ケアマネージャーさんから、デイサービスを紹介されると「機能訓練が充実してますよ!」という話をよく聞かれると思います。
そもそも「機能訓練」って何?って、聞き慣れない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
簡単に説明すると「機能訓練」とは、理学療法士さんや看護師さんなどが、利用者さんの身体的機能を維持させ、自分らしい生活を送るための介護予防です。
では、具体的に何をするのか、また運動を中心としているサービスである、デイケアとリハビリ特化型デイサービスと何が違うのかについて、紹介します。
デイサービスの機能訓練について
まずは、デイサービスの機能訓練の目的や機能訓練の内容・個別で行う個別機能訓練のことなど、様々な点について解説します。
デイサービスの機能訓練の目的とは?
冒頭にもお伝えしてますが、デイサービスの機能訓練の目的は、利用者さんが自分らしい生活を送るための「日常生活動作(ADL)訓練」です。
例えば、「歩けるようになりたい」という利用者さんのニーズに合わせ、足の関節を柔らかくするための関節可動域訓練や筋力トレーニング、歩行訓練を行います。
他にも、「自宅のお風呂に入れるようになりたい」・「介助なく1人で着替えができるようになりたい」などの動作の訓練もあります。
また、「認知症を予防したい」といった機能訓練もあり、日付を覚える見当識訓練・計算問題・書字訓練などを行います。
デイサービスの機能訓練の内容
機能訓練は、日常生活の維持や改善を目的としている内容が組まれます。
- 歩行訓練(杖や歩行器などの歩行補助具の使用も応じて行う)
- 関節可動域訓練
- ベッド上でのストレッチやマッサージ
- マシントレーニング(自転車訓練や足の筋力訓練など)
- 階段昇降訓練
- ラジオ体操
- マッサージ
- 脳トレ・ゲーム
- 嚥下体操
- 口腔体操
など集団で行う内容が多く、施設によって個別機能訓練と呼ばれている個別に対応しているプログラムもあります。
個々でプログラムが違う個別機能訓練ってなに?
個別機能訓練とは、デイサービスやショートステイ、特別養護老人ホーム、特定施設入所者生活介護において、ご利用者さん一人一人に合った機能訓練を行うことです。
ご利用者さんに対して適切な評価を行った後、今後の機能訓練内容について計画を立てる必要があり、一定の期間で計画を更新していく必要があります。
- 利用者の長期目標
- 短期目標
- 評価
- 機能訓練の内容
- 実施者
など必要条件を明記した「機能訓練計画書」を機能訓練指導員が作成します。
この個別機能訓練を提供する場合、機能訓練加算Ⅰと機能訓練加算Ⅱの2つのいずれかが算定されます。
この加算を取得しているデイサービスでは、機能訓練が充実している施設であるということが分かります。
施設を選ぶ時に、機能訓練の内容や強化を重視している人は、事前に確認しておくといいでしょう。
デイサービスの機能訓練がおすすめの人は?
デイサービスの機能訓練を利用するにあたって、おすすめな人はこちらです。
- 加齢による体力低下を感じている
- 身体機能の低下がみられる
- 他者との交流を希望する
- 家に引きこもりがち
- 日常生活の介護を希望している
手厚い医療ケアや専門的なリハビリが不要だけど、体力や身体機能の向上、人とのコミュニケーション、日常生活のサポートが必要な人はデイサービスの機能訓練がおすすめです。
デイサービスの機能訓練とリハビリは何が違うの?
デイサービスの機能訓練とリハビリって同じじゃないの?と思われている方もいるのではないでしょうか。
機能訓練とリハビリは、基本動作を改善するためのものという共通点は同じですが、大きな違いとしては、医師の指示があるかないかです。
そもそもリハビリテーションとは、医師の指示に基づいて機能の維持や回復を目的として行う訓練・治療することを意味します。
病院などの医療機関で、主治医がリハビリテーションという指示を出し、それを元に理学療法士や作業療法士・言語聴覚士が中心となってリハビリを行います。
そのため、病院や医師が属している介護施設などで行われるのが一般的で、機能訓練よりもサポートは手厚いです。
一方で、デイサービスの機能訓練は、利用者さんの心身の健康と日常生活においての向上と維持・改善を目的としているため、歩行訓練やマッサージ・軽い体操や脳トレなどのレクリエーションを通して行う施設が多いです。
施設職員である機能訓練指導員は1名以上の配置が必要で、利用者さんの心身状態に合わせて訓練計画を作成し、実施することです。
機能訓練指導員は、いずれかの資格を保有している方が、役割を総括した名称のことです。
- 理学療法士…歩く・立つなどの基本動作訓練、電気刺激、マッサージ・温熱その他の物理療法など。
- 作業療法士…健康と幸福を促進するために、作業に焦点を当てた治療、指導、援助を行う。家事動作訓練、日常生活訓練など。
- 言語聴覚士…口腔嚥下訓練、発声練習、コミュニケーション訓練など。
- 柔道整復師…身体損傷への治療
- あん摩マッサージ指圧師…身体マッサージ、リラクゼーションなど。
- 看護師・准看護師…医学的な知識を生かした機能訓練を行う。ご利用者さんの体調管理や怪我や病気のリスク管理など。
機能訓練指導員として機能訓練を担当するためには、上記に挙げた資格のうち、最低でも1つ以上の資格を所持していることが条件となります。
また、幅広いイメージとして、ケガや疾病から回復するために行うマンツーマンのリハビリではなく、日常の身体機能の改善や維持を目的に集団で行ったりマンツーマンで行います。
デイケアとリハビリ特化型デイサービスの違いは?
デイサービスの機能訓練は、入浴や食事などの他に取り入れているものですが、この他に運動を重点的に置いていて、日帰りで通えるデイケアやリハビリ特化型デイサービスもあります。
このデイケアとリハビリ特化型デイサービスは、リハビリに重点をおいたサービスでよく似ていますが、特徴的な部分が違います。
それぞれの特徴を紐解いてみましたので、サービスを選ぶ際の参考にしてください。
デイケアはどんな方が利用できる?
まずは、デイケアについてご紹介します。
どんな方がデイケアを利用するのか、主に以下のようになります。
- 病気やケガなどで入院し、退院後も医療的ケアを受けたい方。
- 食事や入浴を一人で行うのに不安がある方
- 要介護1〜5・要支援1・2の介護認定を受けている方
病院の延長のようですが、日常生活動作に近いリハビリが行えます。
デイケアはどんなところ?
デイケアは、「通所リハビリテーション」または「介護老人保健施設」とも言われ、特徴としては、医師が常駐していることです。
そのため、病院と同じように医師の指示のもと、リハビリだけでなく、食事や入浴もできるため、「入院中に行っていたリハビリを続けたい方」や「リハビリと入浴両方したい」などという方が対象です。
退院後の在宅生活を安心して生活するために、介助サポートを受けながら身体機能の回復、日常生活の回復、認知機能の改善を目的としています。
また、デイケアでは、医師の指示の下で計画書を作成するため、デイサービスよりも専門性が高いリハビリが受けることが可能です。
リハビリ特化型デイサービスはどんな方が利用できる?
次に、リハビリ特化型デイサービスについてご紹介します。
リハビリ特化型デイサービスを利用する方は、こちらになります。
- 自分のペースで継続的に運動を続けたい
- 食事や入浴などの日常生活のことはできるため、一般的なデイサービスに抵抗がある
- 要介護1〜5の認定を受けている
- 足腰が弱くなり、外出が減って自宅にこもっている、運動もしながら他者との交流の場として仲間と集まりたい
- 退院はしたが、身体的部分が不安なため指導員についてもらって、リハビリしたい
- スポーツジムなどの施設に行くことは難しいが、運動の機会を設けたい
上記の目的を持って利用されている方が多いため、一般的なデイサービスと違い比較的に要介護度が低く、元気な人が多くみられます。
また、要支援の状態だが要介護状態になるのを避けるために体を動かしたいという方が利用します。
施設によっては、車いすの方や歩行器を使用されている方は、利用できない場所もありますので、事前に確認しておきましょう。
リハビリ特化型デイサービスとは?
リハビリを専門とし、機能訓練指導員が中心となり、ご利用者さん一人ひとりに合わせたリハビリプログラムを作成し、マシントレーニングや機能訓練をメインに行います。
施設によっても多少違うかもしれませんが、リハビリに重点を置いているため、食事や入浴などは行わず、1回3〜4時間で午前と午後の2部制の半日型デイサービスが多いため、長時間のデイサービスと比較すると安く利用できることも特徴です。
もう一つの特徴は、機能訓練による運動機能の維持・改善のためのリハビリを行っているため、専用のマシンなどのリハビリ設備が充実しています。
そのため、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などリハビリの専門知識を持った専門スタッフが常駐しているので、医師の指示がなくても一人一人に合った体力予防・介護予防のリハビリプランを作成し、サービスを利用することが可能です。
自身の状態や目的に合わせて施設を選びましょう
デイサービスで行っている機能訓練について、病院で行われているリハビリの違いやリハビリ特化型デイサービスとデイケアの違いについて、ご紹介しました。
ご自身の身体機能の状態や目的に合わせて、一般的なデイサービス・リハビリ特化型デイサービス・デイケアのどれに通うかは、人によって違います。
また、高齢者が普段通りの日常生活を長く維持するには、一人ひとりに合った訓練が求められます。
どのサービスが自分に合うのかは、一度ケアマネジャーに相談すると安心です。