親の介護で仕事を休むのはアリ?介護離職する前にできること

親の介護で仕事を休むのはアリ?介護離職する前にできること

  • 急に親の介護が必要になったけれど仕事が休めない!
  • 親の介護が必要になったら仕事を辞めるべき?
  • 介護で仕事を休むと収入源が断たれてしまうので不安…

 

高齢の親がいる方にはこのような不安やお悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか。

 

介護で仕事を休みたい場合、介護休業法で定められた休暇の取得が可能です。条件があえば、介護休業中に支給される給付金も受けられます。

 

今回の記事では、親の介護のために仕事を辞めるリスクや介護で仕事を休むための制度について解説します。

 

この記事を参考に介護離職を避け、仕事と介護をうまく両立してくださいね。

 

親の介護で介護離職するリスク

親の介護のために仕事を辞めてしてしまうのには、非常に大きなリスクが伴います。早まって仕事を辞める決断をしないようにしてください。まずは、親の介護で介護離職するリスクをお伝えします。

 

キャリアを諦めなければならない

人によりますが、40代〜50代に差し掛かると少しずつ高齢の親の介護が気になってくる方も多いのではないでしょうか。

 

40代〜50代といえば現在の職場で長く勤めてベテランになっている方や、役職がついている方も多い年代です。50代後半〜60代に差し掛かった方であれば、定年まで勤め上げたいと考えている方も多いでしょう。

 

長年積み重ねてきたキャリアを諦めなければならないのは非常に悔しいことです。介護が必要になったからといって自分の人生を犠牲にすることは避けなければいけません。

 

経済的に苦しくなる

親の介護で離職してしまった場合、自らの収入源が断たれてしまいます。家族がいる場合は家族に頼れるかもしれませんが、シングルの場合は親の年金に頼らなければいけません。

 

介護が一段落したとしても、親の介護が必要な年代は再就職が難しい年齢になっています。運よく再就職できたとしても、給料は大幅にダウンしてしまうでしょう。

 

収入が断たれたり給料が大幅にダウンしたりと、経済的に苦しくなってしまった上に、親が亡くなってしまえば年金も途絶えてしまいます。

 

介護離職はよっぽど余裕がある方でなければ、経済的に苦しくなってしまうリスクがあります。

 

在宅介護がストレスになる

親の介護に専念するために離職したとしても、四六時中親の介護に向き合うことはかなりのストレスです。身体介護による肉体的疲労で体調を崩したり、腰を痛めたりする方もいます。

 

とくに認知症親の介護は、精神的にも肉体的にもつらいものです。認知症による周辺症状で幻覚・妄想・徘徊・暴力・暴言などが出現すると日中、夜間共に目が離せず、睡眠時間が確保できなくなってしまい体が休まりません。認知症により言っていることがうまく伝わらなかったり、暴言を吐かれてしまったりすると介護疲れはピークに達してしまいます。

 

このような状況が続いてしまえば「介護うつ」になってしまう方や、最悪のケースでは「虐待」などのリスクも考えられます。介護のために仕事を失い、外部との接触が少なくなり家にこもってしまうため、相談する相手もいなくなってしまうかもしれません。ストレス発散の機会も少なくなってしまうでしょう。

 

仕事を休んで介護の体制を整えよう

説明してきた通り、介護離職によるリスクは非常に大きいものです。介護離職を考える前に仕事と介護の両立がうまく出来ないかを考えるべきです。

 

まずはケアマネジャーに相談し、介護サービスを見直してもらいましょう。他の家族との話し合いの時間を取ることも必要です。もし、在宅介護に限界を感じているのであれば、施設入居も視野に入れて準備を進めるのも一つです。

 

仕事と介護を両立させるためには、介護の体制を整える時間が必要です。休暇を活用し、介護のための準備をしましょう。

 

介護で仕事を休みたい場合は、介護休業法で定められた「介護休暇」「介護休業」が取得できます。また、介護休業中の経済的支援には「介護休業給付金」の受給も可能です。

 

短時間の休みは「介護休暇」を取得

介護休暇は、介護のため短期間の休みがほしい時や、急な休みが必要になった時に取得できる休暇制度です。親の体調不良やケガなどで病院受診に付き添いたい時、介護の話し合いや手続きなどで休みが必要な時などに利用できます。

長期間の休みは必要ないけれど、単発的に会社を休まなければならない時に取得すると良いでしょう。

 

ここから詳しく解説します。

 

介護休暇が取得できる労働者の条件

介護休暇が取得できるのは、要介護状態の家族を介護している労働者です。正社員だけでなく契約社員やパート・アルバイトも対象です。

 

ただし、日雇い労働の方は取得ができません。また、労使協定で雇用期間が6ヶ月未満の場合や1週間の所定労働日数が2日以下の方などを対象外としている場合があります。

 

介護休暇の対象家族

被介護者の範囲は以下の通りです。

 

  • 父母(養父母を含む)
  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

 

対象の家族と同居をしていなくても休暇は取得できます。

 

介護休暇で取得できる日数

介護休暇で取得できる日数は家族一人につき年間5日までです。対象家族が2人以上の場合は年間10日まで取得可能です。

 

年間とは、とくに決められていない場合は毎年4月1日〜翌年の3月31日の年度単位になります。令和3年1月1日の法改正により丸一日仕事を休まなくとも、時間単位での取得も可能になりました。

 

介護休暇の手続き

介護休暇は、基本的に手続きは必要なく口頭で会社に伝えることで取得ができます。申請書などの書面手続きも必要ありません。ただし、会社により手続きのルールが決められている場合もあります。口頭で取得できるとはいえ、マナーを守り会社のルールに従って申請しましょう。

 

長期間の休みが必要な時は「介護休業」を取得

数時間や数日の休みではなく、長期間の休みを取得したい場合は介護休暇が適しています。長期間の休みを取得することで、仕事と介護を両立できる体制を整えることが可能です。

 

ケアマネジャーと介護サービスを見直したり、じっくり家族と話し合ったりする時間が取れます。施設入所を検討している方であれば、入居施設探しや契約、引っ越しなどの入居準備にあてられます。

 

ここからは、介護休業についてみていきましょう。

 

介護休業が取得できる労働者の条件

介護休業が取得できるのは、介護休暇と同じく要介護状態の家族を介護している労働者です。同じ事業主に1年以上雇用されている従業員は雇用形態に関係なく取得できます。

 

ただし、休みを取得する予定の日から93日が経過した日から6ヶ月以内に労働契約が満了し、更新されない場合は取得できません。また、日雇い労働の方も対象外です。

 

介護休業の対象家族

介護休業の対象家族は介護休暇と同じです。

 

  • 父母(養父母を含む)
  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 子(養子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

 

 

介護休業で取得できる日数

介護休業は、対象家族1人につき93日まで取得できます。連続して93日間取得することもできますが、最大3回に分割しての取得も可能です。

 

介護休業の手続き

介護休業は介護休暇と違い長期間の休みになるため、原則2週間前までに書面で申請することとされています。

 

書面のフォーマットは会社により異なりますが、休業の開始日と終了予定日の記載欄が設けられているため、しっかり計画を立てて休みを申請する必要があります。

 

休業中の経済的支援に「介護休業給付金」が支給される

介護休暇も介護休業も給料が支払われないのが一般的です。そのため、単発的な休みであれば有給休暇を取得する方も少なくありません。しかし、有給休暇にも限りがあるため、長期的な休暇となれば収入面も気になるところです。

 

そこで介護休業中の経済的支援をしてくれるのが介護休業給付金制度です。条件を満たせば給付金を受け取ることができるので確認してみましょう。

 

介護休業給付金の支給要件

介護休業給付金支給要件は以下の通りです。

 

  • 介護休業を開始した日前2年間に被保険者期間が12ヶ月以上ある(賃金支払基礎日数が11日以上必要)
  • 介護休業期間中に就労した場合、就労日数が10日以下である
  • 介護休業中の賃金が、休業前の賃金の80%未満である

 

入社して間もない方や、勤務日数が不足している方は介護休業給付金が受けられません。また、有給休暇や休業手当など何らかの理由で会社から休業前と同じくらい賃金を受け取れる場合も対象にならないケースがあります。

 

介護休業給付金でもらえる支給額

介護休業給付金は、給料の67%が支給されます。計算方法は「休業開始時の日額賃金×支給日数×67%」です。

 

介護休業給付金は給料の80%を上限に支給されるため、総額で80%の金額になるよう計算されます。介護休業期間中に賃金が支払われると、介護休業給付金が減額されることがあります。

 

介護休業給付金の申請方法

介護休業給付金の申請は、原則として事業主が行うため、希望する場合は会社に依頼してください。ただし、本人が直接手続きすることも可能です。

 

申請に必要な書類は事業主が用意するものと本人が用意するものがあります。

 

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書(賃金台帳・出勤簿・タイムカードなど記載内容が証明できる書類)
  • 介護休業給付金支給申請書(賃金台帳・出勤簿・タイムカードなど記載内容が証明できる書類)
  • 介護休業申出書
  • 住民票記載事項証明書等(介護の対象家族が確認できる書類)

 

介護休業給付金の申請期間は、介護休業終了日の翌日から2ヶ月後の月末までです。介護休業期間中は支給されませんので注意してください。

 

親の介護で仕事を休むのはアリ!

今回の記事では、親の介護のために仕事を辞めるリスクや介護で仕事を休む制度について解説しました。

 

短期間の休みや、急な休みが必要な時は「介護休暇」、介護体制を整えるために長期間の休みが必要な時は「介護休業」を利用してください。休業中の経済的支援には「介護休業給付金」の手続きをしましょう。

 

介護離職してしまうのには非常に大きなリスクが伴います。仕事を辞める決断をする前にじっくりと考える時間を持ってください。

 

自分の人生も大切にしながら親の介護と向き合ってくださいね。

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