口内フローラとは?口腔ケアがインフルエンザや認知症予防に!ベテラン歯科衛生士が解説

口内フローラとは?口腔ケアがインフルエンザや認知症予防に!ベテラン歯科衛生士が解説

口腔内(口の中)には腸内と同じようにさまざまな細菌が生息しています。

これらの細菌は口腔内だけではなく全身の健康にも影響を与えるため、健康を保つには口腔内の細菌のバランスがとても重要です。

口の中の環境を整えれば、口腔内のみならず、健康にもいい影響が期待できます。

口内環境を健康に保つには、どのようなことに注意したらよいか?歯科衛生士歴20年のベテランが解説していきます。

口内フローラとは?

近年されている口内フローラとは、口の中に生息する細菌や微生物の細菌集団のことです。

口内フローラの悪玉菌が増えると全身に悪影響?!

口内フローラには体によい働きをしてくれる善玉菌虫歯や歯周病の原因となる悪玉菌、悪玉菌が増えると悪玉菌の味方をし健康状態が悪くなると暴れ出す日和見菌、3つの菌で構成されています。

理想的な比率は、善玉菌:悪玉菌=9:1です。

普段から善玉菌が優勢に立てるよう口内フローラのバランスを維持するのが大切です。

口内フローラのバランスが乱れると、口内トラブルだけでなく、心筋梗塞や動脈硬化など全身の生活習慣病につながる恐れがあるので注意が必要です。

口内の悪玉菌は、歯と歯茎の境目や虫歯の穴から血管に入り込んでいきます。

血液に乗ってカラダ全体に移動し、悪影響を与えていることがわかってきました。

血管に入った悪玉菌は、炎症を起こすようになります。

口内フローラのバランスが崩れるとおこる病気

口内フローラのバランスが崩れると様々なからだの不調、病気を引き起こします。

  • 虫歯、歯周病
  • 心臓病や動脈硬化、脳梗塞
  • 慢性関節リウマチ
  • 糖尿病
  • 早産・低体重児出産
  • 誤嚥性肺炎
  • 認知症

口と腸は1本の管でつながっています。

腸内の悪玉菌が増えると免疫力が下がり、感染症などにかかりやすくなり口内の歯周病菌や虫歯菌も増えやすくなります

口内フローラが崩れることは、全身の健康状態と密接に関わっています。

歯周病は認知症と関係あり?口の健康が認知症に及ぼす影響

おばあさん
おばあさん
なんでそんなに歯周病は怖いのかしら?

と思われるかもしれませんが、なんと30代以降の日本人の80%が歯周病であると言われてるのです。

歯周病菌の中でも、アルツハイマー型の認知症に関係があると言われている菌があります。

認知症と関係のある原因菌が血流に乗ってカラダ全体に広がります。細菌は免疫によって死滅しますが、歯周病菌の死骸は体内に残り、毒素が脳に溜まることによって、アミロイドβ(神経細胞から分泌される物質)が蓄積されます。このアミロイドβが、アルツハイマーを進行させることから、歯周病と認知症には密接な関係があると言われているのです。

職員さん
職員さん
認知症の原因となる歯周病は本当に怖い病気ですね。

口内フローラを整えるために

では、口内フローラの状態を改善するにはどのような対処が必要なのでしょうか?

  • 正しいブラッシングと舌のケア
  • 唾液の分泌を促進する
  • 乳酸菌を補う

正しいブラッシングと舌のケア

菌の除去にはブラッシングが重要です。

特に重要なのは、就寝前と起床後のブラッシングです。就寝中は唾液分泌が減るため細菌が増えるタイミングです。寝る前と起きた直後はきちんとブラッシングをしましょう。

歯ブラシだけでは口腔内の清掃は不十分なので、フロスや歯間ブラシなども使うようにし、歯間の菌をしっかり除去します。それにあわせて、定期的に歯科医院で歯科衛生士によるプロフェッショナルケアを受けるようにしましょう。

舌には舌苔(ぜったい)という口の中の粘膜細胞が剥がれたものや、食べかす、細菌などによってできた、垢のようなものが付着します。舌表面には小さな突起もあるため、細菌の塊がたまりやすいのです。

口臭の原因や感染予防、味覚を正常に働かせやすくする効果もあるので除去するのがおススメです。

必要以上に舌をゴシゴシと強く擦ったりしてしまうと、舌表面の細胞が剥がれ、逆に舌苔が多く作られてしまい、結果的に舌を傷つけてしまいます。1日1回舌専用のブラシでやさしく丁寧に磨くようにしましょう。

健康な人の舌は、うっすらと白い舌苔がついている状態です。どんなにキレイに磨いても、舌苔は完全に除去することはできないので注意しましょう。やり過ぎは禁物です。

唾液の分泌を促進する

唾液は1日に1〜1.5ℓ分泌されます。唾液は口腔内の悪玉菌を撃退するだけでなく、初期虫歯の修復にも効果があります。

唾液が減少する原因としては、加齢やストレス、口呼吸、ものをよく噛まない、薬の服用などがあげられます。

現代人は唾液が減少気味といわれています。

以前、既往歴のない患者様が「口が渇く」と訴え歯医者に来院されました。歯医者では保湿剤ジェルを処方し、内科で全身を詳しく調べたところ糖尿病だとわかりました。口が渇くことは全身の病気に繋がっていることを改めて実感した瞬間でした。

おかしいな?と感じたらすぐ受診を心がけてほしいです。

唾液の分泌を促進するためには、食事の際によく噛むこと。噛み応えのある食材を薄味でゆっくり食事することをおすすめします。食事を見直すと唾液を多く分泌させられるようになります。

酸味のある梅干しやレモンは、考えるだけでも唾液が出てくるでしょう。さらに「よく噛む」というのもシンプルですが効果的な方法です。また唾液腺のマッサージも有効です。

唾液の量を増やすことや質の良い唾液を出すためには日頃の習慣を見直すことが大切です。

乳酸菌を補う

腸内と同じように、乳酸菌を摂取することで口腔内の善玉菌を増やせます。

体内への悪い菌の侵入を防ぐシステムは、粘膜免疫と呼びます。細菌だけではなくウイルスにもはたらきかけ、風邪やインフルエンザなどウイルス性の病気の発症を防ぐには、なくてはならない存在です。

乳酸菌が多い食べ物としてはヨーグルトや漬物などがあります。うまく活用することで口内環境の改善につながります。積極的にとるようにしましょう。

認知症ではない方の便からは善玉菌である乳酸菌が多く検出され、認知症の方の便は悪玉菌が多くなっているという報告があります。

職員さん
職員さん
認知症を予防するためには、腸内の善玉菌を増やすことがとても重要であることがわかります。

インフルエンザと口腔ケア

インフルエンザの予防として、ワクチン接種、手洗い・うがい、マスクの着用に加えて、インフルエンザの感染予防として口内ケアが非常に重要視されています。

口の中の細菌は、インフルエンザウイルスを粘膜に侵入しやすくする酵素を出すため、口の内が清潔でないとインフルエンザに感染しやすくなります。

ある介護施設での実験結果では、歯科衛生士がブラッシングを中心とする口腔ケアと週1回の集団口腔衛生指導を実施したグル-プは、していないグル-プに比べて、インフルエンザの発症率が10分の1という結果が出ています。

口臭や虫歯予防はもちろん、風邪やインフルエンザ予防のためにも、口腔環境を整えることも意識してみてはいかがでしょうか。

どちらかだけを徹底的に整えようとするのではなく、相互関係を理解して、双方の環境を整える必要がありそうです。

今からでもおそくない!今日から始めよう!

“口は健康の入り口“です。

口腔ケアを怠ると口内フローラのバランスが崩れ、虫歯や歯周病など口腔内の問題が起こり、それだけでなく糖尿病や動脈硬化など全身の病気に繋がります。

日頃のブラッシングをしっかり行うことで全身の健康維持に繋がります。

インフルエンザなどの感染症予防にも有効です。

常に清潔に健康に保つため、正しく口内ケアができているか見直してみてはいかがでしょうか。

歯科医院での定期的なメンテナンスも重要です。

今日から口内フローラを意識して正しい口腔ケアをスタートさせ、全身の健康維持を目指していきましょう!

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