認知症の人はなぜ徘徊するの?原因と対策を詳しく解説!

認知症の人はなぜ徘徊するの?原因と対策を詳しく解説!

  • 親が徘徊するようになって受け入れられない…
  • 徘徊が始まったらどう対応したらいいかわからない…
  • 在宅介護に限界を感じるようになってきた…

このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

親が認知症になってしまうと、家族はなかなか受け入れられず戸惑ってしまいますよね。

この記事では、認知症の方がなぜ徘徊するのか原因と対応策を解説します。

認知症が原因の「徘徊」とは

「徘徊」は外出先から自宅に帰れなくなったり、目的地がわからなくなってうろうろしてしまったりする認知症の周辺症状の1つです。

「徘徊」の本来の言葉の意味は「目的もなくうろうろと歩き回る」という意味ですが、認知症の方の徘徊には原因や理由があります。

「徘徊」という言葉にはネガティブなイメージがあるため、最近では「一人歩き」などの言葉に言い換えて使わないようにしている自治体もあります。しかし、他の言葉では緊急性が伝わりにくいため「徘徊」を使い続けている自治体もあり、まだ統一はされていません。

かつては「認知症」も「痴呆症」と当たり前に言われていました。今では誰もが「認知症」という言葉が定着したように、当たり前に別の言葉に言い換えられる日が来るかもしれません。

認知症の方はなぜ徘徊するの?

「認知症の方の徘徊には原因や理由があります」と説明しましたが、気持ちがうまく伝えられない認知症の方に、理由を説明してもらうのは難しいですよね。

理由が簡単にわかれば対応しやすいものです。

ここからは、認知症の方がなぜ徘徊するのか理由として考えられることをいくつかあげてみます。

自分の状況がわからなくなる

認知症の方は「記憶障害」や「見当識障害」により、自分の状況が分からなくなりうろうろと歩き回ってしまうことがあります。

状況が分からなくなってしまうのは以下のような場面です。

  • 歩いて来た道順を忘れてしまう
  • いつも行っていた場所を忘れてしまう
  • なぜここにいるのか忘れて帰りたくなる
  • 財布などの置き場所を忘れて探し回る

その方なりの理由があり、歩き回っている状況があります。

体に違和感を感じている

徘徊によくあるのが「お腹が空いた」「トイレに行きたい」「体調がすぐれない」など、体に違和感を感じて、徘徊してしまうケースです。

認知症の方には、体に違和感があっても周りにうまく伝えられない方がいます。違和感に気づいて行動を起こしても、そのうち忘れてしまって違和感を抱えたままウロウロしてしまうことも。

不快な状態をどうしたら良いのか分からず徘徊してしまいます。

過去の習慣をしようとしている

若い時の自分が活躍していた時代に記憶が戻ってとってしまう行動が、徘徊とされることがあります。

「仕事に行かなくてはいけない」「子どもにご飯の準備をしなくてはいけない」といった、自分が一番頑張っていた時代に回帰する言動が典型です。

仕事に行こうとしたり、ご飯の準備をするために買い物に行こうとしたりする行動が徘徊につながります。

徘徊を防ぐためにできる対策

認知症による徘徊は転倒によるケガ・夏場の熱中症・冬場の低体温症など、さまざまな危険が伴います。最悪のケースでは行方不明になってしまうケースも考えられるため未然に防がなければいけません。

徘徊を防ぐためにできる対応策を確認しておきましょう。

自分の役割になる仕事・楽しめる趣味などを見つける

不安や焦燥感が強くなってしまうと徘徊の原因となってしまうため、自分の役割を持って安心して生活できる居場所を作りましょう。何もすることがなければマイナス感情になり、余計なことを考える時間が増えて焦燥感にかられてしまいます。

家の中で自分の役割となる仕事や、楽しめる趣味に集中できれば充実した時間が過ごせます。

ここが自分の居場所と感じることができれば気持ちが安定し、徘徊につながる不安感も軽減できるでしょう。

運動してエネルギーを発散する

高齢になると、体を動かす機会が減ってしまいストレスをためやすくなります。

じっとしている時間が長くなるとネガティブな事を考える時間が増えるため、ストレス軽減のためにも、軽く体を動かしエネルギーを発散することが大切です。

エネルギーが有り余っていると、徘徊につながるため運動による適度な疲労感も大切です。体を動かして疲れを感じると、夜間もぐっすり眠ることができ生活リズムも整います。

わざわざ運動をするのが嫌な方は、何かの作業や家事など仕事をして体を疲れさせるのでもよいでしょう。

生活リズムを整える

生活リズムを整え、健康的な生活を送るのも徘徊予防には効果的です。早寝早起きし、日中は体を動かし夜はぐっすり眠れるようにすることは夜間の徘徊も防止できます。

前述した通り、認知症の方は体の不調がうまく伝えられずに気持ちが不安定になってしまったり、どうしていいか分からずにウロウロしてしまったりすることがあります。

生活リズムを整え、体調に気を配るのはとても大切です。

介護保険サービスを利用する

介護保険でデイサービスなどの通いのサービスを利用すると、日中の活動量を増やすことができます。他の人との交流で気持を明るくし、刺激を受けることで認知症の進行を予防する効果も期待できます。家族の介護負担が軽減できるのも大きなメリットです。

また、福祉用具貸与サービスでは、認知症老人徘徊感知機器がレンタルできます。認知症老人徘徊感知機器は、徘徊の予兆を察知し家族に知らせてくれる装置で、原則要介護2以上の認定を受けている方が利用できます。ベッドから離れた時に知らせるタイプやドアや玄関を通過した時に知らせるタイプなどその方の行動パターンにより機器を選択します。

介護保険サービスは、ケアマネジャーにケアプランを作成してもらわなければ利用できません。担当のケアマネジャーに定期的に日々の様子を確認してもらえるので、悩み事が相談でき、適切なサービスの利用を提案してもらえます。

介護保険サービスを利用して、介護のプロの力も借りましょう。

地域の方の協力を得る

徘徊の対策には地域の方の協力を得るのも大切です。地域包括支援センターには必ず相談しておきましょう。地域包括支援センターは地域に住んでいる高齢者の総合的な相談窓口です。認知症による行方不明を防ぐ対策を行い、行方不明者を発見するためのネットワークを構築しています。

近くの民生委員さんにもお願いしておくと良いでしょう。民生委員さんは地域のことに精通しているので、身近な相談相手になってもらえます。

さらに、近隣の方やお店の方、交番などにも徘徊の恐れがあるのを知っておいてもらうだけでも見守ってもらえる人が増えて安心です。

徘徊対策グッズを利用する

徘徊対策用のグッズには、介護保険でレンタルできる認知症老人徘徊感知機器の他にもさまざまなグッズが販売されています。

徘徊対策用のグッズには以下のようなものがあります。

  • 部屋の扉や玄関に取り付け人を感知すると通知するセンサー
  • 持ち歩くものに入れておくGPS端末
  • 名前と連絡先を記載し身につけているものに付けておけるもの
  • 部屋に設置する見守りカメラ
  • 部屋の扉や玄関を開けられないように取り付ける鍵など

徘徊対策グッズは、その方の行動パターンによって効果があるものを選ぶことが大切です。例えば、外出するときに手ぶらで出てしまう方であればGPSを持ち歩くのが難しいかもしれません。自分で着替えたり服を選んだりするオシャレな方であれば身につけているものに連絡先を付けておくのは難しいでしょう。

鍵を取り付けて出られないようにしたり、部屋に見守りカメラを付けたりするのは本人の行動を抑制してしまう身体拘束や、プライバシーの問題にも注意しましょう。人の尊厳にも関わるので慎重に検討してくださいね。

徘徊が発生したらどうしたらいい?

どれだけ対策をしていても、実際に徘徊が発生してしまったら対応に困ってしまいますよね。少し落ち着いて、どのように対応したら良いのか考えてみましょう。

他のことに気持ちを切り替えられるようにする

徘徊が始まりそうになった時に他のことに気をそらしてみると、出かける目的を忘れて落ち着いてもらえるケースがあります。

どこかに行きたい方に対して「もう少し待ってくれたら車で送れる」「明日なら車で送れる」と時間をずらしてみるのも1つです。

別の興味を持ってもらえる話で気をそらしたり用事をお願いしたりすると、そちらに集中して他のことに気持ちを切り替えられるかもしれません。

否定せず一緒に納得いくまで歩く

徘徊が始まるとこちらの気持ちも焦ってしまい、無理やり静止しようとしたり怒ってしまったりしてしまうかもしれません。しかし、無理に静止すると否定された気持ちになってしまいます。否定されたり怒られてしまった気持ちだけが心に残り、余計に不穏になってしまいます。

徘徊が始まったら、受け入れて納得いくまで一緒に歩いてみましょう。歩いているうちに、何の目的で歩いていたのか忘れてしまうこともあります。一緒に歩きながら会話をして気をそらせるのも1つです。外出で気分が晴れて、なぜ外出したのかを忘れたところで帰宅を促すとスムーズに帰宅することも多いものです。

機嫌が悪い状態で徘徊が始まった場合は、少し離れたところで事故のないように見守りながらそのまま納得のいくまで歩かせてあげましょう。少し落ち着いてきた頃に、偶然出くわしたように声をかけて帰宅を促すと、歩くのにも疲れて家に帰りたくなっているかもしれませんね。

ためらわず警察に届け出を出す

すでに家から出て外に出かけてしまって居場所がわからなくなってしまった場合は、事故を防ぐためにもためらわず警察に届けましょう。

どうしても、警察にお世話にならず自分達で解決したいという気持ちが働いてしまいます。しかし、早ければ早いほど近くで発見できる可能性が高くなります。

事前に相談しておいた地域包括支援センターや担当のケアマネジャー・民生委員さん・近隣の方などにも連絡してください。顔を知ってもらっている人たちにも捜索に協力してもらえれば発見がしやすくなります。

徘徊が発生した時のために、事前に配布できるような顔写真を用意しておくのも良いでしょう。

介護負担が限界を迎える前に施設入居も視野に入れよう

この記事では「認知症の人はなぜ徘徊するの?原因と対応策を詳しく解説!」と題して解説しました。

徘徊を防ぐ対策や、徘徊が始まった時の対応方法をご提案しましたが、どれが絶対にうまくいくという正解はありません。

その方の性格や認知症の程度によっては、解説した方法を実践してもうまくいかないことも多く、家族が不安やストレスを抱え込んでしまいます。家族の介護負担が限界を迎えてしまう前に、施設入居も視野に入れておきましょう。

介護施設は、認知症の方がプロの介護サービスを受けて安心して生活できる環境が整っています。入居をためらってしまう方もいますが、施設に入った方が介護する側、される側も安心で安全な生活が確保できるケースもあります。認知症の方が安心して生活できる環境を探してみるのも1つです。

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