このようにお悩みの方もいるのではないでしょうか?
2024年12月に健康保険証がマイナ保険証へ移行されることが決まり、老人ホームで生活する高齢者のマイナ保険証の管理について対応が迫られています。
しかし、マイナ保険証を預からない方針を打ち出す老人ホームも出てきており、病院を受診する際、どうすればいいのか困惑する高齢者やご家族も多いと思われます。
今回は老人ホームでマイナ保険証を預かることができない理由を中心に、マイナ保険証の特徴や預けられない場合の方法について解説します。
そもそもマイナ保険証とは?
マイナ保険証とは、健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカードのことです。
マイナ保険証を利用すると、以下のように、より便利に病院での医療サービスを利用ができると言われています。
- スムーズに病院の受付ができる
- 病気やお薬などの情報を共有しやすい
- 高額な医療費の限度額を超えた分の一時的な支払いが不要になる
国もマイナ保険証への切り替えを積極的に進めており、2024年12月から健康保険証の新規発行が終了することが決まっています。
しかし、マイナ保険証の利用率は低く、全国保険医団体連合会が発表した2024年9月の利用率は約13%と低く、マイナ保険証について、以下のような声を聞くことがありました。
マイナ保険証のメリット・デメリット
さきほど、マイナ保険証を利用すると、より便利に医療サービスを利用できるとご紹介しましたが、一方でさまざまなリスクがあるというデメリットもあり、取り扱いには注意が必要です。
こちらからは、マイナ保険証のメリット・デメリットをご紹介します。
マイナ保険証のメリット
マイナ保険証を利用するメリットは、主に以下の2つです
- 手続きがかんたんになる
- 医療情報の管理・共有が行いやすくなる
病院を受診した際、以下のような経験をされた方もいるのではないでしょうか?
このようなお悩みに対して、マイナ保険証を利用すると、病院受診にかかる一連の流れをスムーズにし、高額医療費の限度額を超えた分の支払いなどの手続きの手間を減らすことができるとされています。
また、診療情報やお薬に関する情報共有がかんたんにできるようになり、事務の手間を減らすことや適切な治療を受けることにもつながります。
マイナ保険証のデメリット
マイナ保険証にも、以下のようなデメリットがあります。
- 個人情報が漏えいするリスクが高い
- マイナンバーカードが手元にない場合の対応が不透明
- 公費による医療費の補助制度とリンクしていない
マイナ保険証の最大の泣きどころは個人情報が漏えいするリスクが高いことです。
そもそもマイナンバーカード自体に多くの個人情報が登録されており、紛失や盗難によって漏えいや不正に利用されるリスクが高いです。
実際に筆者も高齢者の方から、以下のような声を聞くことがありました。
また、デジタル庁は最短5日でマイナンバーカードの再発行が可能と発表していますが、手元にカードない時に病院受診をする場合の対応が明らかになっていません。
さらに、特定医療費などの公費による医療費の助成制度はマイナンバーとリンクしていません。
結局今までと同じように、マイナンバーカードと受給者証を受付で提示しなければならない点もデメリットと言えるでしょう。
マイナ保険証に切り替えなければならない理由
- 医療のDX化を進めるため
- 医療サービスの利便性を向上させるため
医療業界では数多くの事務作業や手続きなどによる医療従事者の業務負担の増加が問題となっていたため、マイナ保険証をベースとしたDX化を行い、業務負担の軽減・効率化を図ろうとしています。
また、マイナ保険証によるスムーズな医療機関との情報共有によって、適切な診療・薬の処方などの医療サービスにおける利便性をより向上することを図ろうとしています。
このような思惑から、国が音頭をとり、積極的なマイナ保険証への切り替えが進められています。
老人ホームでマイナ保険証を預かることができない4つの理由
今までは病院受診の際に健康保険証を提示しなければならないため、健康保険証を老人ホームに預けることが一般的でした。
しかし、入居する利用者がマイナ保険証に切り替えると、管理面のハードルが上がると同時にさまざまなリスクが発生した場合の責任が重くなります。
そのため、預かることを躊躇する老人ホームが多く、中にはマイナ保険証を預からない方針を打ち出した老人ホームも増えているのが現実です。
全国保険医団体連合会「保険証廃止に伴う高齢者施設等への影響調査」によると、国内にある1,219の高齢者施設から、マイナ保険証を管理できない理由について調査すると、主に4つの理由が挙げられました。
- マイナカード・暗証番号の紛失時の責任が重い 91.1%
- マイナカード・暗証番号の管理が困難 83.8%
- 不正利用、情報漏洩の懸念 73.5%
- 家族の同意が得られない 41.0%
このように、管理面に関する課題やトラブルへの懸念点だけではなく、利用者のご家族も同様にさまざまなトラブルやリスクを想定し、預けることへの同意が得られないケースもあります。
総務省は老人ホームなどの福祉施設や団体に向けて、「福祉施設・支援団体の方向け マイナンバーカード取得・管理マニュアル」をもとに対応するよう推奨していますが、まだまだ具体性に乏しい面が否めません。
今後も老人ホームにおけるマイナ保険証の管理・運用方法については議論されることとなるでしょう。
マイナ保険証は難しいが資格確認書なら預かる老人ホームがある
と気になる人もいるでしょう。
先ほども解説しましたが、さまざまな理由によってマイナ保険証を預かることを躊躇する老人ホームが多く、中には預からない方針を打ち出した老人ホームもあります。
しかし、資格確認書であれば預かることができるという老人ホームもあるため、資格確認書の概要や発行手続きについて知っておくことをおすすめします。
資格確認書とは
マイナ保険証は医療サービスの利便性を高めるツールとされていますが、さまざまな理由によってマイナンバーカードの発行やマイナ保険証の登録が難しい人も中にはいるでしょう。
こうした問題を抱えた人が、切れ目なく保険診療を受けることができるように作られた物が資格確認書です。
資格確認書を病院の窓口で提示すると、今までどおり保険診療を受けることができます。
2024年12月2日からマイナンバーカードを発行していない人・マイナ保険証の登録ができていない人などの条件に当てはまる人は、申請せずに資格確認書が発行されます。
資格確認書の有効期間
資格確認書の有効期間は健康保険の保険者が設定することとなっています。
そのため、保険者によっては有効期間が短くなる可能性があります。
資格確認書を発行するための申請方法
厚生労働省によると、当分の間、以下の条件に該当していれば申請不要で発行されることが決まっています。
- マイナンバーカードを発行していない人
- マイナ保険証の登録ができていない人
- マイナ保険証の登録を解除した人(登録解除の申請をした人も含まれる)
- マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れた人
- 後期高齢者医療制度に加入している人
そして、以下の条件に該当している場合、資格確認書を発行に申請が必要とされています。
- マイナンバーカードを紛失した人
- 高齢や障害によってマイナ保険証での病院受診が難しい人
また、資格確認書の申請は、法定代理人や介助者による代理申請ができるとされています。
まとめ
今回はマイナ保険証や資格確認書についてご紹介しました。
マイナ保険証は医療サービスをより便利にする効果的なツールですが、マイナンバーカードとの掛け合わせによって、情報漏洩や不正使用などのリスクが高いなどのデメリットがあります。
そのため、管理するには責任が重く、管理も難しいことからマイナ保険証を預かることに躊躇する老人ホームや預からない方針を打ち出す老人ホームが多いことが事実です。
国も福祉施設向けの管理マニュアルを推奨していますが、具体性に乏しく今後も老人ホームでのマイナ保険証の管理についての議論は続くと思われます。
しかし、マイナ保険証ではなく、資格確認書であれば預かることができる老人ホームもあるため、マイナ保険証へあえて切り替えないことも方法の一つと考えられます。
そのため、これから老人ホーム選びをされる人・すでにご家族を老人ホームに入れている人は、マイナ保険証や資格確認書の対応について確認することをおすすめします。