離れて暮らす親に避難指示が!家族ができる防災とは?台風、豪雨、洪水、土砂災害、津波など対策と本人への説得方法も解説

離れて暮らす親に避難指示が!家族ができる防災とは?台風、豪雨、洪水、土砂災害、津波など対策と本人への説得方法も解説
台風の時期になると、離れて暮らす両親が心配だわ
「避難してね!」と言っても全然聞いてもらえないんだよ!

そんな悩みを抱えていませんか?

この記事では被災地域で過ごした経験をもつ筆者が、

  • 避難を考える前に知っておきたい3つのポイント
  • 災害で避難しようとしない高齢者の3つの心理
  • 実際に避難をした人とそうでない人の違い
  • 離れて暮らす家族を支える4つの手段

について解説します。

記事を読み終わるころには、災害時の心構えができ、離れて暮らす家族を支援する方法が分かります。

もしものときに離れて暮らす家族をどうやって支援しようかと悩んでいる、あなたの助けになれば幸いです。

避難を考える前に知っておきたい3つのポイント

避難を考える前に、知っておきたい3つのポイントがあります。

新しい避難指示ガイドライン

令和3年5月20日に内閣府が避難情報ガイドラインを改訂しました。

避難のタイミングを明確にするため、避難勧告が廃止になったのです。

かわりに、警戒レベル4の避難指示で必ず避難になりました。

警戒レベル3で高齢者等は避難、警戒レベル4で危険な場所から全員避難です。[1]

避難情報は市町村から発令され、テレビやインターネット、防災無線などで伝えられます。

災害が起きたとき、被災地の状況は時間に伴って変化します。

段階を踏んで発令されるとは限らないことも知っておいてください。

ハザードマップ

安全な避難行動がとれるよう、ハザードマップを確認しておきましょう。

地域の災害のリスクや避難場所、安全な経路が分かります。[2]

ハザードマップは住んでいる市町村ごとに作成され、誰でも見ることができます。

避難行動要支援者名簿

地域の保健福祉課窓口か、郵送などで申請できます。

要配慮者とは「高齢者、障がい者、乳幼児その他特に配慮を要する者」とされ、このうち自力で避難することが困難な高齢者や障がい者を「避難行動要支援者」としています。[3]

登録しておけば、氏名、住所、年齢や要介護度などの情報が、民生委員、地域包括支援センター、消防機関や警察機関に提供されます。

災害で避難しようとしない高齢者の3つの心理

高齢者といってもさまざまですが、一般的にはつぎの傾向があります。[4]

  • 長年かけて築いてきた生活を失うことへの不安がある
  • 家族や若い人たちに迷惑をかけたくない思いから、苦痛を訴えないことがある

ここに、避難の妨げになる認知バイアスがくわわります。

認知バイアス(bias)とは、認識の歪みや思考の偏りを示す言葉として使われます。

災害を目の前にすると、以下のような心の動きが起きます。[5]

正常性バイアス

おじいさん
おじいさん
いつものことだし、たいしたことにはならないはず!

「たいしたことにはならないはず」と判断し、心の平静を保とうとする心理メカニズムです。

日常生活で感じる不安や恐怖から守ってくれる役割があります。

しかし、度が過ぎてしまうと地震や洪水、火事や事故などの非常事態も重くとらえず最初の対応が遅れてしまう可能性を含んでいます。

たとえば大雨で土砂災害警報が出たとしても、「このぐらいの雨ならよくある」と避難しないことがあげられます。

楽観性バイアス

私はいままで大丈夫だったから、今回も私だけは何とかなるわ
おばあさん
おばあさん

「自分だけは何とかなるだろう」と根拠なく判断し、心の平静を保とうとする心理メカニズムです。

自分にとって好ましいことが起こる確率を過大評価し、好ましくないことが起こる確立を過少評価します。

たとえば災害が起こるかもしれないから備えをしなくてはならないのに「自分が生きている間には起こらないだろう」と対策をとらないことがあげられます。

状況を楽観的に判断してしまい、用心を怠ってしまうのです。

同調性バイアス

おじいさん
おじいさん
ご近所さんも皆避難なんてしてないよ!

「まだ皆逃げていないから大丈夫だろう」と、つい他人と同じ行動をとってしまう心理メカニズムです。[6]

日本人はこの働きが強いとされています。本来であれば急いで逃げるべき状況においても、「誰も逃げていないから大丈夫だろう」と逃げない選択をしてしまうのです。

認知バイアスへの対策

東北大震災での証言を参考にしてみます。[7]

環境における明らかな異変は危険スイッチを押してくれますが、その後押しをしてくれるのはほかの人からの声がけだったそうです。

身の危険を感じさせ、行動に移させる強い言葉が必要です。

被災地域で過ごしていた筆者も、避難者のご高齢者にあとからお尋ねしたことがあります。

すぐに避難しましたか?
職員さん
職員さん

おじいさん
おじいさん
現実事に感じなくて最後まで粘ったよ。大丈夫だと思っていたし、いざとなったら家と一緒に死のうと考えた。
周りの皆に言われなかったら避難していなかったかも知れないわ
おばあさん
おばあさん

恐ろしい話です。

避難した人とそうでない人の違い

国土交通省が、平成30年の豪雨について避難した理由と避難しなかった理由について発表しています。[8]

避難しなかった理由

  • 自宅が安全と判断
  • 避難するほうが危険と判断
  • 近隣住民が避難していなかった

避難した理由

  • 避難勧告に従った
  • 周辺の環境の変化
  • 隣人などからの声かけ

 避難するには人より先に行動することや、行動を促す言葉が必要であることが分かります。

離れて暮らす家族を支える4つの手段

離れて暮らす家族を支えるためのツールやアプリにはさまざまなものがあります。

逃げなきゃコール

国土交通省が開発し発表しています。[9]

離れて暮らす家族が住む地域の防災情報をアプリで受けとり、直接電話で避難を呼びかける取り組みです。

自分のスマートフォンにダウンロードするだけで利用できます。

スマートフォンやアプリなどの電子機器が苦手な高齢者でも安心です。

見守りサービス(訪問や家電など)

  • 警備会社や郵便局員など、専任のスタッフが定期的・緊急時に訪れる「訪問型」
  • 高齢者の自宅にセンサーを設置し安否確認をおこなう「センサー型」
  • 冷蔵庫の開閉などで安否確認をおこなう「家電型」
  • 高齢者の自宅にカメラを設置し、離れた場所から見守る「カメラ型」

災害時は少しでも早い行動が求められます。ライフスタイルに合わせて選びましょう。

家族・地域の人

家族が離れていても、近所に住む方や民生委員から声かけをしてもらうことはとても大切です。

顔を合わせたときに挨拶や雑談するなどして、普段から交流をもつようにしておきましょう。

もちろん、家族からの声かけも大切です。避難を決意する力強い後押しになります。

地域の相談所

顔見知りが近くにいない場合、地域包括支援センターやケアマネージャーに相談しておくことをおすすめします。

避難行動支援者名簿にも登録しておきましょう。

まとめ

今回は離れて暮らす家族の防災について解説しました。

万が一の状況にすぐ駆けつけられない距離があるからこそ、家族の周りで支えてくれる人や、連絡手段を気がけておくことが大切です。

災害についての会話も、立派な防災対策です。

すぐに話を聞き入れてもらえなくても、あきらめずに声をかける必要があるでしょう。

「最近体調はどう?」そんな会話から始めてみてもいいかもしれません。

参考

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