【注意】高齢者に多い熱中症の予防と対処法を解説

【注意】高齢者に多い熱中症の予防と対処法を解説

梅雨が終わり徐々に気温が上がってくると心配になってくるのが熱中症。

 

熱中症は室内屋外問わず、また年齢に関係なく誰でも起こるものです。

 

高齢者の場合は症状に気づきにくく、重篤になるケースもあるため周りの人が特に気をつけなければなりません。

 

今回の記事では、「高齢者に多い熱中症の予防と対処法を解説」と題して解説します。

 

リスクを回避するために熱中症の概要を理解しておきましょう。

 

熱中症はどんな症状が起こる?

熱中症は急激な気温や湿度の上昇により体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調整機能がうまく働かなくなってしまうことが原因で起こります。体内の熱を発散できず、溜め込んでしまっている状態が熱中症です。

 

初期症状はめまい・立ちくらみ・顔のほてり・頭痛・吐き気・体の怠さ・筋肉痛が現れます。この段階では少し体調が悪いだけだと思い、熱中症だと気づかないことも。症状が進行するとけいれんや意識消失を起こし、最悪では死に至るケースもあります。

 

高齢者はなぜ熱中症を起こしやすい?

気温が高い日はもちろん、気温があまり高くなくてまだ体が暑さに慣れていない時などにも起こりやすいのが熱中症です。

 

中でも、体力が低下している高齢の方が熱中症を起こしやすいのは想像に難くないでしょう。高齢者が熱中症を起こしやすい原因をさらに詳しくみていきます。

 

体温を調節する機能が衰える

人には気温が上がれば汗をかき、適切な体温を保つ機能が自然に働いています。

 

しかし、加齢による身体機能の低下から体温調節機能が衰えてしまうことが、高齢者の熱中症を起こしやすい原因です。体の熱を外に逃がす力が低く、深部体温が上昇しやすくなってしまいます。

 

水分が不足しやすい

成人の体内の水分量はおよそ60%程度ですが、高齢になると50%程度に減少してしまいます。加齢によって水分を蓄えるための筋肉量が減り、体内が水分不足になってしまうことも熱中症を引き起こす要因です。

 

高齢者は体調不良による食欲の低下や嚥下障害などにより全体の食事量や水分摂取量が減ってしまう方が多くいます。感覚機能の低下により、暑さやのどの渇きに気づきにくくなりやすいのも水分不足になる原因です。

 

さらに、失禁やトイレの回数などを気にして自ら水分摂取を控えてしまう方もいます。認知症で判断力が低下すると水分摂取を意識すること自体が困難な方もいるでしょう。

 

さまざまな要因で体内の水分量が低下し、脱水症状になってしまうため熱中症を起こしやすくなります。

 

エアコンの使用を控えてしまう

高齢者の中にはエアコンを使おうとしない方が多くいます。

 

そもそも暑さを感じにくいため、エアコンをつける必要性を感じない方や、体が冷えるので嫌がる方も多いでしょう。

 

昔からエアコンを使う習慣がなかった高齢者の中には、夏が暑いのは当たり前のことであると、少々の暑さは受け入れて我慢する方もいます。エアコンの使用がもったいないと感じる方や、リモコンの操作が分からない方もいるでしょう。

 

様々な要因からエアコンを使用せず、暑い部屋の中で過ごすことにより熱中症になってしまいます。

 

高齢者の熱中症を予防するには

熱中症はしっかり対策することによって、防ぐことが可能です。

高齢者を熱中症から守るにはどのような予防策を講じたら良いのでしょうか。

 

部屋の温度・湿度に注意する

熱中症は炎天下だけでなく室内で発生するケースも多くあります。

 

最近の夏の暑さは、高齢者が若かった頃のような暑さとは全く異なります。危険な猛暑日も多く、エアコンを我慢して過ごせるレベルではありません。

 

部屋の温度は26〜28℃が適温です。高齢者の中にはエアコンが苦手な方も多いので、エアコンの風が直接体に当たらないよう風向きを変えたり扇風機を併用したりして、涼しく過ごせるように工夫しましょう。

 

エアコンは設定温度を28℃にしたからといって28℃になっているとは限りません。また、湿度が上がりすぎることも熱中症の要因の一つです。部屋の構造や日当たりなどにより温度や湿度は変わってくるので、適切な環境であるかをこまめに確認することが大切です。

 

就寝時の室温にも注意する

就寝中は特にエアコンを控える方が多いのではないでしょうか。寝ている間は気づかないうちに室温が上がり体の水分が奪われてしまうため、就寝中に熱中症になる高齢者も少なくありません。また、気温が高くなくても湿度が高いと汗をかきづらく、体温調節ができなくなってしまいます。

 

就寝中もエアコンを使用することは睡眠の質も向上させるので、エアコンを使用して快適に休むようにしましょう。枕元に水筒やペットボトルで水分を準備しておくのもおすすめです。

 

水分をこまめに摂る

前述した通り、暑さやのどの渇きに気づきにくくなりやすいため、喉が渇いたと感じる前に意識して水分摂取することが大切です。

 

高齢者に推奨される水分摂取量は、食事から摂れる水分も含めて約2リットルと言われています。食事から摂取できる水分を除いて、飲み物から1リットルは水分を摂れるようにしましょう。

 

ペットボトルの本数などで飲む量を決めておいたり、飲むタイミングを決めておいたり、ルールを定めておくと定期的に摂取できます。

 

水分摂取がストレスにならないように高齢者の好きな飲み物を取り入れるのも一つです。スポーツドリンクやオレンジジュースなどは飲みやすいため人気があります。汗をかくと塩分も排出されてしまうため、梅昆布茶なども塩分補給ができておすすめです。ただし、高齢者の中にはお身体の状況により、塩分や糖分を摂りすぎてはいけない方がいるので注意しましょう。​​心臓や腎臓に持病がある方などは、水分の摂り過ぎがよくない方もいますので、医師に適切な水分摂取量を確認して水分補給してください。

 

また、食事量が減っている方にはゼリーやプリン、フルーツなどの水分が多く含まれる食べ物を積極的に摂取するのもおすすめです。食欲がない時にも摂取しやすいため取り入れてみましょう。

 

外出時の装備に注意する

外出時は特に熱中症対策をしっかり意識することが大切です。

 

できれば、夏場の暑さが厳しい時期の外出は控える方が無難です。とはいえ、全く外出しないわけにもいきません。出かける場合は暑い時間帯を避けて出かけるようにし、長時間の外出は控えましょう。

 

通気性が良い衣服を着用し、日差しを遮るための日傘や帽子を忘れないようにしてください。水分を持ち歩いてこまめに水分摂取するのも忘れないようにしましょう。

 

普段の体調管理に気をつける

暑さに負けない体力作りも大切です。

 

夏場は、暑さが原因の食欲低下や睡眠不足、外出の機会が減ることによる運動不足などが原因で体力が低下してしまいます。

 

室内を快適な環境に保ち、バランスの良い食事・質の良い睡眠・適度な運動で日頃から体調を整えておきましょう。

 

周りの人が様子の変化に注意しておく

高齢者の方は自分の体調の変化に気付かなかったり、我慢してしまったりして熱中症の発見が遅れてしまうケースがあります。

 

活気があるか・食欲はあるか・血圧や心拍数・体温は正常かなど、普段の様子を知る介護者が変化に注意することが大切です。

 

暑さやのどの渇きに気づきにくい高齢者に代わり環境を整えることも重要。部屋の温度・湿度が適正かをチェックし、水分がしっかり摂れるように水分を準備して声をかけるなど工夫して熱中症予防をしましょう。

 

熱中症が起きた時の対処法

熱中症が疑われる症状が起きた場合は、速やかに適切な応急処置をする必要があります。

 

どのような対処をすれば良いのか確認しておきましょう。

 

涼しい場所に移動する

熱中症になってしまった場合は早めに体温を下げることが重要です。できる限りエアコンの効いている涼しい場所へ移動してください。屋外などで室内にすぐに移動できない場合は、日陰に移動します。

 

体を冷やす

涼しい場所に移動したら、衣服をゆるめ体温を放出できるようにしてください。

 

皮膚が露出したら、保冷剤や冷たいペットボトルなど手に入れられるもので体を冷やします。首、脇の下、足の付け根など太い血管が通っている場所を冷やすとより効果的です。

 

さらに、うちわなどであおいで風を起こして、体表の熱を逃し体を冷やすようにしましょう。

 

水分補給をする

意識がある場合は冷たい飲み物を補給して体温を下げます。経口補水液やスポーツドリンクなどがあれば、塩分が摂れるため熱中症を起こした時の水分補給に適しています。

 

ただし、呼びかけに対する反応が鈍く、意識がもうろうとしている状態の場合は誤嚥の危険性があるため無理には飲ませないようにしてください。嘔気がある場合も同様です。このような場合は、点滴などの処置が必要な状況かもしれません。呼びかけに反応があり、水分摂取が可能な場合は少しずつ水分を補給しましょう。

 

水分が摂れず意識がはっきりしない場合は医療機関へ

軽度の熱中症であれば前述した対応方法で症状が改善しますが、意識がはっきりしない場合は迷わず医療機関を受診してください。救急車を要請する必要があるケースもあるでしょう。

 

体温を下げることが第一優先のため救急車が到着するまでの間、医療機関を受診するまでの間でもできる限りの応急処置をしておきましょう。

 

特に高齢者の場合は、大したことはなかったと考えずに医療機関を受診しておくことがおすすめです。

 

熱中症は起こす前の予防が重要

今回の記事では高齢者が起こしやすい熱中症の予防や対処法を解説しました。

 

高齢者は熱中症を発症しやすく、重篤になってしまうことがあります。最悪のケースでは命を奪ってしまうことも。

 

熱中症は誰でも起こりうるものですが、高齢者が生活する環境を整え、日頃の健康管理に注意することでリスクを避けることができます。

 

ちょっとした気遣いや介護の工夫をしながら、介護者が常に気にかけておくことが大切です。

 

普段お薬を服用されていたり、かかりつけのお医者さんがいらっしゃる場合は一度ご相談いただくとより安心して取り組めると思います。

 

老人ホームでは、入居者に安全な環境で過ごしていただくため、館内の温度を24時間管理をしています。

 

お一人お一人のお部屋の温度や体調も定期的にチェックしたりしています。

 

リハビリをしたり、スムージーを提供したり、1日の野菜の量を少し多めにしたり、施設ごとで独自の取り組みをおこなっている老人ホームもございます。

 

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さいごまでお読みいただきありがとうございます。

この記事が少しでもお役に立ちましたら幸いです。

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