近年、育児と介護の両方を行っているダブルケアラーが増加しています。
その数は、なんと全国に25万人。
しかし、これだけの人がダブルケアを行っている現状に対して、対応策を取っている自治体はごく僅かです。
この記事では
- ダブルケアラーが抱える悩み
- ダブルケアを乗り越える方法
- ダブルケアの相談先
- ダブルケアを楽にするには
について解説します。
ダブルケアを頑張っている方や、ダブルケアについて知りたい方のご参考になれば幸いです。
近年増加傾向にあるダブルケア
テレビなどでダブルケアが取り上げられる際、原因は晩婚化であると報道されがちです。
それによりネットニュースのコメントなどでは、ダブルケアになるのは自業自得、などといった心無い意見も目にします。
ですが、ダブルケアの原因は晩婚化だけではないのです。
ダブルケアは誰にでも起こりうる
早くに出産した人でもダブルケアをしている人はいます。
育児中に親が早くに認知症になってしまったり、突然身体を悪くし介護が必要になってしまったケースです。
実は知られていなかっただけで、ダブルケアは昔から存在しています。
高齢化社会により介護が必要な人の割合が多くなり、それにより育児と介護のタイミングが重なる事も増え、ダブルケアが浮き彫りになったのです。
ダブルケアという言葉自体が知られていない
ダブルケアは誰にでも突として起こりうる事です。
それなのに、ダブルケアという言葉は世間に浸透していません。
そのため世間からの関心も薄く、ダブルケアラーは孤立してしまう傾向にあります。
ダブルケアはいつ発生するか分からず明日は我が身です。
高齢化が進むにつれダブルケアも増加していくので、ダブルケアは今後大きな課題になっていく事でしょう。
ダブルケアにおける悩み
ダブルケアラーが抱えている悩みの多くは、周囲に辛さを理解してくれる人が少ない事です。
身近にダブルケアラーがいる方は、ぜひダブルケアにおける悩みを理解し、現状を分かってあげて欲しいです。
家族にダブルケアの辛さが伝わらない
育児と介護は、どうしても家に居る時間が長い人が担う事になります。
例えば、ママが中心で育児と介護を行っている場合の話です。
日中外で働いているパパは、ママがどうやってダブルケアをこなしているかを知りません。
現状を分かっていないと、ダブルケアを軽視したり、的外れなアドバイスをしてしまう事があります。
担当のケアマネジャーさんが育児に無関心
ケアマネジャーさんは、基本育児の事にはノータッチです。
ダブルケアが大変だと相談しても、「そこはお母さんの頑張りですから」などと根性論を言ってくる人もいます。
そうなると、育児と介護のダブルパンチで限界の中もっと頑張れという話になり、更に追い込まれてしまう事も。
周囲からの的外れなアドバイス
現状をよく分かっていない人達の、勝手気ままな意見にダブルケアラーは苦しめられる事も。
以下は、実際によく周囲から言われるという意見です。
仕事辞めたら?
幼い子供と認知症の親の世話ばかりをしていると気が滅入ります。
そんな中、あえてパートなどで外で働き、気持ちを切り替えているダブルケアラーの人もいます。
しかしそんなダブルケアラーに対し、育児と介護に専念したら楽になるでしょ、と仕事を辞めるよう勧めてくる人がいます。
一時的でも良いから離れたいほどダブルケアが辛い。
だから家の外で働いているんだという気持ちは、中々理解されません。
それは多くの人が、育児か介護を同時に行った経験がないからなのでしょう。
園や学童を利用すれば良いのに
子供をどこかに預ければいいんじゃない?と簡単に言う人がいますが、お金がかかったり審査があったりして大変なんです。
幼稚園の場合
幼稚園の保育時間は基本9時~14時までです。
延長保育もありますが、当然お金がかかります。
園によって金額に差はありますが、大体1日200~300円程です。
夏休み等の幼稚園がお休みの時期は、1日だけで1500円もかかる事もあります。
保育園の場合
保育料金は世帯収入で変わりますが、どちらにせよお金がかかります。
入るのに審査を通る必要があり、入園待ちの待機児童も沢山いるため、もし入れたら御の字といった感じです。
学童の場合
学童に入るには、ダブルケアラーには難しい条件があります。
・フルタイムで勤務
・一人親の家庭
・保護者が家に居ない
上記の3点が学童保育を受けられる条件なため、現実的ではありません。
何で親を施設に入れないの?
この意見はよく聞きますね。
ですが、そもそも他人が口を出す問題ではありません。
親が施設を嫌がったり、可哀想だから施設に入れたくなかったり、親族が施設に入れるなんて親不孝な!と反対してきたり、各家庭で色んなパターンがあります。
施設に入れたくても、高齢化社会の今では数年単位で順番待ちが必要な場合もあります。
その上費用が高額なケースも多く、誰でも簡単に入れる訳ではありません。
ダブルケアを乗り越えるには
ダブルケアを乗り切るには、家族の協力が不可欠です。
まずは家族にダブルケアの現状を知らしめる事が、ダブルケアを乗り越えるための第一歩です。
家族にダブルケアの現状を理解させる
家族が育児と介護に参加してくれても、仕事終わりや休日の間のごく僅かな時間ではダブルケアの苦しみは理解できません。
ダブルケアの辛さは、毎日の育児と家事の積み重ねです。
片手間に手伝った程度では、ダブルケアのしんどさは分かりません。
1日のスケジュールを紙に書く
育児と介護の現状を文字にする事で、どれだけ大変なのかが客観的にも分かります。
分単位で育児と介護、家事の全てを書き起こしましょう。
一番大変だった日のスケジュールを書くと、大変さがより伝わりやすいです。
実際にダブルケアを体験させる
家族の休日を使い、日頃行っているダブルケアを実体験させましょう。
その時、決して手伝ったり手抜きをさせてはいけません。
ダブルケア当事者の、普段の育児と介護と家事のクオリティをそのまま再現させて下さい。
適当にやらせてしまうと、ダブルケアって大した事ないじゃん、と勘違いを生む事になります。
子供も介護要員に加える
小さいな子でもある程度のお手伝いはできます。
あれ取って、これ持ってて、などの軽いサポートでも助かるものです。
主な介護者一人だけが頑張り、割を食うという状態はおかしいです。
使えるものは子供でも使い、少しでもダブルケアが楽になるよう状況を改善しましょう。
もし家族が協力してくれない場合は・・・
家族が非協力的で、ダブルケアの事を説明しようとしても聞いてくれない、実体験させようとしても拒否される。
そんな時は、最低限の育児と介護、家事以外は放棄しましょう。
荒療治ですが、強制的に協力しなければいけない状況を作りださないと、無理解な人は動いてくれません。
どんどん家にホコリが溜まっていったり、シンクに食器が放置されていたり、洗濯物が溜まっていくと他の家族も困りますよね。
ダブルケアラーさんには頑張り屋が多く、自分の身体にムチを打って動き、ダブルケアをこなしています。
その努力を表に出していないと、大変って言ってるけど出来てるじゃん、じゃあ大丈夫でしょと思われてしまいます。
もう一人で介護するのは限界なんだ!と目に見えて分かれば、家族もきっと手を貸してくれる筈です。
ダブルケアはどこに相談すればいいのか
ダブルケア自体が余り知られておらず、対策を取っている自治体もごく僅か。
そんな中、ダブルケアはどこに相談すればいいのでしょうか?
市役所の介護と子育て支援の課に相談する
ダブルケアの相談窓口がある自治体は少ないですが、介護と子育て支援は大々的に行われています。
手間はかかりますが、それぞれの課に足を運びダブルケアの事を相談しましょう。
相談してもダブルケアの辛さを分かって貰えず、冷たくあしらわれる事もあるかもしれません。
それでも、居住区の自治体が支援している介護と育児の情報は手に入ります。
パンフレットを貰うだけでも、どの様なサービスを受けられるのかを知る事ができます。
ダブルケアを楽にするには
ダブルケアを少しでも楽にするために、色んなサービスを利用しましょう
介護サービスを利用する
今の要介護度で受けられるサービスを、限界まで利用しましょう。
施設への入所は無理でも、デイサービスなら空きがある事が多いです。
週に一回でも、介護しなくて良い時間ができるとかなりと楽になります。
担当のケアマネジャーさんがいるなら、他にも利用できるサービスがないか、介護計画を見直して貰いましょう。
要介護度判定について
普段は認知症が酷いのに、何故か介護度の判定の時にはハキハキと話し、要介護度が低く判定されてしまった!という事はよくあります。
調査員の前ではきちんとしなければと思うのか、しゃきっとされるご老人の方は多いです。
そんな時は、普段の様子をこっそり撮影しておき、調査員の方に見せましょう。
いつもの様子を知らせる事で、介護度判定にも影響します。
普段の言動を撮った動画は重要な資料になるので、ちゃんとした判定を出して貰う事に繋がります。
食事の宅配サービスを利用する
家事代行サービスに比べると、食事の宅配は比較的安いです。
食材がレシピ付きで送られてくる物から、ただレンジでチンするだけの物まで様々なサービスがあります。
週に数回、食事を宅配サービスに置き換えるとぐっと楽になりますよ。
まとめ
ダブルケアの乗り越えるためには、頑張り過ぎない事が大切です。
長期戦になる事が多いダブルケアに必要なのは、介護者の心のケアです。
一人で抱え込まず他の家族も巻き込み、手を抜ける所はガンガン抜きましょう。