劇場型詐欺に注意!老人ホーム入居権詐欺の手口と防衛策

劇場型詐欺に注意!老人ホーム入居権詐欺の手口と防衛策

老人ホーム入居権詐欺の件数は2014年をピークに減少傾向にありました。しかし、2021年から再び増加に転じています。

慎重であるはずの高齢者がだまされてしまう詐欺の手口とはどんなものなのでしょう?

そして、老人ホーム入居権詐欺にだまされない防衛策についても解説していきます。

高齢者を襲う悲劇、老人ホーム入居権詐欺とは?

老人ホーム入居権詐欺は、高齢者を狙った特殊詐欺です。

高齢者特殊詐欺にはどんなものがあるのでしょう?

高齢者特殊詐欺

ニセ電話詐欺

当初は息子や孫のふりをしてだます手口からオレオレ詐欺と呼ばれていたものです。

その後、振り込め詐欺とも呼ばれたりしましたが、今はニセ電話詐欺で統一されています。

悪い人
悪い人
ばあちゃん、俺だけど?元気してた?
「この前事故を起こしちゃってさ~」
「会社の大事なものを失くしちゃってさ~」

など窮地である旨伝え不安をあおります。次に、弁護士等を名乗る者から次の様に電話があります。

大変な事態ですが、言う通りしていただけたら、大丈夫です。
悪い人
悪い人

結局は、お金を払うことでしかもう解決できないと気持ちを追い込んでいく詐欺です。

真面目で愛情細やかな女性高齢者に被害が多いです。

投資詐欺

まずは、次のような連絡があります。

悪い人
悪い人
大変有利な投資ができる立場になりました。

電話の場合もありますし、パンフレットが投函されている場合もあります。

そして、この段階では世代や住居地など「あなたにしかこの特典は適用されません。」ということを伝えます。

儲け話は怪しい…
おじいさん
おじいさん

儲け話は怪しいとは誰しも思うのですが、次に別の人がお家に訪問してきて次のように持ち掛けます。

悪い人
悪い人
この地区の方だけに適用された有利な投資の権利を買い取らせてください。
「1口50万円を2口100万円分お持ちなら、150万円で買い取ります。

投資すれば必ず50万円儲かると思って、何の価値もない紙きれを100万円で購入してしまいます。

一家の大黒柱としての責任感を強く感じる男性高齢者が被害者になることが多いです。

老人ホーム入居権詐欺

まず、次のような連絡があります。

悪い人
悪い人
あなたは老人ホーム入居権に当選しました。

郵送の場合もありますし、電話の場合もあります。

老人ホーム入居権詐欺も高齢者特殊詐欺のひとつです、今回はその手口を詳しく説明していきます。

老人ホーム入居権詐欺の手口

老人ホーム入居権詐欺の手口は劇場型という点です。巧みに詐欺に引き込んでいく手口を解説します。

劇場型特殊詐欺の手口とは?

巧妙に作成された老人ホーム入居権当選通知

ある日、郵便ポストに精巧に作られた老人ホームのパンフレットが届きます。中にはいかにも魅力的な老人ホームの説明パンフレットが入っています。

立地や建物の外観はもちろん、中の設備も新しく、高齢者に配慮されています。肝心な職員の経歴も立派で人柄も優しさ溢れる笑顔の写真などで好感が持てます。

そして、パンフレットと一緒に「あなたがこの老人ホームに入居できる権利に当選しました。」との当選通知書が入っています。

現在、パンフレットを受け取った高齢者が入居できる状況なら入りたいくらいの案内です。

けれど、受け取った方はまだまだ自立度が高く今現在は老人ホーム入居は考えていません。

入居担当職員からの電話

老人ホーム入居担当の行政職員を名乗る人から電話がかかってきます。

悪い人
悪い人
老人ホーム入居権が当選した通知書は届いていますね。
入居の意思の確認です。どうされますか?

と問われたご高齢者が、

ありがたい話なのですが、現在はまだ一人暮らしを続けたいと思います。
おばあさん
おばあさん

と答えます。すると職員からこのような提案がされます。

悪い人
悪い人
多くの方が入居待ちなのですが、当選者しか入居できません。
困っている人に名義を貸して助けて頂けませんか?

深く考えれば、名義貸しの提案を公的な職員がするのか疑問を持ちそうですが、高齢者は優しい人が多く

困っている人がいるならと同意してしまいます。

法律事務所からの電話

しばらくすると、今度は法律事務所の弁護士を名乗る男性から電話があります。

次から次へと色んなことが起きて、高齢者は混乱して正常な判断ができなくなっています。

弁護士を名乗る男性からこのようなことを言われます。

悪い人
悪い人
あなたの名前で老人ホームに入居申し込みをした別の人がいました。
名義貸しをしたのですか?

高齢者が驚いて次のように返答します。

行政の方が勧めるので、困っている方が助かるならとそのようにお返事しました。
おばあさん
おばあさん

と答えると、弁護士を名乗る人からこのように告げられます。

悪い人
悪い人
行政担当の方もあなたもこのままでは詐欺罪で逮捕される可能性が高いです。
もし、逮捕を避けたいなら、老人ホーム運営会社と示談するしかありません。
すでに、担当職員さんは700万円を当法律事務所に預けられました。
あなたには300万円を預けて貰う必要があります。

冷静になることができれば、無茶苦茶な理屈です。

当事者である高齢者は、郵便が来て当選が嬉しかったり、行政の人の勧めで良いことができて満足感を覚えたりしていました。

そこに一転「詐欺罪で逮捕されます。」と言われ精神的には混乱の極みとなってしまいます。

もう全く正常な判断ができなくなり、言われるままに300万円を渡してしまいます。

 

このように劇場型の詐欺では、複数の人が色んな立ち場で現れ、感情を揺り動かしていきます。

その中で真面目で優しい高齢者はその都度、「人を助けよう、他人様に迷惑をかけられない。」との思いから自分が我慢すればとお金をだまし取られてしまいます。

だます犯罪者集団は鬼畜の所業です。

老人ホーム入居権詐欺からだまされないための防衛策とは?

ご高齢の方の美点を詐欺師たちは逆手にとってきます。

高齢女性の美点として、

  • 他人の立場を思いやり、他人様に迷惑をかけてはいけないと感じる。
  • もし迷惑をかけたのなら、自分が我慢して解決できるならそうしてしまう。

等が挙げられます。

高齢男性の美点として、

  • 家族のため、大黒柱の自分が経済的、精神的支柱たるべきである。
  • 言った以上自己の弁解はせず、全ての責任を負う。

等が挙げられます。

詐欺師のグループはこういった優しさや思いやり、責任感の強さに付け込んでお金をだまし取っていきます。

老人ホーム入居権詐欺にだまされない防衛策について解説します。

話を聞かない

実際にさまざまな高齢者を対象とした特殊詐欺をはたらき、刑務所に服役したフレイムさんという方がいます。

今は罪を償い、被害者を助けるための活動をしています。

「どうすれば、だまされないのですか?」との質問に端的にこのように答えていました。

話を聞いてはいけません。

では、具体的にはどうするかですが、

老人ホーム入居権通知書やパンフレット、名刺などは受け取りましょう。

これはその後の証拠に繋がるからです。

電話なら、「お話を聞くつもりはありません。」と電話を切ってください。

来訪者には、「お話を聞くつもりは全くありません。帰ってください。」と告げましょう。

それでも話し続けるようなら、すぐにその旨を誰かに電話してください。

頼れる人や警備会社などとの契約があるならそこに電話してください。

ないなら、迷わず110番しましょう。

その後、連絡をとる必要があると感じたケースについては、着信歴や名刺などをもとに、

信頼できる家族や警備会社職員、または派出所の警察官などにこちらから連絡をとってもらいましょう。

他人からの話は自分だけで聞かない。

これが老人ホーム入居権詐欺の最大の防衛策です。

敵を知る

詐欺は冷静になれば結局嘘なので、気づくことができれば被害者になることはありません。

人をだます方法には一定のパターンがありますので、それを覚えておきましょう。

  • 老人ホーム入居権が当選しました。これは、結局安く良いところに住めますというお金が得する話です。
  • 「今月中だけの特典です。」と老人ホームに入居するしないの判断を急かせる。
  • 希少性を演出し、老人ホーム入居権がいかに貴重なもので、それを得たことがいかに幸運かを強調する。
  • 突然、「老人ホーム入居権詐欺で逮捕されます。」などと告げパニックにさせる。

これらの要素が入っている話には相手をだまそうとの意思があることが多いです。

詐欺師グループのだましにあるパターンを知ることが、老人ホーム入居権詐欺防衛策のひとつです。

専門家に相談

「老人ホーム入居権詐欺ではないか?」あるいは、「お金を渡してしまい、すでに騙されてしまったのではないか?」というときに頼りになるのが、消費者ホットラインです。

番号は、188ですので、いややと覚えてください。

電話すると消費生活センターに繋がりますので、どう対処すれば良いかを詳しく相談に乗って貰えます。

まとめ

高齢者をターゲットとした特殊詐欺のひとつである老人ホーム入居権詐欺が増えてきています。

手口の特徴は劇場型ということです。

詐欺師たちはグループでアプローチをしてきます。そして、色々な立場を演じて、被害者の善良な心に付け込んできます。

人をだまそうとする話には一定のパターンがあることを知っておくことで防衛策をとれます。

最大の防衛策は、だまされるくらいなら、失礼ではないかとの気持ちを抑えて、

自分だけでは他人の話は一切聞かないことです。

また、少しでも不安な時は消費者ホットラインに電話してください。

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