医療法人社団松弘会が運営する介護老人保健施設トワーム指扇。
写真:介護老人保健施設トワーム指扇
埼玉県さいたま市でのどかな風景に囲まれた3階建ての施設。
トワーム指扇のコンセプトは「もてなしの心」。
一歩足を踏み入れると、高級ホテルのロビーに来たような感覚になります。オーストラリアから輸入したシャンデリアに圧倒され、明るく開放感が味わえる空間作りと数々の絵画や調度品も見逃せません。
トワームグループの高いレベルの教育を受けてきたスタッフは活気があり、離職率も低く安定感のあるチームワークでサービスを行っています。
今回は、そんなすてきな施設で働く主任介護支援専門員髙山亮平さんにインタビュー。
介護支援専門員とは、介護保健を使えば誰でも1度はお世話になる要介護・要支援者に対してケアプランを提供するケアマネジャーというお仕事に従事している方です。
髙山さんに普段の仕事の様子や長年の経験から、利用者さんとの関係性について率直にお話してくださいました。
地域に呼んでもらえるようなケアマネジャーに
髙山さんのお仕事内容を教えてください
髙山さん:現在の仕事は、トワーム指扇で主任介護支援専門員(以下ケアマネジャー)です。ケアマネジャーの仕事は地域で暮らす高齢者をはじめ、介護保険を使う方々の自宅に訪問し必要なサービスを提供するお手伝いをしています。
写真:主任介護支援専門員 髙山亮平さん
2008年に介護支援専門員の資格取得をし、当時は職場で最年少27歳のケアマネジャーでした。現在も女性が多い職場ですが、私以外には3名のケアマネジャーと一緒に勤務しております。
担当地域はさいたま市、北区、大宮区、桜区、上尾市、川越市など、広範囲になります。私自身は40名以上の利用者さまを担当しています。
介護現場で働くことになった理由を教えてください
髙山さん:私の時代は就職氷河期で、高校生の時に医療関係に進もうかと考えたのですが、生まれつき色弱を持っていました。
今も車の運転はできるのですが医療の現場に立つのは難しいと思い、福祉の専門学校を卒業後して介護士になりました。
現在はトワーム指扇に入社して11年目ですが、前職は特別養護老人ホーム(以下特養)に2社ほど勤めております。デイサービスの立ち上げにも関わるなど10年程は特養にいました。その間にスキルアップで資格取得に励み、ケアマネジャーになりました。
ケアマネジャーになったきっかけは何でしょうか?
髙山さん:昔から人に悩みを打ち明けられて相談に乗るのが好きなタイプで、学生時代からいずれは相談援助の業務に携わりたいと思っていました。
写真:1階の施設玄関先のロビーはくつろげる空間を
でも、ケアマネジャーは5年程介護現場での経験が必須ですから、初めは現場で介護士としてチームで仕事をしていました。
当時は20代で若さもあってか、チームで取り組むことが苦手で、上司たちが決めたケアの仕組みに疑問を持つと「なぜ!?誰が決めたの?」とすぐ口に出して反抗的な面もありました(笑)
次第に介護だけでなく医療の知識不足を感じるようになり、近所や親戚からは介護職に就いていると介護保険や制度について質問を受けましたが、すんなり答えられず恥ずかしいと思い、スキルアップのためケアマネジャーになりました。
今は個人で動ける仕事になり、ケアプランを作って利用者さまのご自宅に一人で伺うことができるので性に合っていると思います。
担当する方には男性も多く、正直なところ少々荒っぽい方やあまり引き受けたくないと思われているケースの方もいらっしゃいます。
時には利用者さんに対して「自分以上のケアマネジャーは他にいない!」と冗談と本音半分でお伝えするときもあります。
「自称地域No.1!」こういうのは言ったもん勝ちじゃないでしょうか(笑)
仕事のやりがいを教えてください
髙山さん:利用者さまの漠然とした悩みや不安を紐解いて行くことや、ご本人やご家族さまにも気がつかれないように解決策を見つけることです。
今は地域の高齢者の方々が平和に暮らせることが仕事の醍醐味です。
年齢を重ねて、身体も弱り病気や障害をお持ちになると先行きが不安になります。真面目な方ほど眠れないくらい、悩まれている方がいます。
訪問に行った際は「こちらが悩みを肩代わりしますから、これ以上考え込まなくていいですよ」とお伝えするとホッとされます。熟睡できるようになったと言われるとこちらも安心いたします。
先日は長年担当していた利用者さまが施設にご入居されました。そこで私の担当は終わりましたが、最後に娘さまよりご連絡があり、手作りの感謝状をいただきました。そこに「世界一のケアマネさん」と書かれていて、私が担当したこと日々を喜んでもらえたことは励みになりました。
写真:手作りの感謝状を大事に持っていた髙山さん
ケアマネジャーの仕事で大切にされていることは何でしょうか?
髙山さん:専門性とプレミアム感ですかね。私から見て思うのはケアマネジャーの仕事はとても立派な職業なのに、自信なさげに働いている方が多いように感じます。
また偉そうではありますが、中にはベテランの方が一人親方のように働き、後輩を上手に育てられず周囲を困らせている場合もあります。私の場合はなるべくプロっぽくない、話しやすく親しみある雰囲気を作るように心がけています。
何よりも大事なことは、周囲から選ばれるケアマネジャーにならないといけません。地域に呼んでもらえるような人になることが重要ではないでしょうか。
私もコツコツと知識と経験の積み重ねを怠らないように「ケアマネといえば高山さん!」と言われるようになろうと思います。
利用者さまとの接し方で工夫していること、気をつけられている点をお聞かせください
髙山さん:スキルとしては会話のイニシアチブを意識しています。ケアマネジャーの仕事は相手の話を要約し、整理して必要なことをお伝えすることなので、話をスムーズに進めるために傾聴はしていません。
依頼があれば断らず、時には「何で自分が?」と思うような難しいケースでも行くようにしています。
利用者さまのご希望を全て聞くことは難しく、あくまで相談ですので、話を組み立てながら訪問時間は15分〜20分程度で行っています。
イメージとしては、学校の家庭訪問で40名のクラスを担任の先生が家を訪問するような感じで思っています。どの利用者さまとも、平等な関係性を築くために、付かず離れずの距離感を保っております。
またサービスが始まると、ヘルパーさんとの関係性などにも気を配らなくてはなりません。もし支援中にトラブルが発生すれば積極的に仲介に入ります。
利用者さまだけでなく、関わってくださる事業所同士の連携もとても大切です。
介護業界の魅力はどのようなところだと思いますか?
髙山さん:人の人生に触れられ、機械的な作業ではないところです。例えば、自分自身に元気がない時や疲れていても利用者さまのところへ行くことで自分を鼓舞できます。
今後も75歳くらいまでは現役で続けたいと思っています。
今後の目標を教えてください
髙山さん:ケアマネ界のインフルエンサーになれたらいいですね。自分で見た・聞いた・知っていることを正確に伝えていきたいです。
写真:落ち着いてリハビリに励むことができる環境
残念なのですが、ケアマネジャーの職種は人気がいまひとつであることも事実。
専門性のある職種ですから、もっとケアマネジャーの職種が注目され目立っていいのではないかと考えています。
これから先も超高齢化社会の波に乗らなければならないわけですからケアマネジャーの仕事は一層必要とされていきます。
ケアマネジャーは基礎を積んでから複雑なケースの利用者さまを担当できるようになり、最後は教育できるスキルを積んで教える立場になることが理想だと思います。
教育できる人が少ないのが実情で、今はただ「背中を見て学べ」という時代ではないので私も困った案件を抱えているケアマネジャーがいれば、担当を変更または一緒に訪問して様子を見ています。
もっとケアマネジャーが大切にしてもらえるといいですね(笑)
安心・信頼ができる施設を探している方にメッセージをお願いいたします
髙山さん:施設選びはご自身でしっかりご覧になってください。
大体が良い事だけを話している施設が多いですが、マイナスな面にも目を向けてみてください。
例えば、施設の隅の方を見る。観葉植物が放置され枯れている、埃が溜まっていないかなど確認してみてください。植物が雑な状態で置かれていると言うことは、それほど現場が忙しいことやスタッフに余裕がないのかもしれません。
花に水をあげることもできない施設は少し考えた方がいいのでは?というのが、長年の経験で思うことです。
決める際に気になることや心配なことも、よろしければケアマネジャーに相談して後悔のないようご検討ください。