“終活”と聞いて、皆さんはどのようなことを連想されるでしょうか。
「死ぬのための準備」や
「自分が死んでも家族に迷惑をかけないようにするため」
と少しネガティブに捉えてしまいがちではないでしょうか。
しかし、人間であれば死は必ずおとずれます。限りある時間の中で今をよりよく自分らしく生きていくために、元気なうちに終活をはじめてみてはいかがでしょうか?
重く考えなくても良いのです。
たとえば、
「自分の人生を振り返って整理をしておく」
「残された家族が大変にならないように準備しておく」
などを考えて、終活を少しでも出来る範囲でやってみようという気持ちで良いのです。重く考えて終活をしてしまうと、負担に感じてしまうかと思います。
「できる範囲でやってみよう」
この気持ちこそが、終活を気持ちよく余裕をもってはじめられる合言葉のようなものではないかと思います。
終活のスタートラインとは
終活のスタートラインは、まず「気持ち」です。
少しでもやってみようかなと思うことが大事になります。この気持ちができたなら、終活の入りやすさでは、やはり『エンディングノート』ではないでしょうか?みなさんも一度は耳にしたことがありませんか?
エンディングノートとは
エンディングノートは、「これを書かなきゃいけない!」と内容が決まっているものではありません。たとえば、自分の生きてきた軌跡を書き留めるのも良いでしょう。
ほかには、残される家族のために、死後の手続きが困らないよう迷惑をかけないように準備をするのも良いでしょう。
こうした、最後の時を迎えたときに、「何を残しておきたいか」などの“自分自身の情報”や“希望・想い”などの気持ちを家族に伝える手段の一つと考えていいでしょう。
ですから、自由に書いていいのです。何を書くかは、自分で決めることができます。エンディングノートと聞くと、ノートに書いて残すのかと思われるかたもいらっしゃるかと思いますが、
油絵が得意でしたら油絵を描いて残すのも良いでしょう。
写真やカメラで撮影をするのがお好きな方は、写真を貼ったりしても良いでしょう。
音楽が好きな人は、作曲や自作の歌を作ったりしてみても良いでしょう。
俳句が好きな人は、俳句で残すのも良いでしょう。
このように、エンディングノートにも多様な形があっても良いと私は思います。
きっと、残された家族のかたは、エンディングノートに個性があった方が
「あの人らしいわね」
などと言って、思わず笑顔になってしまうのではないでしょうか。
そうは言われても、もっと簡単にできないものか。。。
と、考えるかたも多いと思います。
そんなかたには、書店などで『エンディングノート』と題したノートが販売されていますから、そちらを購入すると良いでしょう。分厚いものから薄いものまでいろいろと売っています。
項目も決まっているので、項目に沿って書きやすい項目や書きたい項目だけを書いていけばいいのです。この方法であれば、エンディングノートも比較的に簡単に作成することができます。
もちろん、わざわざ書店で売られているエンディングノートを購入しないで、自宅にある普通のノートを使用しても良いですし、パソコンが使用できるかたは、ワード、エクセルなどを用いて作成する方法もあります。スマホが利用できるならば、メモ帳の機能を利用する方法も考えられますね。自分のやりやすい方法で作成することをおすすめします。
エンディングノートは遺言書ではない
エンディングノートは遺言書ではありません。
自筆証書遺言として利用できると思われているかたもたまにいらっしゃいますが、それは間違いです。遺言書とは全く違うものです。
遺言書はどちらかというと、自分の残した財産をどのように処理してもらうのかを準備し、書き留めておくものです。間違えないように注意をしましょう。
これでまずは、書き留めるための準備ができましたね。
エンディングノートに何を書くのか
よし書こう!
と決めて書きはじめようとしても、実際は何を書いたらいいか迷ってしまうかたは多いのではないでしょうか。
相続、資産整理、葬式、住まい・・・さまざまなことが思い浮かぶことでしょう。
そこで、この章では「こんなことを書いてみてはどうでしょうか」という項目をご紹介いたします。
ご自身の基本情報を記入しましょう。
【基本事項】
・氏名
・生年月日
・住所
・本籍地
・血液型
・家族構成
上記の情報でも良いですし、どこで生まれて子どもの頃はどんなことで遊んで、勉強は得意だった不得意だった。戦争を経験したときの思いを綴っても、孫の世代にとっては良い影響かと思います。
より簡単に書きやすい項目として、自分の好きな食べ物や趣味などを記載しても良いですね。
ほかにも、家族が困らないように準備として考えるのであれば、死亡届の提出の手続きなどの各種手続きでも必要になる場面がありますから、本籍などは記載しておくと家族は意外と助かると思います。
さらに、何歳から何歳はどこにいたというように、自分が住んでいた居住地を記しておくのも良いでしょう。これは非常に助かります。
遺言書の執行時や相続においては、必要な情報になることが多いので、家族はとても助かることでしょう。
【遺言書について】
・遺言の有無
・遺言書の種類(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)
・遺言書の保管場所
このように保管場所まで記載しておくと、家族が探す手間が省けて手続きがスムーズに行えます。とくに、公正証書遺言で執行人を決めておけば、手続きが楽になります。
先ほど記したように、エンディングノートは遺言書ではないので、法的効力はありません。残された家族が、相続で揉める要素があったりする場合は、財産の分けかたは遺言書で書き残すようにしましょう。残される家族がひとりしかいない場合などは、エンディングノートに残すことでも良いと思います。
【預貯金】
・金融機関名
・支店名
・預貯金の種類(普通預金など)
・口座番号
・口座名義
・口座の種類
・連絡先
・通帳または印鑑の保管場所
どのような金融機関を利用していたかまとめておきましょう。気を付けることとしては、暗証番号も記載してしまうのは大変危険です。決して記載しないようにしましょう。仮に、泥棒が入ってしまい、エンディングノートを盗み見られた場合は、現金を下ろされてしまったりと悪用されてしまう場合があります。遺言書の執行や相続時でも、暗証番号がなくても相続はできますから安心してください。
【不動産、証券】
・不動産の種類(土地、戸建て、アパート、マンション、田畑、山林など)
・不動産の用途(自宅、別荘、事務所、投資など)
・不動産の住所(登記上の住所、異なる場合は実際の住所)
・不動産の名義
・証券所有の証券会社名
・証券会社の担当者名、連絡先
・保険会社名、担当者、連絡先
賃貸などを利用している場合は、解約手続きや火災保険の解約などが発生するため、どこに連絡したらいいのかを記載しておくと良いでしょう。遺言書の執行には、不動産の情報は司法書士などであれば簡単に入手できますから、そこまで記載をしなくても良いと思いますが、別荘などのたくさんの不動産をお持ちの場合は、所有している不動産の数やどこの地域に不動産を所有しているのか記載しておくと良いでしょう。
また、株式や投資信託など金融商品がある場合は、証券会社名・担当者名・電話番号を記載しておくと、家族はとても助かります。
【クレジットカード】
・引き落とし先に指定している銀行口座名
・発行元のカード会社
・使用用途(公共料金、携帯電話、ショッピングなど)
・年会費の有無
・使用頻度(月に1回、半年に1回など)
カードも解約手続きを行わなくてはなりません。何に利用しているか把握しておかないと、どんどん請求がかかってしまいますので、記載しておくとムダなお金を支払わずに済みます。
【パソコン・携帯電話】
・番号
・契約会社
・各種ID、パスワード
解約の手続きに必要な情報となってきます。
【医療について】
・持病、けが(病名と病歴、入院歴など)
・かかりつけの病院名や担当医師
・常用薬(種類、用量・用法)
・アレルギー(食品名など)
・人工呼吸や胃ろうなど、延命治療を希望するか
・臓器提供や献体登録があるか
これらは急に倒れて自分で意思を伝えられなくなってしまった場合にとても重要です。
とくに、延命治療をするかしないかの判断を家族がおこなうのですから、その判断を決断するのも迷うことでしょう。ただ、記載がしてありどこにエンディングノートがあるか知っていれば、家族の判断は早く、心的な負担も小さくて済むかもしれません。ご自身の希望を伝えておくことが家族を助けることになります。
ほかにも、
【介護や施設について】
・自分が認知症になったときの対応
・希望する介護施設(希望の条件など)
【葬儀について】
・葬儀の規模(一般葬、家族葬など)
・遺影の有無、保管場所
・墓石の購入有無
【連絡してほしい友人や勤務先】
・氏名
・会社名
・連絡先
このように、書ける項目はたくさんあります。
その中から、自分が書きたい項目や、簡単に書けそうな項目などを取捨選択して記載してみましょう。
さいごに
“終活”や“エンディングノート”と聞くと、死を連想させるネガティブなイメージがあったかもしれません。ですが、家族のためにも、最後まで自分らしく生きるためにとても大切な行動ではないかと思います。
このような項目を1冊のノートにまとめておくと、家族にとっては、「もしも」の時に役立つ“お役立ちノート”にもなり得ます。
新型コロナウィルスが猛威をふるっている現代でもありますから、いつ天災に見舞われるかもわかりません。人生はいつ、どのようなことが身に起こるかわかりません。
エンディングノートがあるのとないのとでは、残された家族の負担も違います。
残される大切な家族のためにも、ぜひ、みなさんもより良く生きていくためのエンディングノートを作ってはいかがでしょうか?
さいごまでお読みいただきありがとうございます。この記事がお役にたちましたら幸いです。