の尻もちなどで発生することが多いです。

痛みを感じない程度の小さな骨折が積み重なり、いつの間にか骨折している場合もあります。

腰が曲がって背が低くなっている方は骨折している可能性がありますが、日常生活に支障をきたしていなければ大きな問題はありません。

予防法とは?

大きく3種類に分けられます。

  • 食事
  • 運動
  • 日光浴

食事による予防とは?

まずはバランスの取れた食事を心がけてほしいですが、高齢になると少食になってしまう方も多いので、食事量も意識してほしいです。

また、アルコールやカフェインの取りすぎや喫煙はリスクになるので注意が必要です。
「酒は百薬の長」と言われますが、飲みすぎにはご注意くださいね。

意識して取ってほしい栄養素は次の3種類です。

  • カルシウム:乳製品、小魚、小松菜、大豆製品などに多く含まれます
  • ビタミンD:サケ、ウナギ、カレイ、シイタケ、卵などに多く含まれます
  • ビタミンK:納豆、ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどに多く含まれます

納豆ご飯に焼き魚、そしてお味噌汁を食べると理想的ですね。

運動による予防とは?

骨は負荷がかかるほど強くなる性質があるので、散歩などを積極的におこない日常生活内で運動量を増やすことを意識しましょう。ストレッチや体操も効果的です。

私も以前整骨院や病院で勤務していた時は、患者様に積極的に散歩を勧めていました。天気の悪い日はショッピングモールでウィンドウショッピングをするのもおすすめです。

転倒や運動し過ぎによるケガには注意をしてくださいね。

予防のための日光浴とは?

身体に必要なビタミンやミネラルは野菜や果物などに多く含まれます。

ですが骨にも非常に関係が深いビタミンDはなんと、紫外線(日光)を浴びることで体内に生成されます。

ペットショップでカメが日光浴しているところを見たことがありませんか?これも同じ理由で、人間もカメも紫外線が足りず、ビタミンDが不足すると骨が弱くなる病気にかかってしまいます。

特に一日中室内で過ごす方は注意してくださいね。

少しの時間でも良いので、外に出てみるとビタミンDも作られますし、なにより気持ちが良いですよ。

骨粗しょう症の治療法とは?

大きく3種類に分けられます。

  • 薬物療法
  • 運動療法
  • 食事療法

骨粗しょう症の薬物療法とは?

治療薬の種類もどんどん増えてきています。
効果の高い薬を患者様は求めていますので、私が病院で勤務していた時は新しい薬が出るたびに、製薬会社の方々が薬の説明に来てくださっていました。

効果が出るまでに1年~2年と時間がかかることが多いので、医師や薬剤師の指示に従い根気よく飲み続けるようにしましょう。

薬物療法のみだと骨の強度はなかなか強くならないので、運動療法や食事療法と並行して行うことが重要です。

骨粗しょう症の運動療法とは?

骨は負荷がかかるほど強くなる性質があるので、散歩や体操などを行い運動量を増やすように意識しましょう。

もちろん運動のやりすぎなどによるケガには注意してくださいね。

骨粗しょう症の食事療法とは?

バランスの良い食事と適切な食事量が必要です。

特に取ってほしい栄養素は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKです。

まとめ

骨粗しょう症に負けない強い骨を作るため、運動や食事などを意識して生活していきましょう。

また、骨粗しょう症と診断された方も運動や食事など意識した生活を続けた状態で、なおかつ薬を指示通りに飲み続けることが重要です。
ただ、骨折のリスクが高まる病気なので転倒にはくれぐれも注意してください。

健康寿命を延ばし、人生をより充実させたものにするためにも日頃から運動や食事などに気を配り元気に生活しましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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