親の介護に疲れる理由とは?介護疲れの対処法を知ろう!

親の介護に疲れる理由とは?介護疲れの対処法を知ろう!

在宅介護ストレスや疲労を感じて不安になっている方もいるのではないでしょうか。

在宅介護はいつ始まるのか、いつ終わるのかわかりません。ストレスや疲労で追い込まれて限界を迎える前に解消しながらうまく付き合っていくことが大切です。

この記事では在宅介護に疲れる理由とその対処法をご紹介します。

親の介護に疲れる理由

親の介護の必要度により異なりますが、在宅で親の介護をするのは大変なことです。在宅介護を頑張っている方は具体的にどのような理由で疲労を感じているのでしょうか。

身体介護による肉体的疲労

介護度が重い方の介護は身体介護が中心になるため、肉体的疲労を感じます。

移動介助・体位交換・着替え・食事介助・排泄介助・入浴介助などでは1日に何度も被介護者の体を持ち上げたり、支えたりしなければいけません。そのため体調や腰などを痛めてしまう方も多くいます。

夜間の排泄介助や安否確認、認知症の方の見守りなどが必要になれば、睡眠が充分に取れず疲労が蓄積してしまいます。介護が長期化すれば介護度が高くなっていき、身体的負担は蓄積されていく一方です。ゆっくり体を休める時間が取れないまま、24時間365日の介護が続きます。

認知症介護や孤立感による精神的疲労

在宅介護では、いつまで続くか分からない不安やストレスで精神的な疲労も蓄積します。1日の大半を親の介護で費やし、自分の時間を確保できないのはストレスの原因です。

自分が中心になって介護をしている場合は「誰も手伝ってくれない」「自分だけが大変な思いをしている」と孤立感を深めてしまいます。

高齢になった親と四六時中一緒にいるわけですから、わがままを言われることや、思いがうまく伝わらない場合もあるでしょう。その度にいらだってしまえば、自己嫌悪に陥ってしまうケースも少なくありません。

特に認知症の親の介護は、その症状から介護拒否・暴言・暴力・失禁・徘徊・妄想などの対応に苦慮し、精神的疲労が蓄積されやすくなります。家族であれば、元気だった頃の親の姿を知っているだけにさらに受け入れることが難しくなってしまいます。

自分のキャリアに支障をきたしている

仕事と介護の両立もストレスを抱いてしまう原因です。

介護サービスを利用していたとしても、通院や介護サービス事業者からの連絡、行政手続き関連など家族にしか対応できないこともたくさんあります。急な体調の変化やケガなどで突発的な対応が必要になってしまう時もあります。

最近では介護のための休みを取得できる制度もありますが、職場に穴を開けてしまうことに気を遣ってしまい、なかなか言い出せない方も多いかもしれません。

休みを取れたとしても、自分の将来のキャリアに支障をきたしてしまう可能性を考えてしまう方もいるでしょう。

介護の長期化による経済的疲労

経済的負担も介護疲れの要因です。

介護保険制度が利用できるとはいえ、1割〜3割の自己負担を毎月支払う必要があります。おむつ代や介護サービス利用時の食費や日常生活費は介護保険が適応されないため全額自己負担です。

家族が介護離職をしてしまった場合は、収入が減ってしまいさらに経済的な負担が重くなってしまいます。

介護が長期化すれば負担が重くのしかかり、いつまで出費が続くのか分からない不安が続いていきます。

親の介護に疲れたときの対処方法

お世話になった親の介護。できる限りのことをしてあげたい気持ちはありますが、在宅でお世話を続けるのには自分一人の力ではどうにもなりません。介護疲れを引き起こさないためには周囲の力を最大限に取り入れましょう。

介護保険サービスを利用する

在宅介護を支えるサービスとしてまず思い浮かぶのが介護保険サービスの利用です。訪問介護、デイサービス、ショートステイなどの介護保険サービスを利用すれば家族の負担はかなり軽減されます。福祉用具の利用や住宅改修で家の中を介護しやすいようにリフォームすることも可能です。

担当のケアマネジャーが介護の相談に乗り、必要な介護サービスの提案もしてもらえます。必要な時に相談に乗ってもらえる介護のプロがいるだけで精神的な負担も軽減します。

介護グッズを活用する

在宅介護を楽に乗り切るためには、介護グッズもうまく活用しましょう。

前述した通り、介護保険でレンタルや購入ができる福祉用具もありますが、最近ではインターネットやホームセンター、100均などで安く手に入る便利なグッズも多く販売されています。

介護グッズは本人の心身の状態に合わせたものを選定することが大切です。本人が自力でできることが増えれば介護負担の軽減になり、自立支援にもつながります。

食事介助、排泄介助、入浴介助などさまざまな場面で活用できる介護グッズを探してみてください。

知識やスキルを身につけておく

介護に関する知識やスキルを身につけておけば身体的負担の軽減に効果があります。

介護をする側もされる側も負担を軽減する介助方法に「ボディメカニクス」があるので取り入れてみましょう。

 

ボディメカニクスとは体の原理をうまく利用し、体の負担を減らす介護技術です。介護するときのポイントは以下の4点です。

  1. 重心を低く落とし両足を広げて支持基底面積を広くとる
  2. できるだけ相手に密着して介助する
  3. てこの原理を使う
  4. 相手の体をコンパクトにまとめる

文字で見るだけではなかなか理解できないですよね。介護に関するスキルは、自治体などで介護者向けの研修や勉強会などが開催されています。介護技術だけでなく、知識を習得するための勉強会なども開催されているのでぜひ探して参加してみてください。

他の家族の協力を得る

もし、自分だけに負担がかかっていると感じているのであれば他の家族の協力を得ることも考えましょう。

民法では「直系血族」と「兄弟姉妹」には、その人の支援をしなければならないという扶養義務があります。なんとなく、長男だから長女だから介護する責任があると思いがちです。古い風習で長男の嫁がみるべきと考える方もいるかもしれません。しかし、家族が親を介護する義務は平等です。

遠方に住んでいるため直接介護が難しい家族には、経済的な負担をしてもらい折り合いをつけるのも一つです。複数の扶養義務者がいる場合はしっかり話し合い、分担して負担を軽減しましょう。

相談先を見つける

介護に困ったときの相談先を複数みつけておくのも大切です。前述した通り、介護保険サービスを利用している方であれば、ケアマネジャーに一番の相談相手になってもらえます。

介護保険サービスを利用していない方は、まず地域包括支援センターに相談してみましょう。地域包括支援センターは地域に住んでいる高齢者の総合相談窓口です。主任ケアマネジャー・社会福祉士・看護師が常駐し、高齢者のあらゆる悩みに対応してくれます。どこに相談したら良いのか分からない場合もまずは相談してみれば、必要なサービスにつないでもらえます。

地域に住んでいる民生委員さんに相談するのも一つです。厚生労働大臣から委嘱された民生委員さんが住民の立場に立って支援してくれます。民生委員さんは高齢者の悩みだけでなく、子育てや妊娠中の心配事などさまざまな相談援助を行っています。窓口に相談するのに抵抗のある方はまず民生委員さんを頼ってみるのもよいでしょう。

地域の取り組みとして行っている、介護をしている家族の会などを利用するのもおすすめです。家族の会では、介護の相談ができたり悩みを共有できたりします。同じ境遇の方達との交流は精神的負担の軽減に役立ちます。

気分転換の時間を作る

在宅介護をしている方にとって気分転換は大切です。介護保険サービスを利用しレスパイトケアを検討しましょう。

レスパイトケアとは、家族が一時的に介護から解放されるよう、介護する側をケアするためのケアです。介護保険サービスは、介護者の負担を軽減する目的での利用が可能です。

訪問介護サービスなどを利用すれば、自宅にヘルパーさんが来てくれて家族のかわりに介護をしてくれるのでその間に休息が取れます。

デイサービスなどの通いのサービスを利用すれば、日中の介護から解放されます。ショートステイでは数日間の宿泊サービスを受けることが可能です。

四六時中つきっきりでは精神的にまいってしまいます。少し距離をとり、介護する側が体を休め、趣味や旅行などリフレッシュできる時間を作るのも大切です。

制度を使って仕事を休む

仕事と介護の両立が負担になっている方は、仕事を休むのも一つです。

介護をするために仕事を休む制度には「介護休暇」と「介護休業」があります。

「介護休暇」は年間5日間までの取得が可能。急な休みが必要になった場合や、通院や手続きなど単発的な休みが必要になった場合に便利な休暇制度です。

一方「介護休業」は介護のための長期的な休みを取りたい時に適しています。介護が必要な家族一人につき、93日間の休みが取得できます。介護が始まったばかりで、介護の体制を整えたい場合や、終末期介護でつきっきりの介護をしたい場合には介護休業で長期休暇を取得するのがおすすめです。

介護で休みを取得するのは労働者の権利です。しかし、仕事に穴を開けて負担をかけてしまうことには変わりありません。職場の同僚や上司に早めに相談し、困らないように申し送りをしっかりしておくなど最低限のルールやマナーを守って取得しましょう。

介護の補助金制度を利用する

経済的負担を軽減するには国の補助金制度が利用できます。

  • 介護で休業した場合「介護休業給付」
  • 1ヵ月に支払った介護費用が高くなった場合「高額介護サービス費制度」
  • 医療機関や薬局で支払う医療費が高くなった場合「高額療養費制度」
  • 1年間の医療保険と介護保険の合計が高額になった場合「高額介護合算療養費制度」
  • 1年間の医療費が多くなったときに税金を減らしてくれる「医療費控除」
  • 介護保険を使わず重度の方の在宅介護をしている場合「家族介護慰労金」
  • 介護保険施設に入所や短期入所利用時の食費や居住費を軽減する「介護保険負担限度額認定制度」

お知らせしてくれる制度もありますが、知らなければ受給できない制度もあります。

知っていないと損をしてしまう可能性があるので、概要だけでも把握しておき必要な時に相談して手続きできるようにしておきしましょう。

施設入所を視野に入れておく

在宅介護が限界になる前に、施設入居を視野に入れておくのも大切です。

施設入居はせずに最後まで家族がお世話したいと考えていても、限界はいつ来るかわかりません。施設に入居し、プロの介護を受けることが本人や家族にとってよりよい選択になるケースもあります。

すぐに入居は考えていなくても受け入れ先を考えておくと安心です。いざというときに相談できる施設があるだけでも精神的な負担が軽減できます。

さまざまな制度を活用し介護疲れを軽減させよう

この記事では在宅介護に疲れる理由とその対処法をご紹介しました。

介護は一人で抱え込んではいけません。周囲の力を借りることが大切です。介護者を助ける制度が整っているため最大限に活用しましょう。

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