認知症の高齢者がなぜ入浴を嫌がるのか?原因と対処方法をご紹介!

認知症の高齢者がなぜ入浴を嫌がるのか?原因と対処方法をご紹介!

ご自宅で介護をされているご家族で悩ましい問題が、いくつもある中「入浴拒否」が多いのではないでしょうか。

認知症の高齢者は、特に「お風呂」の「お」を聞いただけで、嫌がる方もいらっしゃいます。

介護現場で働く介護士も、この入浴拒否は常に頭を抱えていることです。

ここでは、高齢者が入浴をしないことで生じてしまう健康リスクや、入浴拒否の原因や対応について解説していきます。

高齢者はなぜ入浴を拒否するのか?

高齢者が入浴を拒否する原因は、老化にともなう認知力の低下や筋力の低下が影響しています。

では、入浴を拒否する原因と理由を6つ紹介します。

入浴が必要だと感じていない

認知力が低下していると、最後に入浴したのがいつなのか覚えておらず、あまり時間が経っていないような気がして、まだ入浴しなくても大丈夫と感じてしまいます。

また、判断力や思考力が低下しているため、体の汚れや体臭を認識できず、入浴の必要性を感じられませんので、説得をしても反感を買ってしまうだけで、なおさら拒まれてしまうことになります。

ですので、始めから入浴と言わず、何かのついでということを伝えるとスムーズに誘導すると良いですよ。

例えば、「塗り薬があるので塗りにいきましょう」「足の爪が伸びているから切りましょう」などの声かけをすることで、浴室までの誘導がスムーズになります。

他にも、認知症が進行していると「お風呂」の意味を理解できないことがあります。

その場合は「疲れをとるためにお湯に浸かりませんか」「汗を流してすっきりしましょう」などと、入浴の気持ち良さをイメージしてもらえる声かけがおすすめです。

入浴が面倒くさい

「入浴は入るまでが面倒」とおっしゃる方は多いのではないでしょうか。

本当は入りたいけど、移動や脱衣と入浴の一連の流れが面倒くさいからと、拒否をしている場合もあります。

入浴は、さまざまな手順が組み合わさっていますので、体力が低下している高齢者にとって一つ一つが大変な作業で、認知症の人にとってはとても複雑な行為と捉えてしまいます。

認知症の症状の一つに、行動を起こすときの踏ん切りがつかないことも原因です。

また、記憶障害や実行機能障害により、自分で考えながら手順をこなしていくことは、とても難しいため、入浴は気持ちが良い行為と分かっていますが、煩わしいと思って拒みやすくなります。

無理に入浴してもらおうとせず、まずは月1回の清拭から始めてみてはいかがでしょう。

裸になることに抵抗がある

介護施設や病院は、職員が入浴の際に付き添うことが多いため、入浴介助が必要な人にとっては、「身体を見られるのが恥ずかしい」「服を脱ぐことで無防備になることが怖い」など、人前で服を脱いだり、他人に裸を見られることに抵抗がり、入浴を拒否することもあります。

入浴に対して負のイメージがある

「下着を脱いだ際に失禁の汚れを見られた」「洗い方に口を出された」「無理やりお風呂に誘導された」などの経験があると、介助側はそんなつもりがなくても、羞恥心や不満が刻み込まれ、入浴自体に負のイメージを植えつけてしまうことになります。

入浴に対して負のイメージを植え付けないためには、本人の自尊心を傷つけないようにすることです。

他にも、洗い残しがあったり、どこか洗い忘れがあるとつい指摘してしまい、本人は嫌でも介護者にとっては手伝いたくなりますが、特に不衛生でなければ、なるべく声をかけず見守り、数回に1回介助にしてみましょう。

入浴介助の必要性が分からない

高齢者の中には、入浴介助を拒むこともあります。

認知症の場合は、自分ができないという認識をしておらず、入浴でも介助の必要性があっても拒む方もいます。

入浴中になぜ関わってくるのか、いろいろ指示を出してくるのかと怒りを感じ、うかつに手を貸すと暴言や暴力につながってしまいますので、まずは、自立して入浴ができる環境を作りましょう。

脱衣所や浴室、浴槽をご自身にとって安全に使いやすいように整え、なるべく最小限の介護で入浴ができるようにします。

他にも転倒のリスクを避けるためにも、床や浴槽内の滑りにくいマットを敷いたり、浴槽をまたぐときに掴まれる手すりを設置したりと、安全な入浴手段について、福祉用具の専門家や介護・リハビリ職のアドバイスを受けることもおすすめです。

浴室へ一緒に入らず脱衣所で見守る場合もありますので、その際はそっと浴室の外から伺い、介助の必要な時に一言「背中流させてください」などの声かけをすると、スムーズに介助に入れます。

声かけにも気を付けることがあり、「大丈夫ですか?」「ちゃんと洗えてる?」などの声かけは自尊心を傷つけますので、注意しましょう。

入浴のペースが合わない

温泉や銭湯に行くと、髪から洗う人、体から洗う人、先に湯船に浸かる人とさまざまな入り方があります。

また、湯船に浸かっている時間やお湯の温度など、個人差や好み、決まったルーティンがあり、長年続けた自分の入り方と施設や家族で決められた入り方が違います。

上記にあげた項目以外にも、デイサービスに行かれている方が拒否をする主な理由は、「男性スタッフの介助を拒否する」「大勢の入るお湯には入りたくない」と言った理由もあります。

その場合は、「看護師さんに見てもらいましょう」といった、医療的な処置を主軸にした声かけをすると、受け入れやすくなることもあります。

高齢者の皮膚は、痒みやトラブルが多いので普段肌を気にしない方も、看護師さんに見てもらえるという安心感が得られ、入浴に対して拒むことはありません。

入浴拒否への対応策とは?

一度の声かけで拒否されてしまうと、介護する側は、次はどう対応すればいいのか悩みますよね。

本人のためだと思い、ついやらなければいけないという思いが強く出てしまい、無理強いして介護を行ってしまうことも少なくありません。

ここでは、拒否されずスムーズに誘導できる、対応策をご紹介します。

本人の気持ちを優先

お風呂そのものに対して不安がある方や、入浴を嫌がられる方もいるので、本人の意思を尊重し、安心して入浴できるよう環境を整えることが大切です。

介助をする際、人前で裸になることを嫌がる人には、同性の方が入るようにしたり、脱衣所と浴室の移動時は体にバスタオルを巻くなど、羞恥心にも配慮をすることも必要です。

他にも、介護する側が怒ったり、無理強いさせたりすると、認知症の方は特に頑なに拒否してしまうこともあります。

相手に介護が必要であることをまず伝え、納得してもらうように話しを切り出すと良いでしょう。

タイミングを変えて再び声かけする

一度拒否されたら、時間を空けてから再度違った声掛けをすることで、受け入れてくれる場合もあります。

認知症の方は、特に気分にムラがあったり、体調が悪いと拒否する場合もあるため、強引に介護を進めると、拒否の感情が強まり逆効果になることがあるので、声掛けする際はタイミングをみましょう。

介護する前に何を行うか伝える

何も言わずにいきなり介助し始めると、相手が戸惑い抵抗することがあります。

入浴介助以外でも、介助する時はまず何をするか、言葉が足りているか再確認することを意識しましょう。

また、対応の仕方や声掛けは相手の状態によって変えることも必要です。

認知症の方は、記憶障害によって声掛けしてもしばらくすると忘れてしまう場合がありますので、何回かに分けて声掛けをすると良いですよ。

入浴の伝え方を工夫する

認知症の症状がある方は、普段の生活の中で当たり前にできていたことができなくなり、お風呂自体も認知機能障害によって認識も難しく、不安を感じ拒否されることもあります。

認知症の方には、「脱衣所へ行く」、「服を脱ぐ」、「身体を洗う」など、一連の入浴手順を一気に伝えるのではなく、流れを短く区切って丁寧に伝えると、本人もわかりやすいです。

入浴を気持ちが良かったと感じてもらう

入浴を嫌がっていた人も入浴したことで、「気持ち良かった」と感じてもらえると、だんだんと入浴頻度が増えます。

入浴は体の清潔を保つだけでなく、リラックス効果もあり、夜眠れない方もぐっすり眠れるようになります。

温かいタオルや足浴から始める

高齢者によっては、服を脱いで入浴すること自体を面倒くさいと思っていて、入浴を拒否している可能性があります。

その時の対応として、温かいタオルで顔や手足などを優しく拭いてあげることから始めてみましょう。

温かいタオルで身体を拭くことに慣れてきたら、足を温める足浴を促すなど、本人が気持ちいいと感じてもらうことが大切です。

拒否をされても叱ってはいけない

家族でも何度も拒否されてしまうと、イライラしてしまい、「なんでお風呂に入らないの!」と強く叱ってしまうことは少なくありません。

声掛けが強い口調になってしまうと、被介護者は怖いと恐れてしまい、ますます拒否してしまいます。

介護は、焦らずゆっくりすることで、本人のペースや意思を尊重し、気持ちに寄り添うことで、声掛けの仕方も変わりお互い穏やかな気持ちになれます。

拒否をされ続けイライラしながら、被介護者と接してしまう場合は、相手と接する時間を空け、気持ちを落ち着かせましょう。

自宅で入浴できない場合はどうすればいい?

本人の拒否が強く、どうしても自宅での入浴が難しい場合は、介護保険サービスを活用しましょう。

在宅介護サービスの中では、デイサービスや訪問入浴があります。

介護スタッフは、いろんな方の対応をしているため、拒否があってもスムーズに入浴することが可能です。

初めは、家族以外の人に介助されることに強い抵抗がありますが、徐々に顔なじみになり、入浴介助に慣れてきますので、どのように声かけをすれば拒否されないのか、介護スタッフに相談するのもおすすめです。

まとめ

いかがでしたか?自宅介護で頭を抱える、入浴拒否についての原因と対処方法をご紹介しました。

介護する家族からしたら、「お風呂に入るのになんで嫌がるの!」とイライラしていましたが、高齢者の方や認知症の方がなぜ、入浴を嫌がるのか原因が分かれば、どう拒否されず入ってくれるのかが分かってきます。

それでも、強く拒まれてしまった場合は、介護保険サービスをうまく活用し、介護から離れ気分転換すると、声掛けの仕方も変わります。

入浴はとても気持ちの良いものと、意識を持ってもらえることがとても大切です。

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