財産や不動産が勝手に売られる!成年後見制度のトラブルと対策を終活アドバイザーが解説

財産や不動産が勝手に売られる!成年後見制度のトラブルと対策を終活アドバイザーが解説

超高齢化が進む現代、成年後見制度を利用している人も増加傾向にあります。

もしかすると、あなたは今まさに、成年後見制度を利用しようとしているかもしれません。しかし、何に対しても、メリットとデメリットがあります。

しかしちょっと待ってください!

成年後見制度を利用したら、財産や不動産が勝手に後見人に売られていたというケースがあります。

近年増加している成年後見制度のトラブル。認知症や障害により判断能力が低下した人の財産を守るはずの制度が、逆に本人の意思に反して財産が処分されるという相談も後を絶ちません。

この記事では

  • そもそも成年後見人って何?
  • 成年後見制度のメリット、デメリットは?
  • 注意するべきポイントは?
  • どんなトラブルがあるの?
  • 成年後見制度トラブルの対策は?

このような疑問を現役介護士で終活アドバイザーのわたしが解説します。

特に最後で解説しているエンディングノートについての予防法はぜひ読んでいただきたい内容です。

成年後見制度とはどういった制度?

成年後見制度とは、十分な判断能力のない人のための法的な制度です。

例えば、認知症になり、十分な判断能力が無くなった場合に利用することもあります。

超高齢化にともない、成年後見制度を利用する方が増え、悪用する成年後見人も増えてきました。(参考:成年後見制度の現状|厚生労働省

成年後見制度は、被成年後見人の財産を管理し、日常生活を守る制度です。

成年後見人は法律上の以下3つの権限が与えられます。

  • 代理権(契約を代わりに行う)
  • 同意権(契約に同意する)
  • 取消権(過去の契約を取り消す)

近年ではこの成年後見制度を悪用し、不動産や財産を横領するといったケースも存在するのです。

任意後見制度との違いは?

任意後見制度とは成年後見制度と何が違うのでしょうか?

成年後見制度は、認知症や障がいなどで、判断能力が不十分になった人に対して、適応される制度でした。

しかし、任意後見制度は判断能力が不十分になる前にあらかじめ、後見人を決めておける制度です。

任意後見制度はあらかじめ選任できるため、本人が決めた人が選任されることになります。

成年後見制度のメリット、デメリット

成年後見制度の悪用を見ていくうえで、利用するメリットとデメリットを理解しておく必要があります。

メリット

  • 詐欺や必要のない契約を結ぶことが無くなり、適正な財産管理ができる。
  • 保険金の受け取り、介護施設と契約が可能である。
  • 相続の手続きができる
  • 不動産を売ることができる

デメリット

  • 手続するのに手間がかかり、後見人に月額2~6万円の報酬を支払わなければならない。
  • 財産が親族の思い通りにならない。
  • 財産をめぐり親族との間でトラブルになることがある。
  • 当事者が無くなるまで成年後見制度の適応が続く(変更できない)

成年後見制度トラブルの事例

メリットでもお伝えしましたが、成年後見人は判断能力のない当事者に変わって、財産の管理や不動産の売却を行えてしまいます。

このメリットに思えることこそに、大きな落とし穴があるのです。

成年後見人は、本人の権限で行使することができます。

後見人が不動産を勝手に売却した

後見人が管理していた不動産が、気がつけば違う名義人になっていたという事例もあります。

不動産を売るとなった場合に、親族などに例えば

成年後見人
成年後見人
今この住宅が本来よりも高く売れそうなので売ってもいいですか?

などの一言があってもいいはずです。

しっかりとした理由を説明して、親族が納得できたなら、売却といった形を取ることは良いことです。

しかし、勝手に人のものを売ってしまうというのは、人としてどうかと思うのです。

これが通常よりも高値で売れたなら、まだ親族は納得の余地はあるかと思います。

また、被後見人が施設に入居しないと生活できない状態で、住宅や不動産を元手に施設への入所費用に充てるのであれば納得です。

ではこの住宅が、通常よりも安い値段で、勝手に売られていてはどうでしょう。

怒って当然ですよね。

被後見人の財産を守るのが成年後見人の仕事ですが、真逆の事しているのですから、トラブルになるのは自然な流れでしょう。

成年後見人を変更できない

これは制度の問題ですが、成年後見人を原則変更することができません。

変更できるときは、成年後見人が全く仕事をしない、財産を横領してしまったなど不正が発覚した時だけです。

親族との間でコミュニケーションが上手くいかないとか、気に食わないという理由では変更できないのです。通常であれば、被後見人が亡くなるまで契約は続きます。

逆に言えばその時が来るまで契約が続くということです。

このシステムは、仕組みの構造上の問題になりますので、変更したほうが、個人的には良いと思っています。

成年後見制度のトラブル対策3選

上記2つのトラブルのような事案が起こらないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。

この2つのトラブルすべてに共通しているのが、当事者と親族との間で成年後見人という第三者が入ったことにより、権限を奪われたことにあります。

確かに成年後見人の役割は非常に大きなものですし、重要な制度ではあります。

しかし、構造上の問題というのは、否めないことも事実なのです。

こういったトラブルを回避する方法が3つあります。

終活アドバイザー
終活アドバイザー
特に最後3つ目は、予防につながるのでぜひ実践してください。

後見制度支援信託を利用すべし!

後見制度支援信託は成年後見人が日常生活において必要な金額の財産を管理して、残りの財産については信託銀行に置いておけるシステムになっています。

この制度により、成年後見人は勝手に財産を引き出したり、ましてや横領したりするリスクは大幅に減らすことができます。

また信託に預けている財産は家庭裁判所の許可が必要ですので悪用されにくい構造です。しかし、1つ気を付けたい事があります。

土地や不動産は信託できないという点です。後見制度支援信託は金銭のみの取り扱いになっています。

家族信託を利用するべし!

家族信託は、財産の管理を家族に任す制度です。

認知症になり、財産を管理できなくなったとしても子供が信託され財産を管理、運用、場合によっては処分できる権利を与えられます。

親の介護をしていると金銭的な負担を強いられることは確定です。

しかし最近は、認知症になった親の銀行口座がわからないから、引き出せないなどの事案も出てきています。

介護をしていると、精神的な負担に加え金銭的な負担も強いられることになります。どちらかが楽になれば人間誰でも藁をもすがる思いでしょう。

このような理由から家族信託を利用する人は多くなってきています。

エンディングノートを作るべし!

最後に終活アドバイザーとしてお願いがあります。

エンディングノートを今すぐ作ってください。

おばあさん
おばあさん
え!まだすぐに死ぬわけじゃないし…ちょっと気が引けるわ

と思われるかもしれません。しかし、人はいつか死にます。

私は今30代ですが、エンディングノートを書き終えています。エンディングノートは、自分の生きてきた証、大切な財産、残された子供のために自由に書いてよいのです。

死後どうなってほしいのか、財産があるのなら、その財産がどういった形で継承されたいのか、エンディングノートはその方の思いを見える化して願いを託すものです。

成年後見制度や各種制度について説明してきましたが、エンディングノートを作っているだけで、どの選択が正しいのか答えがわかるかもしれません。

答えのない問題が答えに近くなるかもしれないのです。

その分、トラブルも減らすことができるでしょう。

終活アドバイザー
終活アドバイザー
亡くなったら思いを聞けません。相談もできません。認知症になってわからなくなってしまえば、当然ですが本当の思いを具体的に聞けません。

あなたの財産は子供は知らないと思っておいたほうが良いでしょう。

エンディングノートに細かく書いておけば、残された人が慌てずに済むことができるのです。あなたが居なくなった後に改めて感謝するかもしれませんね。

まとめ

最後のエンディングノートという1冊のノートが、解決してくれるかもしれないというのは意外だったかもしれませんね。

制度を理解し、利用することは確かに重要な事です。

認知症になったり、亡くなる前に自分の思いや財産について書き記したノートがあれば、残されたも者は行動しやすいのは予想の通りです。

一人ひとりが制度を理解し、エンディングノートを持ち、残された人がトラブルに巻き込まれないように、生きている間に予防できれば良いですね。

また、今トラブルを抱えているといった状況ならば、弁護士などに相談してみていいですね。

日本弁護士連合会の依頼者見舞金制度を利用してみると、お金を取り戻すことができるかもしれません。

エンディングノートは最後の思いや願いを伝えることが可能です。

また、法的効力はありませんが、財産や不動産をどうすればよいか具体的に書けば書くほど、残された人は助かります。

制度の選択肢も増えるのです。

ぜひ活用してみてください。最後までお読みいただきありがとうございました。

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