地域密着型サービスは、平成18年4月1日の介護保険制度改正から開始され、高齢者が中重度の要介護状態となっても、可能な限り住み慣れた自宅または地域で生活が出来るように、市町村指定の事業所で支援を受けられる介護複合サービスです。
特徴は、施設規模が小さいので、利用者のニーズにきめ細かく応えることができると期待されており、住み慣れた地域で暮らしたいと考えている人たちにとっては、ありがたいサービス。
また、地域密着型サービスと居宅サービスとの違いは、地域の特性を生かした環境を作ったり、小規模な施設を活用し、利用者さん一人一人のニーズに合った介護ケアを行ったり、地域に密着した幅広い支援が受けられます。
では、地域密着型サービスの種類やメリットは何か、利用出来る在宅サービスと施設をご紹介します。
地域密着型サービスの種類とメリットについて
介護保険制度改正し地域密着型サービスが取り入れられてから、15年以上経っていますが、地域密着型は聞いたことあるけど、具体的にどういった介護サービスがあるのか、メリットは何かを紐解いていきます。
地域密着型サービスの種類
まずは、地域密着型サービスの種類は全部で9種類あります。
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 夜間対応型訪問介護
- 認知症対応型通所介護
- 小規模多機能居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 地域密着型通所介護
- 療養型通所介護
となっており、「自宅にいながらサービスを受けられる在宅」と「施設に入所して生活」という2つのタイプは、通常の介護サービスと同じように受けられます。
地域密着型サービスのメリットとは?
地域密着型サービスは、利用者と家族の両方にとって、様々なメリットが大きく3つあります。
利用時間や回数を柔軟に対応してくれる
地域密着型サービスは利用者のニーズにきめ細かく応えられる点や柔軟にサービスが組める点が大きなメリットと言えます。
例えば、小規模多機能型居宅介護では、その日はデイサービスに行けなくても、職員が訪問し食事を持って様子を見に行ったり、家族が仕事で夜遅くなる日は、宿泊することも出来るなどの対応が可能です。
顔なじみのスタッフからサービスを受けられる
小規模な施設が中心なので、顔なじみのスタッフから介護サービスを受けられるところが、地域密着型サービスのメリットと言えます。
一般的な訪問介護サービスの場合、介護度が重度になればなるほど複数の介護事業者が絡み、介護事業所ごとに介護職員が違うので知らないスタッフと顔を合わせる機会が多いです。
地域密着型サービスは一つの事業者から複数のサービスを受けられるため、顔なじみのスタッフが対応するため、特に認知症の方は安心して利用できます。
アットホームな雰囲気
一般的な通所介護では、定員30人以上が一般的ですが、地域密着型の通所介護では定員20人未満と少数人数となっていて、スタッフだけでなく利用者同士でもコミュニティを作りやすいです。
通常の介護サービスとは違い、スタッフと利用者同士も顔なじみになりやすいことで、自然とアットホームな雰囲気になります。
地域密着型サービスの種類(訪問サービス)
まずは、在宅で過ごされている方の家に行って介護サービスをする「訪問サービス」についてご紹介します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、時間帯を問わず1日複数回の定期訪問と随時対応が必要な人に対して行われる訪問サービスです。
介護と看護が密接に連携しながら、利用者にとって必要なサービスが受けられるため、介度の高い方や一人暮らしの高齢者、認知症を患っている方は住み慣れた自宅で安心して生活を続けられます。
主なサービス内容は、ホームヘルパーや看護師などが食事や排泄、入浴の身体介助を行ったり、料理や洗濯といった生活援助、療養生活を支援するための看護のサポートを行います。
また、24時間体制となっており、急な体調不良やトラブルがあった際には、随時対応を受けることができ、利用者の状況に応じた訪問介護や訪問看護も受けられます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の対象者は、要介護認定1〜5を受けた高齢者で、要支援認定1〜2の方は利用できません。
夜間対応型訪問介護
夜間対応型訪問介護は、18時〜翌朝8時の間の夜間帯で対応してくれるサービスで、「定期巡回」と「随時対応」の2種類があります。
定期巡回とは、ホームヘルパーや看護師が、利用者さんの自宅を巡回し、排泄や寝返りの介助、安否確認などを行います。
随時対応とは、急な体調不良や転倒などの事故に遭遇した場合などにホームヘルパーを呼んで介助を受けることができます。
どちらも、万が一の際に対応しづらい夜間帯でも訪問に来てくれるので、非常に頼もしいですね。
夜間対応型訪問介護を受けられる対象者は、定期巡回・随時対応型と同じ要介護認定1〜5を受けた高齢者で、要支援認定1〜2の方は利用できません。
地域密着型サービスの種類 通所サービス(デイサービス)
次に地域密着型デイサービスの種類をご紹介します。
地域密着型通所介護
地域密着型通所介護は、定員18人以下の小規模デイサービスです。
通常のデイサービスよりも小規模なので、きめ細やかなサービスが受けられます。
日帰りで利用できるサービスなので、家族が日中仕事に行っている間に利用するケースが多いです。
サービス内容は、入浴や食事などの介護支援を始め、機能訓練や口腔機能向上サービス、レクリエーションを楽しむ時間が充実しています。
スタッフや他の利用者と顔なじみになりやすくアットホームな雰囲気で、スタッフの目も行き届きやすいという特徴があります。
ただ、一般的なデイサービスに比べると費用が高めというデメリットがあります。
地域密着型通所サービスは、要支援1・2の人は利用が出来ませんので注意しましょう。
認知症対応型通所介護
認知症対応型通所サービスは、定員12名以下で認知症の利用者に限定した小規模のデイサービスで、入浴や食事などの生活介助、機能訓練が日帰りで利用出来ます。
対象者は、要介護1以上の認定を受けていて、なおかつ医師から認知症と診断された方でなけれななりません。
一般的なデイサービスでは、認知症の方に対応していないことが多いため、利用者が施設の雰囲気に馴染めないこともあります。
認知症対応型通所介護は、認知症を発症している方限定なので安心して利用できるところがメリットとなります。
また、施設のタイプが3種類あります。
- 併設型…特別養護老人ホームなどの介護施設と併設
- 単独型…認知症対応型デイサービスとして単独設置
- 共用型…グループホームなどの共用スペースに併設
以上の中から、利用者や家族のニーズに最も合った施設が選べます。
療養通所介護
療養通所介護は、医療的ケアを必要としている人を対象とした介護や機能訓練を実施するデイサービスです。
利用対象者は、要介護1以上で、看護師による観察を必要とする難病や認知症、脳血管疾患後遺症などの重度要介護の方または、がん末期患者と重度要介護者です。
医療スタッフのもとで健康管理を行いながらサービスを受けられるので、経管栄養が必要な方や食事の全介助が必要な方なども安心して利用できます。
また、不定期な利用も可能なので、家族にとっても介護負担の軽減に非常にありがたいサービスと言えるでしょう。
地域密着型サービスの種類(施設サービス)
次にご紹介するのは、施設サービスについてです。
地域密着型サービスでの施設サービスは3種類あります。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
グループホームでは、認知症の高齢者が「ユニット」と呼ばれるフロアに5〜9人と少人数のグループで、共同生活を送る住居となっています。
認知症ケアの知識や経験がある介護スタッフが、24時間体制で適切なケアを行ってくれるので、食事や入浴などの生活介助の介護や支援が可能。
また、施設の日常生活でリハビリの一環として、利用者が家事を分担をしたり、近所へ買い物へ出かけたりと役割を持つことで、機能訓練もできます。
利用対象は、認知症と診断された要支援2、要介護1〜5となっています。
地域密着型特定施設入居者生活介護
「地域密着型特定施設入居者生活介護」の「特定施設入居者生活介護」とは厚生労働省の定めた基準を満たしている施設で、一般的に「特定施設」と省略されています。
施設の種類は4つあり、「地域密着型」の施設での入居定員は、30人未満の小規模となっています。
- 有料老人ホーム
- サービス付高齢者向け住宅
- 養護老人ホーム
- ケアハウス(軽費老人ホーム)
どの施設も食事や入浴、排泄などの介護サービスを始め、居室の掃除や洗濯などの生活支援サービスや機能訓練があります。
対象者は、要介護1~5の認定を受けた方であり、要支援1・2の認定しか受けていない方は利用できません。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
常時介護が必要で、自宅での介護が困難な方が入居できる施設ということもあり、サービス内容は特別養護老人ホームと似ています。
一般的には定員30人以上ですが、地域密着型は定員29名以下と小規模な特別養護老人ホームで、入浴・排せつ・食事等の介護だけでなく、利用者に合わせた機能訓練ができます。
地域密着型は、介護に精通したエキスパートから質の高いサービスを受けられる点が魅力です。
対象者は、要介護3以上の方が入居でき、要介護1・2の方は、やむをえない理由がある場合以外は入居できません。
地域密着型サービスの種類(複合サービス)
次に、複合サービスについてご紹介します。
複合サービスとは、複数の介護保険サービスを組み合わせて一つの事業者が一体的に提供するサービスのことです。
小規模多機能居宅介護
「小規模多機能型居宅介護」は、1つの事業所と契約すると施設への「通い(デイサービス)」を中心として、短期間の「宿泊(ショートステイ)」、自宅への「訪問(ホームヘルプ)」の3つの介護サービスを組みあわせて、日常生活上で必要な支援や機能訓練のサービスを受けることができます。
対象者は、要支援1あるいは2の認定を受けた方と、要介護1〜5の認定を受けた方で、介護度が中重度となっても暮らし慣れた在宅での生活をできる限り継続できるように支援する、小規模な居住系サービスです。
複数のサービスを利用するために複数の手続きをする必要はないので、手間がかからない点が魅力です。
また、一つの事業者と契約すれば様々なサービスを利用できるため、顔なじみのスタッフや利用者さんとの距離も近くなります。
特に、新しい環境やスタッフの変化にうまくなじめない人におすすめです。
看護小規模多機能型居宅介護
小規模多機能居宅介護と同じ利用対象者は、要介護1〜5の認定を受けた高齢者で、「通い」「訪問」「泊まり」加え、訪問看護が加わったのが、看護小規模多機能型居宅介護です。
- 退院直後の自宅での生活へのスムーズな移行
- がん末期などの看取り期
- 病状が不安定な時期の自宅での生活継続
- 介護する家族のレスパイトケアや負担軽減
上のような、医療的なニーズのある高齢者も利用しやすくなり、安心して自宅で過ごすことができるようになります。
介護と看護が同じ事業所で行われることから、状況に応じてタイムリーに連携しているため利用する方にとっても、そのご家族にとっても心強く安心感があります。
住み慣れた場所で自分らしい生活を過ごすために
いかがでしたか?
地域密着型サービスは、家族間や地域との繋がりを大切にするサービスであり、利用者や家族にとって大きなメリットがあります。
ご自分の住んでいる地域でどのようなサービスがあるかを調べてみてください。
自治体によっては、地域密着型サービスが進んでいない地域もあるため、事前に確認が必要です。
気になるサービスが見つかれば、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してみましょう。