20施設以上の有料老人ホームを断られた入居者の支援方法

20施設以上の有料老人ホームを断られた入居者の支援方法

40施設以上の有料老人ホームを断られた入居者の支援方法

有料老人ホームを探す際、できるだけ早く希望にあった施設が見つかれば良いと思いませんか?

しかし、どんなかたもすぐに入居が決まるとは限りません。

今回は20施設以上の有料老人ホームを断られたA様の体験談をご紹介いたします。

どこの施設も受け入れ拒否。どうしたら良い?!

埼玉県のとある病院の相談員より電話がありました。
「どこの施設も受け入れてくれません。どこか入居できる施設を探してもらえませんか?」
と相談のあったご対象者のかたはA様。どういうことなのかな?と思い、私は話を聞きました。

A様は入院直前、急に自宅で動けなくなりました。たまたまご家族が様子を見に来ていたこともあり、ご家族が救急車を呼び救急搬送されました。病院から言われた原因は、『脱水』と『一過性脳虚血性発生』の疑いということでした。
病院で治療を行い、病状は安定され、リハビリを開始し、これで元気になるとご家族が思っていた矢先に、誤嚥性肺炎を併発されました。

誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液などが誤って気道内に入ってしまうことから発症する、肺炎のことを指します。誤嚥性肺炎の発症には、飲み込みに関係する機能が低下している(嚥下機能障害)ことが背景にあります。
誤嚥性肺炎は、日本人の死亡原因で高い割合を占めているのをご存じでしょうか。

厚生労働省の令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況における『統計表 第6表 性別にみた死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合』のデータによると、男女ともに第6位の死因と報告されています。A様も嚥下機能障害の悪化に伴い、ご家族と医師との話し合いの結果、胃ろうを造設されました。

胃ろうとはどんなもの?

胃ろうとは、なかに開けた穴にチューブを通し、直接、胃に食べ物を流し込む方法で食事を摂取する方法のことを言います。取り付けられた器具を『胃ろうカテーテル』と呼び、内視鏡を使用して胃ろうを造る処置のことをPEG(ペグ)と呼びます。

胃ろうからの栄養摂取のメリットは、必要なカロリーとバランスの取れた栄養摂取が可能となり、感染や誤嚥性肺炎などの合併症を少なくできる効果が期待できることです。

デメリットとしては、PEG(ペグ)が必須になるため、処置による身体的な負担はあります。PEG(ペグ)に伴い発症する可能性があるものとしては、感染症、出血、誤穿刺(肝臓損傷や腸管穿孔)、周囲壊死や皮膚潰瘍などがあります。

A様は胃ろうの増設に伴い栄養摂取できるようになり、体力が少しずつ戻りました。最終的には、経口摂取(口から食事を摂取すること)ができるまでに回復され、胃ろうも利用する必要がなくなりました。A様もご家族も経口摂取を望まれていたので大変喜んでいました。

経口摂取が可能に。しかしここで問題が・・・

経口摂取は可能となりましたが、座位での経口摂取が困難であり、ベッド上で側臥位(そくがい)でないと安定した経口摂取ができない状態だったのです。

側臥位(そくがい)とは、身体ごと横向きにして寝ている状態のことをいいます。体の右側を下にして、横向きにして寝ている状態のことを右側臥位といいます。体の左側を下にして、横向きにして寝ている状態のことを左側臥位といいます。

実際の体の状態としては、体のバランスを保つために、体をくの字の状態にします。これに対し病院側は完全側臥位法(かんぜんそくがいほう)でA様に食事を経口摂取できるように工夫をされておりました。

完全側臥位法とは、地球上の重力を利用して、下咽頭(かいんとう)の側壁(そくへき)、簡単にいうと、食道の入り口で、食べ物を咀嚼したり唾液と混ぜながら食べ物の塊をつくり、体の側面を下にした姿勢で経口摂取する方法です。この方法は難しいですよね。

もっと簡単に言うと、ベッド上でフラットのまま側臥位で食事をすることです。
私も10年以上介護現場で働いておりましたが、通常であればベッドを30度程度、背部の角度を調整して天井の方向へ上げてから、体を多少起こした状態にしてから食事を摂取できるように支援することがほとんどでした。この完全側臥位法(かんぜんそくがいほう)は初めて知りました。そうなんです。あまり知られていない方法なのです。

ですから、いざ有料老人ホームを探しても、ほとんどの施設で「完全側臥位法?知らないです。実施したことがないです。」との返答ばかりで施設が話すら聞いてくれないのです。施設側も命を預かる仕事ですから、施設側も“リスクを犯したくない”という気持ちで知識や経験がないことはやらない場合が多いです。

また、完全側臥位法(かんぜんそくがいほう)では食事の介助の時間がかかります。施設側は人手不足の施設が多いので“一人の食事介助にそこまで時間を要したくない”という気持ちも本音としてはあるのです。
よって、病院の相談員も20施設以上の有料老人ホームに電話をしたが、ことごとく断られてしまったそうです。私は、話を最後まで聞いてやっと、相談員が有料老人ホームを探し出せない理由が理解できました。

「口から食事がしたい!」私たちがとった行動とは

胃ろうに戻せば栄養は摂取できます。施設側も断る施設は少ないでしょう。ですが、A様とご家族は「口から食べ物を食べて食事をしたい!」「経口摂取をさせてあげたい」というとても強い希望がありました。しかし、病院の相談員も頑張りましたが対応できなかった案件でした。

私もA様やご家族の強い希望ということで、この希望を叶えてあげたいと思い、施設を探すことにしました。
私自身も、可能であれば、口から食事をしたいです。胃ろうにしたくてしている人は少ないですよね。

私はすぐに、片っ端から有料老人ホームに電話をかけて、入居できないか確認をした、、、のではありません。
介護現場では管理者も経験していたので、介護経験もそれなりに長い私が知らない食事をする支援方法でした。

まずは、完全側臥位法(かんぜんそくがいほう)のメリットデメリットや、実際にどういう支援方法なのか、危険はないのかを調べました。調べることで、有料老人ホームに電話した時に、安全性を話せるように準備をし、どのように話をすれば施設側も理解してもらえるかを検討しました。

病院にも協力してもらい、言語聴覚士(聴覚や言語機能の障害のある人に対して、検査やリハビリテーションを繰り返しました。口から食事が食べられるように機能回復をうながしたり、いつまでも長く話せるように機能の維持向上を図っていくことなどを目的に、助言、指導その他の援助を行う者)に資料をいただき、実際にA様の食事介助時に立ち会わせてもらい介助方法や注意点等を学ばせていただきました。

このように、実際に病院に足を運び、ご本人の状態を確認してから有料老人ホームを探す紹介会社はいままでいないと病院の相談員からお褒めの言葉をいただきましたが、私たち近所のよしみ』からすると当たり前のことです。なぜなら、そこに命がかかわっているからです。

入居時の面談。どう乗り切るか

こうした準備を整えてから、私は有料老人ホームに電話をし、入居できるか調整の電話をかけました。
件数でいうと、20件ほどの有料老人ホームに電話をかけました。
もちろん、ほとんど断られました。しかし、準備した甲斐もあって、3施設がご本人の状態と完全側臥位法(かんぜんそくがいほう)での食事の支援方法を実際に確認して、安全に受け入れができるのを確認できれば、入居を検討するという施設が見つかりました。

A様とご家族と病院の相談員、病院の言語聴覚士のみんなで喜びました。私も心の中で「よしっ!」と声を上げました。

そして、ここからが一番重要です。施設に入居される前には必ず面談があります。

面談とは、施設の職員(施設長・看護師・ケアマネージャー等)が実際にA様(入居希望のある方)と面談し、身体の状況を確認して、施設で受け入れができるのかを最終判断する場のことをいいます。

この面談日前には、ご家族、相談員、言語聴覚士と念入りな打ち合わせをしました。そうして準備をしっかりと整えてから手順を経て、面談日を迎えました。

面談日の当日は、一番緊張されていたのはご家族でした。「どうせまた断られる・・・」と半分は諦めていたのが事実です。
ご家族には進捗は私からも伝えており、そもそも病院の相談員が探して20件ほど断られており、私が電話で探している状態でも約20件以上の施設から断られていることを知っているのですから、そのように思ってしまうのは致し方ないことです。
ですが、病院も一丸になって、支援をした甲斐もあり、
無事に入居することが確定したのです。

この時もみなさんが喜んだことは言うまでもないのですが、ご家族さまがとても喜ばれており、安堵の表情を浮かべて、感謝の言葉を私に伝えてくださり、私も頑張りが報われた気がしました。

近所のよしみ』は「困った」「不安だ」を解決することを目的とした会社です。まさに、今回は目的を果たすことができたと心の底から思えました。その後、みなさんで喜びを分かち合ったのち、私の仕事が役に立つとあらためて感じました。

今のご時世、インターネットでいくらでも施設を探すことはできます。しかし、それはあくまでも施設の金額や住所、簡単な情報を得るだけです。情報もどこまでが本当の情報で、どこまでが嘘の情報かわかりません。一生を左右する有料老人ホームを決めるのに、インターネットの情報だけを頼りに施設を選ぶのは危険だと私は思います。

入居するご本人やご家族の思いを叶えてくれるような施設を探すためには、多くの知識と多くの情報が必要となります。近所のよしみでは、『多くの知識』と『多くの情報』を持っています。

有料老人ホームは安い施設ではありません。ですからどうか、ご本人とご家族が納得のいく施設を探してください。

ひとりで探すのが大変なかたや、いま利用している紹介会社の対応に疑問をお持ちでしたら、私たち『近所のよしみ』が力になります。みなさんの力添えをするのが私の仕事です。

何からはじめればいいかわからない方もたくさんいらっしゃいます。まずは、何も考えなくていいのでお気軽にご相談ください。みなさんと協力して良い施設を見つけられたら幸いです。

※この記事・作品(漫画・物語)は相談者のプライバシーに考慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください。尚、登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

介護施設選びは『地域介護相談センター 近所のよしみ』におまかせ!

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