適応障害とは?認知症?うつ病?高齢者の倦怠感や無気力感はなにが原因?初期症状や相談窓口を解説

適応障害とは?認知症?うつ病?高齢者の倦怠感や無気力感はなにが原因?初期症状や相談窓口を解説

適応障害という病気をご存知ですか?

環境の変化やストレスにうまく適応できないことで発症する、心の病気の一つです。

「仕事や人間関係の変化によって引き起こされる、若い人の病気」というイメージが強いかもしれませんが、実はご高齢の方も注意が必要です

本記事では、適応障害の初期症状や認知症・うつ病との違い、相談窓口などを詳しく解説します。

気になる症状があれば、まずはお近くの相談窓口に相談してみましょう。

適応障害とは?

適応障害とは、環境の変化やストレスにうまく適応できず、心や体にさまざまな症状があらわれている状態です。

ストレスの原因や発症の要因は人によって異なりますが、具体例として以下のようなものがあります。

  • 結婚や離婚、引っ越しによる生活環境の変化
  • 就職や転職による人間関係の変化
  • 昇進や仕事量増加による精神的負担
  • 定年退職
  • 子どもの独立
  • 家族や友人との死別

高齢者の場合、脳の老化によって、ストレスへの耐性が弱まっている可能性があります。

引っ越しや介護施設への入所、家族との死別など、生活が大きく変化するときは特に注意が必要です。

適応障害の主な症状

症状は主に精神的症状身体的症状の2種類に分けられ、ストレス要因から離れると症状が改善するという特徴があります。

ただし、適応障害は心の病気であり、症状のあらわれ方や感じ方は人それぞれです。

初期症状

適応障害では、理由がはっきりしない不安や緊張感におそわれることがあります。

その影響で集中力が低下したり、些細なことで怒りやすくなったりすることも。

また、心の不調が原因で、ぐっすり眠れない食欲が落ちるなどの身体的症状が引き起こされることもあります。

精神的な症状

適応障害の精神的症状には、以下のようなものがあります。

  • 抑うつ状態
  • 不安
  • 焦り
  • イライラしやすい
  • 集中力の低下

抑うつとは、気分が落ち込み、やる気や喜びを感じづらい状態です。

適応障害を発症すると、日々の活動に対する興味や関心が薄れ、無気力感が強まります

また、はっきりとした理由もなく、将来に対する不安や焦りを感じることも。

これらはうつ病の症状とよく似ているため、適応障害かどうかを判断するには専門の医師による診察が必要です。

職員さん
職員さん
まれに、同居しているご家族ですら、このような症状に気づけない場合もあります。原因は、家族間でのコミュニケーション不足です。ご家族の体調の変化にいち早く気付くためには、日頃のコミュニケーションが重要です。1日のうち数分でも、顔を合わせて会話する時間をつくりましょう。別居中や遠方に住んでいる場合は、チャットやビデオ通話などのコミュニケーションツールでも十分です。

身体的な症状

高齢者の場合は特に、持病による症状と混同されやすいため、注意が必要です

  • 睡眠障害:寝つきが悪い・夜中に何度も目が覚める・早朝に目が覚めるなど
  • 食欲の低下
  • だるい・疲れがとれない
  • 頭痛
  • 動悸
  • 息切れ・息苦しさ
  • 胃のむかつき
  • 腹痛
職員さん
職員さん
わたしは以前、職場の人間関係が原因で適応障害を発症したことがあります。休日は楽しく笑顔で過ごしていても、寝る前に仕事のことを考えると、動悸や息苦しさを感じました。このように、ストレス源について考えている時だけ症状があらわれるのは、適応障害の症状の特徴の一つです。

身体的な症状だけでなく、精神的な症状もみられている場合は、心の病気が原因である可能性があります

認知症やうつ病との違いは?

適応障害と認知症、うつ病の症状はよく似ていますが、発症の原因や症状のあらわれ方にはそれぞれ違いがあります。

適応障害の特徴

適応障害の場合は、ストレスの原因がはっきりしています

そのため、ストレス源から離れると症状が改善するという特徴があります。

認知症の特徴

認知症とは、脳の器質的な変化によって記憶力や判断力が低下する、進行性の病気です。

ストレスの有無に関わらず、症状が持続し、時間の経過とともに症状が悪化します。

適応障害では本人も症状を自覚していますが、認知症は記憶障害が顕著で、本人は忘れていること自体に気づいていないことが多いようです。

職員さん
職員さん
症状の例として「昨日の夕食のメニューが思い出せない」のではなく「食事をとったこと自体を忘れてしまう」などがあります。上記のような極端な物忘れエピソードが増えている場合は、適応障害ではなく認知症が疑われます。

うつ病の特徴

適応障害はストレスの原因が明らかなのに対し、うつ病は、明らかな原因やきっかけがないことが多いのが特徴です。

そのため、ストレス源から離れても抑うつ状態が続きます。

適応障害・認知症・うつ病のいずれも、精神科心療内科で診察を受けることができます。気になる症状があれば、まずは精神科か心療内科の医師に相談してみるのがよいでしょう。

適応障害の治療法

適応障害の治療は、オーダーメイド方式です

その人の置かれている状況や症状の程度に応じて、以下の治療法を組み合わせて行います。

ストレスの原因から離れる

適応障害の治療の基本は、心身の休息です。まずはストレスの原因から離れて、心と体を休めることを目指します。

職場の人間関係が症状の引き金になっているのであれば、思い切って休職・転職してみましょう。

高齢者の方が、生活環境や人間関係の変化を原因に発症した場合には、ご家族の協力が欠かせません

ご家族の方と一緒に過ごす機会や時間を増やす、といった工夫が必要になるでしょう。

心理療法(カウンセリング)

臨床心理士やカウンセラーによるカウンセリングのなかで、ストレスへの対処法獲得や、考え方の改善を目指します。

カウンセラーとの相性も重要です。

もし気になることがあれば、担当の医師やほかのスタッフに相談し、別のカウンセラーを紹介してもらいましょう。

薬物療法

睡眠障害の改善や胃腸症状を軽減するために、薬物療法を併用することがあります。

ただし、薬物療法はあくまで対症療法であり、補助的な役割です。

適応障害を治すには、環境を調整し、自分なりのストレス対処法を身につけることが重要です。

高齢者の適応障害に関する相談窓口

適応障害のような症状がみられている、もしくはすでに診断を受けている場合、以下の窓口で相談することができます。

患者さん本人だけでなく、ご家族の方が相談することも可能です

職員さん
職員さん
外出や、対面での会話が難しい場合は、オンラインによる診察・カウンセリングサービスがおすすめです。夜間・休日も対応可能な窓口もあるため、ご自身のライフスタイルに合った相談窓口を探してみましょう。

精神科・心療内科

病院やクリニックなどの医療機関では、適応障害の診断や治療を受けることができます。

なかには、オンラインで診察を受けたあと、郵送で書類や処方箋を受け取れるサービスもあります。

近くに専門の病院・クリニックがない場合や、身体的・精神的理由で移動が難しい方におすすめです。

精神保健福祉センター

各都道府県に設置されている機関です。

適応障害に限らず、メンタルヘルスに関するさまざまな相談を受け付けています。

「病院に行くほどではないけど…」「適応障害かどうかわからないけれど…」と悩んでいる方は、まずはお住まいの地域のセンターに相談してみましょう。

オンラインカウンセリングサービス

臨床心理士や公認心理士などの有資格者に、オンラインで相談できるサービスです。

自宅で手軽にカウンセリングを受けられるため、近くに専門施設がない方や、移動が難しいご高齢の方におすすめのサービスです。

ただし、診断や書類の発行、お薬の処方は受けられません。お薬による治療をご希望の方は、まず医療機関を受診しましょう。

職員さん
職員さん
わたしが適応障害を発症したときは「対面では緊張して、うまく話せないかもしれない。」と思い、オンラインで診察とカウンセリングを受けました。適応障害の症状で気持ちが不安定ななか、専門の施設まで足を運ぶのはなかなか難しいかもしれません。オンラインサービスなら移動の手間や待ち時間もなく、自宅でリラックスした状態で診察やカウンセリングを受けられます。特にご高齢の方では「周囲の目が気になるから、精神科には行きたくない。」と考えることが多いようです。その場合は、オンラインサービスの利用をぜひ検討してみてくださいね。

まとめ

適応障害とは、環境の変化やストレスにうまく適応できず、心や体に不調があらわれている状態です。

主な症状には、精神的症状(不安や気分の落ち込み、イライラなど)や身体的症状(ぐっすり眠れない、食欲の低下、動悸など)があります。

ストレス要因から離れると症状が軽減・改善するという特徴があるため、心当たりのある方は早めに病院を受診しましょう。

特に高齢者では、認知症やうつ病、持病の症状と混同されやすいため注意が必要です。

医療機関や精神保健福祉センター、カウンセリングサービスなどの相談窓口では、患者さまご本人だけでなく、ご家族の方からの相談も受け付けています。

気になることや悩んでいることがあれば、まずは相談窓口で相談してみましょう。

専門機関までの移動が難しい方には、自宅で診察やカウンセリングを受けられるオンラインサービスがおすすめです。

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