高齢者の倦怠感や無気力感はうつ病?認知症?なにが原因?初期症状や相談窓口を解説

高齢者の倦怠感や無気力感はうつ病?認知症?なにが原因?初期症状や相談窓口を解説
最近、あんなに食べることが好きだった母が食欲がないのよ。体がだるいって、家で寝てばかりいるの。

病院で検査してもらったんだけど、「どこも異常ありません」って。大丈夫かしら…

このようにお悩みではありませんか?

それはもしかしたら、うつ病のサインかもしれません。

この記事では、つぎのような内容について解説します。

  • 高齢者のうつ病の原因
  • 高齢のうつ病の初期症状
  • 高齢者うつ病と認知症の違い
  • うつ病の治療方法
  • 相談窓口
  • 高齢者うつ病の予防

高齢者のうつ病の特徴を知り、初期症状のうちに適切な治療を行いましょう。

まずは周りの人が、異変に気付いてあげることが大切です。

あなたの気付きとサポートが、高齢者の方を救うことに繋がるでしょう。

ぜひ、最後までお読みいただき、お役立てくださいね。

高齢者うつ病の原因について

うつ病とはどんな病気?

「憂うつな気分が続き、何に対しても興味が持てない」という心の不調のほか、不眠や発熱など体に症状が現れることもあります。

うつ病は、年齢に関係なく、誰もが発症する可能性のある病気のひとつです。

日本のうつ病患者は15人に1人と、決して珍しい病気ではありません。(引用:精神疾患を有する総患者数の推移平成29年厚生労働省データより

うつ病の原因3つ

うつ病の原因には、次のような3つの原因があるとされています。

  • ストレスによるもの
  • 脳の変化によるもの
  • なりやすい体質によるもの

ストレスによるもの

過労や対人関係のトラブル、離婚、大切な人との死別など。

大きなストレスを受けた時に発症します。

脳の変化によるもの

うつ病は、一般的に「心の病気」と思われていますが、実は脳の病気でもあります。

何らかのストレスにより、脳の働きのバランスが崩れることで発症されると考えられています。

脳がストレスを受けることで、脳の一部の神経細胞の形に変化が生じ、それによって感情や考え方にゆがみが起きるためではないかと指摘されています。

なりやすい体質によるもの

遺伝子レベルでの解明はされてはいませんが、親や兄弟にうつ病にかかったことがいるとかかりやすいということがわかっています。

そのため、うつ病になりやすい体質があるのではないかと考えられています。

高齢者のうつ病の原因

一般的に65歳以上の方が発症するうつ病を、高齢者のうつ病として定義されています。

同じうつ病でも、働き盛りの若者と、65歳以上の高齢者とでは原因に違いがあります。

高齢者のうつ病の原因には、おもに次のようなものがあげられます。

  • 健康への不安
  • 身近な人の死によるストレス
  • 経済的な不安
  • 薬の副作用によるもの

健康への不安

年齢を重ねるにつれて体力がなくなり、ちょっとつまずいただけで、転倒し骨折。

「若いときはこんなことはなかった」と悲しい気持ちになります。

おじいさん
おじいさん
若いときはこんなことはなかったよ

また、体調が悪くなると「悪い病気かもしれない…」など、漠然と健康への不安が高まることもあります。

身近な人の死によるストレス

長年連れ添った配偶者や大切な友人と死別する、あるいはペットロスなどで、孤独感が増してしまいます。

その寂しさや心理的なストレスからうつを発症することがあります。

経済的な不安

退職後は当然、年金で生活を賄っていかなければなりません。

最近は、物価も上がり、年金だけでは足りないわ…

貯金も減ってるし、大丈夫かしら?

おばあさん
おばあさん

多くの高齢者が将来への不安を抱えているのが現状です。

長生きする高齢者が増えた反面、医療費や、介護費用も増加傾向にあります。

「あと何年生きられるだろうか?年金だけで足りるだろうか?」と、経済的な不安も募ります。

高齢者のうつ病は、自身の「老い」を意識して拍車をかけてしまうことが、若い人との違いになります。

薬の副作用によるもの

高齢になると、高血圧などいくつもの既往症をかかえている方が増え、たくさんの薬を飲んでいます。

それらの副作用でうつ症状に悩まされている場合もあります。

個人差もありますので、素人判断は避け、専門医やかかりつけ医に相談しましょう。

高齢者うつ病の初期症状について

それでは、うつ病の初期にはどのような症状が現れるのでしょうか。

不眠、食欲の低下、発熱などの身体の不調、倦怠感、無気力感

まずは、体に何らかの不調のサインが現れます。

夜はいつまでも眠れなかったり、急に食欲がなくなったり、熱が出てしまうことさえあります。

たとえ熱が下がっても、何事にもやる気が出ず、無気力感や倦怠感で、家に引きこもってしまいます。

病院にいくと、まずは内科的な病気を疑い血液検査などを行いますが、「異常なし」と診断されることも。

次に疑うのが、精神的な病気です。

うつ病は、機械ではなく医師のていねいなカウンセリングによって診断されるのが特徴です。

高齢者のうつ病と間違われやすい認知症

うつ病と認知症との違い

高齢者のうつ病と間違われやすい病気の筆頭に認知症があげられます。

一見、見分けがつかないように感じますが、うつ病と認知症はどこが違うのでしょうか。

その違いについて解説します。

よしみくん
よしみくん
決定的な違いは、本人が自覚しているか否かです。うつ病は、物忘れがひどくなってしまうことに悩むのに対して、認知症は物忘れを否定する傾向にあります。

下記の表をご欄ください。

病気の種類 うつ病 認知症
初期の症状 不眠、食欲低下などの身体的な不調 記憶障害(自覚症状ほぼなし)
経 過 比較的急激 ゆるやか
日内変動 朝の不調が特徴 目立たない
症状の特徴 自責的、心気妄想、貧困妄想など 物盗られ妄想、侵入妄想など

うつ病になると、脳の集中力が低下し、もの忘れが目立つようになることがあります。

本人が、認知症になったのかと心配して、周囲の人に尋ねることがあります。

しかし、認知症の場合は、物忘れがひどくなったことすら覚えていないのです。

そのため、自分がしまった財布の場所を忘れたことを忘れ、誰かに盗られた、泥棒が入ったという発想になるのです。

また、認知症は何年もかけてゆるやかに進行するのに対して、うつ病は急激に進行します。

うつ病と認知症は、合併症になることもありますので、注意が必要です。

 

その他のうつ病に似た症状の病気

脳梗塞

脳の血管がつまって「脳梗塞」を発症すると、脳の動きが悪くなるためにうつ症状が出ることがあります。

脳梗塞は、急に発症し、言葉が出にくい、体の動きがおかしいなど特有の症状が現れます。

このような症状がないかチェックしましょう。

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンには、細胞の代謝を促す働きがあります。

しかし、甲状腺ホルモンが減ってしまうと、肉体疲労が回復せず、倦怠感を感じてしまいます。

この症状が、うつ病と非常に似ています。

うつ病の治療法について

うつ病の治療は、どのようなものがあるのでしょうか?

治療方法について解説します。

  • 休養
  • 薬物療法
  • 精神療法
  • 環境調整

まずは、休養すること

うつ病は、脳のエネルギーを使いすぎて、疲れきっている状態です。

疲れた脳は、しっかりと休ませてあげましょう。

場合によっては、症状は軽くても、入院してゆっくり静養することもひとつの手段です。

薬物療法

その人の体質に合った、抗うつ剤や睡眠薬などを服用して様子をみます。

高齢者の場合は、他の疾病との薬の相性もあるため、慎重にすすめられます。

精神療法

精神療法とは、医師がカウンセリングを通して、本人の気持ちに寄り添い、話を傾聴していく方法です。

レクリエーションの参加、ご家族の傾聴を通して改善を促します。

ご家族が、本人にかける言葉選びも重要になるので、医師にアドバイスを受けましょう。

薬物療法と併用して行われる場合もあります。

環境面の調整

孤独感の強い方は、関りわる時間を増やし、外出することで気分を変えるなどの取り組みをしていきます。

老人性うつは認知症とは違い、治る病気です。

精神科や心療内科で、適切な治療を受けましょう。

うつ病高齢者の具体例

施設で暮らす70代男性の方の話です。

職員さん
職員さん
奥様を病気で亡くした上に、当時は新型コロナが猛威を振るっていました。 配偶者をなくした悲しみとコロナの恐怖で、うつ病になり、外出できなくなってしまいました。

あっという間に身体機能も落ちて、オムツと車いす生活に…

まもなく、施設に入居されましたが、居室にこもりきりの生活が続いていました。

しかし1年経った今では、歩けるようになり、息子さん夫婦と外出が楽しめるまでに回復されました。

スタッフ、ご家族、薬物療法の連携のたまものと言えます。

周囲の人々のサポートが、いかに大切か実感した例です。

高齢者うつ病の相談窓口について

健康状態が気になるけれども、医療機関を受診すべきかどうか迷うことがあります。

そのような時は、市区町村の役場に問い合わせてみることをお勧めします。

公的な相談窓口を紹介してくれます。

・地域の保健所や保健センター…心の健康、保健、医療、福祉に関する相談窓口

・精神保健福祉センター…心の問題や病気で困っている家族からの相談を受け付けている

簡単な助言や、医療機関や相談機関の情報を提供してくれます。

高齢者のうつ病を予防するには?

高齢者のうつ病を予防するために心がけたいことがあります。

  • 他者との交流をする
  • 適度な運動をする
  • ストレスをためない
  • バランスの良い食事を摂る

他者と交流をする

定期的に趣味のサークルや集まりに出かけていきましょう。

デイケアやデイサービスなどに通うのもお勧めです。

積極的に人と関りを持つことで、意欲が持続し、活気のある生活が送れます。

 

適度な運動をする

今は、高齢者が気軽に通えるジムも増えました。

そのような所に通うのもいいのですが、運動が苦手な方は、近所を散歩したり買い物に出かけるなどして、適度な運動を心がけましょう。

晴れた日に日光を浴びながら庭木の手入れをするのもいいですね。

ストレスをため込まないようにする

自分が好きなことやリフレッシュできることを見つけて、とりくみましょう。

読書や手芸、カラオケ、お料理など…あなたの興味のあることはなんですか?

心配なことがあるときは、早めに誰かに相談し、ストレスをため込まないことが大切です。

バランスの良い食事を摂る

たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどバランスの良い食生活を心がけましょう。

自分で作るのが苦手な方は、栄養に配慮した宅配弁当などを利用するのもいいでしょう。

高齢者のうつ病についてまとめ

高齢者のうつ病についてさまざまな角度からみてきました。

わかったことは、次のような内容です。

  • 高齢者うつ病の原因は、健康不安、身近な人との死別、経済的不安がある。
  • 高齢者うつ病の初期症状は、倦怠感、無気力、不眠、食欲不振などがある。
  • 高齢者うつ病と認知症の違いは、自覚があるか、ないかである。
  • 相談窓口は、地域の保健所や精神保健センター内に設置されている。
  • 高齢者うつ病の予防は、他者との交流・適度な運動・ストレス回避・バランスの良い食事である。

高齢者のうつ病は、「歳とったせいかな?」と見逃されがちです。

そのため、治療が遅れ、重症化する傾向にあります。

周囲の人が「なんだかいつもと違う」というサインを見逃さないようにすることが最も重要です。

離れて暮らす家族には、こまめに連絡をするなど、普段から心配りをしましょう。

大切な家族を守るために、早期発見、早期治療はいうまでもありません。

介護施設選びは『地域介護相談センター 近所のよしみ』におまかせ!

CTA-IMAGE

老人ホームのことを色々調べても、施設を比較検討してみても、おひとりで決めるのは難しいことです。
私達がおすすめするのは施設探しのプロに相談することです。

『地域介護相談センター 近所のよしみ』であれば、福祉・介護の国家資格取得者が全ての案件を監修し、3年以上介護施設で働いていたスタッフが9割以上も在籍しているから、信頼と実績のおけるプロフェッショナル集団です。ベストな老人ホームを提案してくれます!

介護の基礎知識カテゴリの最新記事