

定年退職を迎えるにあたり、老後の生活費や介護費用が気になり、新たな収入源を作りたい方や資産を増やしたい方もいるのではないでしょうか?
2025年4月、自民党の議員連盟から高齢者を対象とした「プラチナNISA」が提言されており、老後の新たな収入源や資産形成につながると注目されています。
今回は、新たな資産運用の制度であるプラチナNISAの特徴やメリット・デメリットについて解説します。
こちらの記事を読むことで、従来のNISAとプラチナNISAの基本的な知識を理解し、利用するか否か決めることができるでしょう。
老後の新たな収入源や資産を作りたい方は、ぜひご覧ください。
そもそもNISAとはどんな制度なの?


プラチナNISAについて理解するためには、従来のNISAがどのようなものなのか理解しなければなりません。
こちらでは、そもそもNISAとはどんな制度なのか、分かりやすく解説します。
NISAとは、投資で得た利益に税金がかからない資産運用の制度
そもそもNISAとは、投資で得た利益に税金がかからない資産運用の制度のことです。
正式には「少額投資非課税制度」と呼ばれ、2014年から始まりました。
基本的には、株式や投資信託による投資で得た利益には20.315%の税金がかかります。
しかし、NISAを利用することで、得た利益が非課税になるお得な制度です。
具体的には、以下のとおりです。
投資で10万円の利益を得た場合
- 通常の投資の場合:20.315%の税金がかかるため、実際の利益は約8万円
- NISAを利用した場合:利益は非課税となるため、10万円
また、NISAの利用には、証券会社・銀行などでNISA口座の開設が必要ですが、国内に住む18歳以上の方なら、誰でも開設できる点も大きな特徴です。
2024年1月からは、より長期間の投資による資産形成を促す目的で、「新NISA」が始まりました。
NISAには、2つの種類がある
2024年1月から始まった新NISAでは、以下の「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類に分かれています。
つみたて投資
- 対象年齢:18歳以上
- 年間投資枠:120万円
- 非課税保有期間:無期限
- 非課税保有限度額:1800万円
- 口座開設期間:恒久化
- 対象金融商品:長期の積立・分散投資に適した投資信託
成長投資枠
- 対象年齢:18歳以上
- 年間投資枠:240万円
- 非課税保有期間:無期限
- 非課税保有限度額:1,200万円
- 口座開設期間:恒久化
- 対象金融商品:上場株式・投資信託など
つみたて投資枠は、定期的に積立で投資をする方法で、購入できる金融商品は投資信託に限られています。
しかし、長期での積立や分散投資に適した金融庁の基準を満たした商品であるため、リスクを抑えて資産を作りたい方向けの種類です。
一方、成長投資枠は積立での購入だけではなく、一括での購入も可能です。
また、年間投資枠がより広がり、投資信託や上場株式などの幅広い金融商品も購入対象になるため、資産を増やしたい方に向いています。

プラチナNISAとはどんな制度なの?


プラチナNISAとは、2025年4月に自民党「資産運用立国議員連盟」から提言された高齢者向けのNISAのことです。
プラチナNISAには大きく2つの特徴があり、老後の新たな収入源や資産形成につながると注目されています。
こちらでは、プラチナNISAの概要や特徴について解説します。
プラチナNISAとは、高齢者を対象とした新たなNISAのこと
プラチナNISAとは、高齢者を対象とした新たなNISAのことです。
そもそも現行のNISAは、長期での投資を前提とした制度であり、利用者は若い世代が多く、高齢者には利用しづらい点がありました。
そのため、政界や証券業界から、高齢者にも利用しやすい制度にするよう求める声が上がっていました。
このような背景があり、自民党「資産運用立国議員連盟」から、高齢者を対象としたプラチナNISAの創設が提言され、来年度の税制改正に向けて検討されています。

プラチナNISAの2つの特徴


このように、プラチナNISAの特徴について気になる方も多いのではないでしょうか。
プラチナNISAの大きな2つの特徴は、以下のとおりです。
- 65歳以上の高齢者が対象
- 投資で得た利益を毎月分配金として受け取れる
一つずつ解説します。
65歳以上の高齢者が対象
プラチナNISAは、65歳以上の高齢者が対象とされています。
現行のNISAは中・長期的な資産形成を目指すことを目的としているため、高齢者には適していません。
また、高齢者の場合、比較的貯蓄や資産を持っている方が多く、NISAを含めた投資による資産運用には消極的な面があります。
そのため、高齢者のNISA利用を促すことを目的に、利用しやすい制度設計が検討されています。
現行のNISAは18歳以上が対象であるため、65歳以上の高齢者でも利用できます。
投資で得た利益を毎月分配金として受け取れる
もう一つの特徴は、投資で得た利益を毎月分配金として受け取ることができる点です。
プラチナNISAは、高齢者が短期で安定した収入を得ることを目的に、投資で得た利益を、毎月分配金として支払う「毎月分配型」商品の取り扱いを想定しています。
そのため、年金と組み合わせて毎月の生活費などに充てることもできます。

プラチナNISAの3つのメリット

このようにプラチナNISAのメリットについて気になる方も多いのではでしょうか?
プラチナNISAのメリットは、以下の3つです。
- 投資で得た利益を非課税で受け取れる
- 効率的に資産運用ができる
- 老後の生活費や介護費用の足しになる
一つずつ解説します。
投資で得た利益を非課税で受け取れる
プラチナNISAは、現行NISAと同じように、投資で得た利益を非課税で受け取ることができます。
先述しましたが、通常の株式や投資信託による投資で得た利益には税金がかかります。
しかし、プラチナNISAを利用すると、得た利益を非課税で全額受け取れるため、大きなメリットの一つと言えるでしょう。
効率的に資産運用ができる
プラチナNISAを利用すると、効率的に資産運用ができます。
プラチナNISAを利用し、得た利益は非課税となるため、分配金などの利益を受け取りつつ、元本を増やすこともできます。
そのため、より効率的に資産運用することができると期待されています。
老後の生活費や介護費用の足しになる
老後の生活において、年金のみの収入だけでは足りないと不安に思う方も少なくありません。
しかし、年金とプラチナNISAで得た毎月の分配金を合わせることで、老後の生活費や将来的な介護費用の足しにすることができます。
そのため、老後も経済的にゆとりを持った状態で、安心した生活を実現できるでしょう。
プラチナNISAの3つのデメリット


プラチナNISAには、老後の新たな収入源や資産形成につながるメリットがある一方、以下のデメリットもあります。
- 元本が減る可能性がある
- 手数料が高く、リターンが少ない可能性がある
- 知識が無いと商品選びで失敗するリスクがある
一つずつ解説します。
元本が減る可能性がある
プラチナNISAを利用した資産運用を行うと、元本が減るリスクがあります。
毎月分配型の金融商品は、さまざまな理由で相場が変動すると、元本を切り崩して「特別分配金」として支払われるリスクがあります。
高齢者の場合、元本が減ると、長期的な資産形成や資金を取り戻すための時間的な余裕が少ないため、結果的に損失につながるでしょう。
手数料が高く、リターンが少ない可能性がある
現行のNISAは、購入する金融商品によっては長期保有時にリターンが出る可能性があり、投資にかかる手数料が安いメリットがあります。
しかし、毎月分配型の金融商品は、投資にかかるさまざまな手数料が高い傾向です。
手数料が高いと、最終的な利益が目減りし、リターンが少なくなる可能性があります。
そのため、購入前になるべくコストがあまりかからない金融商品を選ぶことが必要です。
知識がないと失敗するリスクがある
プラチナNISAは高齢者が利用しやすいよう制度設計が検討されていますが、投資に関する知識がないと失敗するリスクがあります。
毎月分配型の金融商品は、毎月コンスタントに収入が得られるメリットがある一方、運用次第では元本や利益が減るリスクがあります。
また、本格的に制度が始まると、プラチナNISAを利用した詐欺や営業トラブルに見舞われる可能性も考えられるでしょう。
そのため、投資に関する知識やリテラシーがないと、思わぬ損失を被る可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
今回はプラチナNISAの特徴やメリット・デメリットを中心に解説しました。
国内では、NISAを利用した資産運用を行う方が増えていますが、長期的な資産運用に向かない高齢者にとって、利用しづらい点があります。
そのため、高齢者が利用しやすいプラチナNISAが提言されており、現在検討されています。
今後、プラチナNISAが正式に採用された場合、老後の新たな収入源や資産形成の一助となるでしょう。
しかし、プラチナNISAの投資にも、さまざまなリスクがあるため、しっかり投資に関する知識をつけ、リテラシーを高めることが必要です。
今後のプラチナNISAの動向に注目しつつ、老後の資産運用について検討しましょう。